マイカーの購入
勉強にも慣れてきた僕は、アルバイトに精を出した。冬休みの旅行費用を貯めたかったからだ。前述の物理のTutorがいちばん楽だったが、カフェテリアの料理人、給仕、掃除係りなど、何でもやった。
ある日、友人が僕に「耳寄りな情報」を持ってきた。
その話とは、デトロイトに住む彼のお父さんが車を入手し(実際はジャンクを拾ってきた)完璧に修理したので、それを150ドルという破格の値段で売りたいということだった。150ドルで車が買えるなんて夢みたいだと思った僕は、さっそくその週末に彼の実家へと同行した。僕たちを出迎えたお父さんは、庭先に鎮座する相当古い年式の錆だらけの白い車を指差して、「俺が直したんだ」とさも得意げの様子だった。アメリカでは珍しいマニュアル・トランスミッションのその車を少し運転してみて、僕は購入を決めた。
帰り道、反対側の車線を無意識に運転している僕に、一緒に来た車内の友人たちは悲鳴を上げ続けていた。それでも何とか大学に帰り着き、キャンパスの空いた場所に駐車した。