【君の隣】シリーズの表紙となるイラストを書いてくださったにけ様にお礼として捧げます♪
君の隣 光目線でその後が読みたいということなので、光視点でお話を書いてみました!!
君の隣シリーズの光さんバージョンは【君のとなり】と平仮名バージョンなので今回のタイトルものすごく迷いましたが、結局漢字の方の続きとして書いてみました。
想像以上に光くんが果てしなく不憫な仕上がりになってしまいました。
でも、最初にこれだけは誤解のないよう言っておきますが、風月は光君は好きなキャラです。
多分、今現在活躍中のスキビ男性キャラの中では蓮様の次に光君が好きです!
それなのに、蓮様が相手だとどうも不憫になってしまうようです。
何でもこーいな方、もしくは、不憫萌な方はどうぞお楽しみくださいませ。
苦情は一切受け付けませんのであしからず(笑)
*****
(にけ様作・君の隣)
君の隣 6
「はぁぁぁぁー。」
光はここ数日、ため息ばかりついている自分を自覚していた。
一緒にいる雄生と慎一の視線も感じるが、二人には何も話していない。
…いや正確には、話せていない。…という言い方が正しいかもしれない。
簡単な話が、失恋したということなのだが、その失恋の方法が最悪でどうしてもその経緯を口にすることが憚られたからだ。
心配した二人から理由を何度か聞かれたが、光は京子のことを口に出すことさえ出来ず、口を閉ざしていた。
勿論、何度も言おうとしたのだ。
しかし、口を開きかけてはあの時の悪夢なような出来事を思い出し、目尻にじわっと熱いものがこみ上げて来て言葉にできなかったのだ。
「はぁぁぁぁー。」
再び深いため息を吐いて机に同化するのではないだろうかというほど、頬を押し当てた時、聞きたいようで聞きたくなかった声が耳に届いた。
「あ!雄生さん、慎一さん!おはようございます!!」
鈴の音のように心地がいい声に誘われて顔を上げれば可愛らしい笑顔で雄生と慎一に挨拶をする京子の姿がみえた。
あんなことがあって苦しいはずなのに、どこか弾んでしまう心もあって。
ーーーというか、俺は?!京子ちゃん!!俺もここにいるんだけど…!!!!
楽しげに会話を交わしている三人をジッと恨めしげに睨みつけると京子ちゃんが漸く気付いてくれた。
「あ!光さんもいらっしゃったんですね。すみません。ご挨拶が遅れてしまいました。おはようございます!」
可愛らしい笑顔のままぺこりと頭を下げる京子に、光は気付いてもらえたことにホッとしながらも、「おはよう。」と力なく笑顔を作って返事をするのが精一杯だった。
すると、京子ちゃんは少し恥ずかし気に目を伏せて、急にもじもじと顔を赤らめながら言いにくそうに、「あのう…光さん…」と、俺に話しかけて来た。
耳まで真っ赤にして何かを告げようとする京子の可愛すぎる仕草に既にノックアウト寸前な光は、あるわけないのに馬鹿な期待を持ってしまい気分が急上昇していく。
もしかして告白?!先日のあれは気の迷いだったとか…別れた…とか?!
「何?どうかした?」
馬鹿で現金な俺は期待を込めて京子ちゃんを見つめてしまった。
心臓がドクドクと緊張のあまり高まる。
「先日の…あのこと…何ですけど…」
京子ちゃんがもじもじと指を付き合わせる。
「うん」
ーーー何?!何でも言って!!
「あの…お見苦しいところをお見せしてしまって…申し訳ありませんでした!!」
「え?!いやいや、京子ちゃんのせいじゃ…」
「それであの…暫くは、誰にも知られたくないので…あの事は、忘れていただけると有難いのですが…。」
ーーー暫くは…知られたくない…?
それってつまり…いつかは…知られてもいいことになる…ってこと?!
光はショックを受けた。相手は敦賀蓮なのだ。立ち向かう術が自分にもないことは勿論わかっている!
でも、どうしても捨てきれなかった淡い期待があったのだ。
そしてその期待は見事に俺を裏切ってくれた。
忘れて欲しいといわれて同時に思い出すのは、忘れて欲しいと言われた出来事。
ーーー忘れ…られるのだろうか?
脳裏に焼き付いてしまった京子と蓮のリアルラブシーン。
映画でも、ドラマでもないプライベートの蕩け切った濃厚なキス。
数分かけて見せつけられた二人の姿はそうそう頭から離れそうになかった。
答えに詰まった光を見て、京子が再び口を開きかけた時、俺の後ろから低くて甘い声が聞こえた。
「最上さん。」
光はその声を聞いてびくんと肩を震わせた。
振り返らなくても分かる。
現場で何度か聞いたその呼び名は敦賀蓮だけが京子を呼ぶ時のものだ。
恐らく『最上さん』が、京子の本名なのだろう。
「あ!敦賀さん!!お、おは、おはようございます!!」
急に現れた恋人の姿に驚いたのだろうか、真っ赤な顔してオロオロ言う京子に、『それじゃあバレバレだよ京子ちゃん。』とつい心の中で突っ込んでしまった。
そんな京子ちゃんの恋人であることをこの男はどうも匂わせたいようだ。
クスリと漏れた柔らかい笑声。
「おはよう…ね?今日目覚めて朝一番に聞いたけど?」
その言葉を聞いて京子は耳までぶわわわっと真っ赤に染めた。
「つつつつつ敦賀さぁぁん!!それは言わない約束…。」
「ん?あぁ、ごめん。うっかりしてたよ。つい…ね?」
「もうっ!!しっかりしてください!!それより、ちゃんとお昼は食べましたか?」
「君が俺のために朝食と一緒に作ってくれたお弁当?勿論。美味しくいただいたよ。ありがとう。」
「そ、それは…良かったです。」
えへへ。と頬を染めて嬉しそうにハニカム京子に、蓮がそうだ!とばかりにこの場で晩御飯のリクエストを始めた。
「今夜は、煮物が食べたい気分なんだけど…」
「本当ですか?!敦賀さんの口から何か食べたいという言葉が聞けるなんてっ!ふふ。珍しいです!!では今夜は腕によりをかけて作らせて頂きますね。」
光を挟んで頭上で交わされる会話。
先日のキスシーンを見てからは壮絶な色気で牽制して来た蓮に対して恐怖心しか持っていない光。振り返って姿を見ることも、逃げることも怖くて出来ない。
「本当?来てくれる?」
「はい!勿論です。」
興奮気味に勢い込んで話すキョーコは可愛らしいが、光を凹ませるには充分な会話だった。
それなのに…。
「あ、だけど今日は上がりが遅めで家につくの…23時くらいになりそうなんだけど…。」
申し訳なさそうに言う蓮に、キョーコはにっこり笑って無邪気に言って追い打ちをかけた。
「では、合鍵を使って先に支度して敦賀さんの帰りをお待ちしてますね。帰宅したらすぐに召し上がっていただけるようにしておきます。」
「うん。お願いね。」
「はい!お任せください!!」
「うん。楽しみだな。」
「あ。そうだ。あの…帰宅がその時間だったら…今日も…その…」
「ん?あぁ、勿論泊まって行っていいから。昨日のパジャマとか歯ブラシもそのまま置いてあるから使えるし。」
蓮の言葉に、キョーコがぱぁぁっと頬を染め、嬉しそうに頷いた。
「はいっ!!」
そんなやり取りを見せつけられた、光は貯まったものではない。
涙なのか砂なのかもはやわからないものが光の目から流れていた。
「では、光さん、雄生さん、慎一さん、私はこれで失礼しますね。」
「う、うん。」
「あ、あぁ…。」
「ま、またね!京子ちゃん。」
雄生と慎一の顔も引きつっているであろうことは声だけでもわかった。
泣きそうになりながら耐えている光に気付かず、京子は無邪気に蓮に歩み寄る。
「今日ここで敦賀さんに会えるとは思いませんでした。」
「割と早く撮影が終わってね。会えてよかったよ。」
「ふふ。私もです。」
「これから事務所?」
「はい!次ドラマのオファーのお話を頂いてて打ち合わせに…。」
「俺次の撮影まで余裕が出来たから送るよ。」
「え?!そんな!迷惑なんじゃ…」
勇気をもって、そろりと二人を振り返って視界に収めると、愛おしそうにキョーコの髪を弄ぶ蓮と、されるがまま嬉しそうに顔を緩ませて蓮を見上げるキョーコの姿で。
「迷惑なんてとんでもない。キョーコと少しでも一緒にいたいんだ。」
「っ!!もう、またそんなこという…。それに外ではキョーコって呼ばない約束じゃないですか!」
「さっきまでは最上さんって呼んでただろう?」
「さっきまではじゃなくって継続して下さい!」
クスクス笑う蓮にキョーコは剥れてた。
「もぅ。…あれ?社さんはどうされたんですか?」
キョロキョロと蓮と常に一緒にいるはずのマネージャーの姿を探すキョーコ。
「ん?今、俺の楽屋に荷物を取りに行ってるよ。そろそろ来ると…あ!」
「社さん!」
「蓮!キョーコちゃん!お待たせ。蓮、荷物これだけだよな?」
「はい。ありがとうございます。」
「お疲れ様です。社さん。」
「お疲れー!いやぁキョーコちゃん!聞いてよ!!キョーコちゃんが毎日お弁当持たせてくれるようになってからさ、蓮が自分から進んで弁当の蓋を開けるんだよー!」
「ちょっと社さん。」
「えぇ?!本当ですか?!」
「うん!だから本当にキョーコちゃんには感謝してるよ!これからも蓮のことよろしくね!」
「はい!任せて下さい。」
楽しく会話を交わす三人の姿が眩しい。
「…じゃあ、行こうかキョーコ、社さんも。」
「えぇ?!いいよ!俺はタクシーで…」
「そんなこと言わずに…社さんが遠慮したら、キョーコも遠慮するじゃないですか…」
「だってさ、お前達といると…おれの血糖値がさ…」
ブツブツなにやらつぶやく社を無視して、蓮はキョーコの腰を抱く。
「さ、おいで。キョーコ。」
「あの、いいんでしょうか?本当に…。」
「キョーコ。俺が送りたいって言ってるんだから送らせて。もうただの先輩じゃないだろう?」
「う。は、はい。よろしくお願いします。」
楽しそうに去って行く三人組が見えなくなった時、光はまたテーブルに突っ伏した。
「うわぁぁーーーん!!俺が一体何したっていうんだよぉぉぉぉぉぉぉぉぉー!!」
(↑キョーコちゃんの生膝枕を蓮様に断りもなく堪能してしまいました。※『君のとなり』参照。)
「リ、リーダー。」
「お、落ち着いて。ここ、一応、テレビ局のロビーやから!!」
「そ、そやで!リーダー気をしっかり!!」
突然大量の涙を流して大きな声で男泣きを始めた光に、雄生と慎一は同情をむけつつも、慌てて宥めに掛かるのだった。
そう、ここは某テレビ局の正面ロビーのフリースペース。
人の行き交う公共の場である。
この日、光と同じく打ちのめされた男は一人や二人ではなかったという。
そして、可哀想な男がここにも一人…。
「頼む!!頼むから俺を一人で向かわせてくれぇぇぇぇぇー!!!」
蓮とキョーコの乗る密室の移動車に同乗させられた社もまた、被害者…なのかもしれない。
END
☆拍手もらえるかは疑問な仕上がりですが、一応設置しちゃいました!
*****
いかがでしたでしょうか?
実は「君のとなり」を書いたあと、書きたいなぁと思ってたストーリーだったのですが、リクエストで出てこなかったので、ま、いっか☆と隅っこに追いやってたお話だったのです。
でもこの度、にけ様からリクエスト頂いて、引っ張り出してきました!!
バナーのオマケに君の隣の表紙イラストを作ってくださったにけ様に捧げます。
にけ様こんな感じでご希望に添えてましたでしょうか??
記念フリーシリーズなので、一声かけて頂けたらアメンバー様に限り持ち帰り可でございます。
単体でも、シリーズでもお好きな組み合わせでお持ち帰りくださいませ。
皆様とにけ様のお気に召して頂けたら幸いです。
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君の隣 光目線でその後が読みたいということなので、光視点でお話を書いてみました!!
君の隣シリーズの光さんバージョンは【君のとなり】と平仮名バージョンなので今回のタイトルものすごく迷いましたが、結局漢字の方の続きとして書いてみました。
想像以上に光くんが果てしなく不憫な仕上がりになってしまいました。
でも、最初にこれだけは誤解のないよう言っておきますが、風月は光君は好きなキャラです。
多分、今現在活躍中のスキビ男性キャラの中では蓮様の次に光君が好きです!
それなのに、蓮様が相手だとどうも不憫になってしまうようです。
何でもこーいな方、もしくは、不憫萌な方はどうぞお楽しみくださいませ。
苦情は一切受け付けませんのであしからず(笑)
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(にけ様作・君の隣)
君の隣 6
「はぁぁぁぁー。」
光はここ数日、ため息ばかりついている自分を自覚していた。
一緒にいる雄生と慎一の視線も感じるが、二人には何も話していない。
…いや正確には、話せていない。…という言い方が正しいかもしれない。
簡単な話が、失恋したということなのだが、その失恋の方法が最悪でどうしてもその経緯を口にすることが憚られたからだ。
心配した二人から理由を何度か聞かれたが、光は京子のことを口に出すことさえ出来ず、口を閉ざしていた。
勿論、何度も言おうとしたのだ。
しかし、口を開きかけてはあの時の悪夢なような出来事を思い出し、目尻にじわっと熱いものがこみ上げて来て言葉にできなかったのだ。
「はぁぁぁぁー。」
再び深いため息を吐いて机に同化するのではないだろうかというほど、頬を押し当てた時、聞きたいようで聞きたくなかった声が耳に届いた。
「あ!雄生さん、慎一さん!おはようございます!!」
鈴の音のように心地がいい声に誘われて顔を上げれば可愛らしい笑顔で雄生と慎一に挨拶をする京子の姿がみえた。
あんなことがあって苦しいはずなのに、どこか弾んでしまう心もあって。
ーーーというか、俺は?!京子ちゃん!!俺もここにいるんだけど…!!!!
楽しげに会話を交わしている三人をジッと恨めしげに睨みつけると京子ちゃんが漸く気付いてくれた。
「あ!光さんもいらっしゃったんですね。すみません。ご挨拶が遅れてしまいました。おはようございます!」
可愛らしい笑顔のままぺこりと頭を下げる京子に、光は気付いてもらえたことにホッとしながらも、「おはよう。」と力なく笑顔を作って返事をするのが精一杯だった。
すると、京子ちゃんは少し恥ずかし気に目を伏せて、急にもじもじと顔を赤らめながら言いにくそうに、「あのう…光さん…」と、俺に話しかけて来た。
耳まで真っ赤にして何かを告げようとする京子の可愛すぎる仕草に既にノックアウト寸前な光は、あるわけないのに馬鹿な期待を持ってしまい気分が急上昇していく。
もしかして告白?!先日のあれは気の迷いだったとか…別れた…とか?!
「何?どうかした?」
馬鹿で現金な俺は期待を込めて京子ちゃんを見つめてしまった。
心臓がドクドクと緊張のあまり高まる。
「先日の…あのこと…何ですけど…」
京子ちゃんがもじもじと指を付き合わせる。
「うん」
ーーー何?!何でも言って!!
「あの…お見苦しいところをお見せしてしまって…申し訳ありませんでした!!」
「え?!いやいや、京子ちゃんのせいじゃ…」
「それであの…暫くは、誰にも知られたくないので…あの事は、忘れていただけると有難いのですが…。」
ーーー暫くは…知られたくない…?
それってつまり…いつかは…知られてもいいことになる…ってこと?!
光はショックを受けた。相手は敦賀蓮なのだ。立ち向かう術が自分にもないことは勿論わかっている!
でも、どうしても捨てきれなかった淡い期待があったのだ。
そしてその期待は見事に俺を裏切ってくれた。
忘れて欲しいといわれて同時に思い出すのは、忘れて欲しいと言われた出来事。
ーーー忘れ…られるのだろうか?
脳裏に焼き付いてしまった京子と蓮のリアルラブシーン。
映画でも、ドラマでもないプライベートの蕩け切った濃厚なキス。
数分かけて見せつけられた二人の姿はそうそう頭から離れそうになかった。
答えに詰まった光を見て、京子が再び口を開きかけた時、俺の後ろから低くて甘い声が聞こえた。
「最上さん。」
光はその声を聞いてびくんと肩を震わせた。
振り返らなくても分かる。
現場で何度か聞いたその呼び名は敦賀蓮だけが京子を呼ぶ時のものだ。
恐らく『最上さん』が、京子の本名なのだろう。
「あ!敦賀さん!!お、おは、おはようございます!!」
急に現れた恋人の姿に驚いたのだろうか、真っ赤な顔してオロオロ言う京子に、『それじゃあバレバレだよ京子ちゃん。』とつい心の中で突っ込んでしまった。
そんな京子ちゃんの恋人であることをこの男はどうも匂わせたいようだ。
クスリと漏れた柔らかい笑声。
「おはよう…ね?今日目覚めて朝一番に聞いたけど?」
その言葉を聞いて京子は耳までぶわわわっと真っ赤に染めた。
「つつつつつ敦賀さぁぁん!!それは言わない約束…。」
「ん?あぁ、ごめん。うっかりしてたよ。つい…ね?」
「もうっ!!しっかりしてください!!それより、ちゃんとお昼は食べましたか?」
「君が俺のために朝食と一緒に作ってくれたお弁当?勿論。美味しくいただいたよ。ありがとう。」
「そ、それは…良かったです。」
えへへ。と頬を染めて嬉しそうにハニカム京子に、蓮がそうだ!とばかりにこの場で晩御飯のリクエストを始めた。
「今夜は、煮物が食べたい気分なんだけど…」
「本当ですか?!敦賀さんの口から何か食べたいという言葉が聞けるなんてっ!ふふ。珍しいです!!では今夜は腕によりをかけて作らせて頂きますね。」
光を挟んで頭上で交わされる会話。
先日のキスシーンを見てからは壮絶な色気で牽制して来た蓮に対して恐怖心しか持っていない光。振り返って姿を見ることも、逃げることも怖くて出来ない。
「本当?来てくれる?」
「はい!勿論です。」
興奮気味に勢い込んで話すキョーコは可愛らしいが、光を凹ませるには充分な会話だった。
それなのに…。
「あ、だけど今日は上がりが遅めで家につくの…23時くらいになりそうなんだけど…。」
申し訳なさそうに言う蓮に、キョーコはにっこり笑って無邪気に言って追い打ちをかけた。
「では、合鍵を使って先に支度して敦賀さんの帰りをお待ちしてますね。帰宅したらすぐに召し上がっていただけるようにしておきます。」
「うん。お願いね。」
「はい!お任せください!!」
「うん。楽しみだな。」
「あ。そうだ。あの…帰宅がその時間だったら…今日も…その…」
「ん?あぁ、勿論泊まって行っていいから。昨日のパジャマとか歯ブラシもそのまま置いてあるから使えるし。」
蓮の言葉に、キョーコがぱぁぁっと頬を染め、嬉しそうに頷いた。
「はいっ!!」
そんなやり取りを見せつけられた、光は貯まったものではない。
涙なのか砂なのかもはやわからないものが光の目から流れていた。
「では、光さん、雄生さん、慎一さん、私はこれで失礼しますね。」
「う、うん。」
「あ、あぁ…。」
「ま、またね!京子ちゃん。」
雄生と慎一の顔も引きつっているであろうことは声だけでもわかった。
泣きそうになりながら耐えている光に気付かず、京子は無邪気に蓮に歩み寄る。
「今日ここで敦賀さんに会えるとは思いませんでした。」
「割と早く撮影が終わってね。会えてよかったよ。」
「ふふ。私もです。」
「これから事務所?」
「はい!次ドラマのオファーのお話を頂いてて打ち合わせに…。」
「俺次の撮影まで余裕が出来たから送るよ。」
「え?!そんな!迷惑なんじゃ…」
勇気をもって、そろりと二人を振り返って視界に収めると、愛おしそうにキョーコの髪を弄ぶ蓮と、されるがまま嬉しそうに顔を緩ませて蓮を見上げるキョーコの姿で。
「迷惑なんてとんでもない。キョーコと少しでも一緒にいたいんだ。」
「っ!!もう、またそんなこという…。それに外ではキョーコって呼ばない約束じゃないですか!」
「さっきまでは最上さんって呼んでただろう?」
「さっきまではじゃなくって継続して下さい!」
クスクス笑う蓮にキョーコは剥れてた。
「もぅ。…あれ?社さんはどうされたんですか?」
キョロキョロと蓮と常に一緒にいるはずのマネージャーの姿を探すキョーコ。
「ん?今、俺の楽屋に荷物を取りに行ってるよ。そろそろ来ると…あ!」
「社さん!」
「蓮!キョーコちゃん!お待たせ。蓮、荷物これだけだよな?」
「はい。ありがとうございます。」
「お疲れ様です。社さん。」
「お疲れー!いやぁキョーコちゃん!聞いてよ!!キョーコちゃんが毎日お弁当持たせてくれるようになってからさ、蓮が自分から進んで弁当の蓋を開けるんだよー!」
「ちょっと社さん。」
「えぇ?!本当ですか?!」
「うん!だから本当にキョーコちゃんには感謝してるよ!これからも蓮のことよろしくね!」
「はい!任せて下さい。」
楽しく会話を交わす三人の姿が眩しい。
「…じゃあ、行こうかキョーコ、社さんも。」
「えぇ?!いいよ!俺はタクシーで…」
「そんなこと言わずに…社さんが遠慮したら、キョーコも遠慮するじゃないですか…」
「だってさ、お前達といると…おれの血糖値がさ…」
ブツブツなにやらつぶやく社を無視して、蓮はキョーコの腰を抱く。
「さ、おいで。キョーコ。」
「あの、いいんでしょうか?本当に…。」
「キョーコ。俺が送りたいって言ってるんだから送らせて。もうただの先輩じゃないだろう?」
「う。は、はい。よろしくお願いします。」
楽しそうに去って行く三人組が見えなくなった時、光はまたテーブルに突っ伏した。
「うわぁぁーーーん!!俺が一体何したっていうんだよぉぉぉぉぉぉぉぉぉー!!」
(↑キョーコちゃんの生膝枕を蓮様に断りもなく堪能してしまいました。※『君のとなり』参照。)
「リ、リーダー。」
「お、落ち着いて。ここ、一応、テレビ局のロビーやから!!」
「そ、そやで!リーダー気をしっかり!!」
突然大量の涙を流して大きな声で男泣きを始めた光に、雄生と慎一は同情をむけつつも、慌てて宥めに掛かるのだった。
そう、ここは某テレビ局の正面ロビーのフリースペース。
人の行き交う公共の場である。
この日、光と同じく打ちのめされた男は一人や二人ではなかったという。
そして、可哀想な男がここにも一人…。
「頼む!!頼むから俺を一人で向かわせてくれぇぇぇぇぇー!!!」
蓮とキョーコの乗る密室の移動車に同乗させられた社もまた、被害者…なのかもしれない。
END
☆拍手もらえるかは疑問な仕上がりですが、一応設置しちゃいました!
*****
いかがでしたでしょうか?
実は「君のとなり」を書いたあと、書きたいなぁと思ってたストーリーだったのですが、リクエストで出てこなかったので、ま、いっか☆と隅っこに追いやってたお話だったのです。
でもこの度、にけ様からリクエスト頂いて、引っ張り出してきました!!
バナーのオマケに君の隣の表紙イラストを作ってくださったにけ様に捧げます。
にけ様こんな感じでご希望に添えてましたでしょうか??
記念フリーシリーズなので、一声かけて頂けたらアメンバー様に限り持ち帰り可でございます。
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皆様とにけ様のお気に召して頂けたら幸いです。
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