コンクリート・ジャングル | windance の亜米利加放浪記

コンクリート・ジャングル

緑茂る広大なキャンパスをファッショナブルな男女学生たちが行き交い、サークル活動に青春を燃やし、学園祭の時には恋が芽生え、大学周辺のカフェでは活発に議論を戦わせる・・・ そんな学生生活を想像していた僕は、ある重要な事実を見落としていた。この大学の理工学部は、メインキャンパスから30分以上離れた別の場所に存在するということだ。


文学部の講堂で行われた入学式が終わったあと、30分歩いて理工学部のキャンパスに到着した僕は、雰囲気の違いに愕然とした。「コンクリート・ジャングル」と嘲笑されるそのキャンパスは、コンクリートむき出しの安っぽい建築で、工業高校と変わらない印象だ。芝生はおろか樹木すらも皆無に等しく、学生は真っ暗な研究室で、サムい冗談を言い合いながらニヤニヤしている。オタクの城だ。クラい、キモい、サムい、なんてCMでも作れそうだ。


しかも、そのコンクリートのキャンパスには男しかいない。向かいに女子短期大学があるが、男性は中には入れてもらえないし、「あの大学の男の子とだけは付き合わないように」と強く言われているそうだ。学生生活の最大の楽しみである学園祭の期間は、「理工展」と呼ばれるイベントを同時開催する。いわゆる研究発表会だが、そんなのは学会でやれ!と言いたくなる。


案の定、大学での講義は退屈を極めた。


まず、よほどの変人でもない限り、こんなにたくさんの成人間近の男たちが、ひとつの部屋に集まっていること自体、心地よく思うわけがない。必修の実験では、メーターの数値を読んではノートに書き写す作業が続き、夜にはそれをもとに意味のないレポートを書かなければならなかった。教授の著作による大小さまざまな専門書(売れないから超高価!)を買わされるが、中身は禅問答のように難解そのもの、全くの抽象論ばかりだった。