チェックアウト
翌朝、ひとりがチェックアウトの手続きをしている間に、僕たちは音を立てないようにひとりずつ部屋から抜け出した。
不運なことに、僕は最後の退出者だった。フロントデスクの横を何食わぬ顔でゆっくりと通り過ぎようとする僕の斜め後ろから、疑いの視線を感じた。続いて僕を呼び止めるような声がしたが、僕は反射的に歩調を速めた。そしてそれがいつの間にか全力疾走に変わり、大声で叫びながら追いかけてくるホテルの従業員を振り切るようにして、僕は待ち受ける車に飛び込んだ。
ぎりぎりセーフだ。急発進する車の中で、皆が拍手喝采で僕を迎えてくれた。