ヒッチハイク
バイオレンスの国アメリカでヒッチハイクをするとは、なんとも無謀な話だが、それしか選択肢はなかった。乗車の際には全身の感覚を総動員し、悪質なドライバーでないかどうかを判断した。高校時代にも1年間アメリカで過ごした僕は、このあたりの鼻がきいた。
ヒッチハイクに起因した多くの事件が報告されてから、誰もがヒッチハイカーに警戒心を抱くようになった。そんな時代でも、ハイウェイの入り口で3時間ほど待てば誰か停まってくれたのは、アメリカの国旗をあしらったアルミ製のバックパックが僕の愛国精神を表現していたからかも知れない。もうひとつの要因は、とても拳銃を隠しているようには見えない痩せ型で温和な僕の風貌だったと思う。(ドライバーの母性本能をくすぐるってやつかも知れない)
逆に、一見親切そうなドライバーから身包み剥がれる恐れもあったが、僕は何一つ金目のものを持ち合わせているようには見えなかったし、事実そうだった。ジャケットを着てめがねをかけ、カメラをぶら下げていれば格好のターゲットとなるが、僕の風貌は全くその対極にあったからだ。