「おはようございます、鈴音さん。」
「おはよう、直也君。」
「どうしたんですか?こんな所で。」
「ちょっと直也君に聞きたい事があって。」
「はっ?何か…?」
「あのね、あゆみちゃんの事が聞きたいなって。」
「た、ただの同級生ですよ。この前あゆみと約束して話をしたんじゃ…?」
なんとか話をそらそうとする俺に、
「そうだけど、直也君から見たあゆみちゃんの話。」
(ギクッ…。)
「ど、どうしてそんな事を聞きたがるんですか?」
「だってこの前の直也君、ずっとあゆみちゃんの事ばかり気にしてるみたいだったから。」
「そ、それはあゆみが初日って事で心配だったからですよ。」
「本当にそれだけ?」
「…。」
「ねぇ、何かあるなら教えて欲しいな。絶対誰にも言わないし、他人の関係をどうこう言うつもりなんてないから。」
自分の中にある、もやもやとした気持ちが晴れるならと思い、俺は鈴音さんにあゆみに対する想いを話す事にした。
「仕方ないですね…絶対に内緒ですよ?」
「うんうん。」
「実は俺、あゆみに片想いしてるんです。」
「うっそー?!」
「ち、ちょっと鈴音さん…大きな声出さないで下さいよ。」
「ごめ~ん、それで?」
テンポ良く話す鈴音さんに乗せられて、どんどん打ち明けていった。
「子供の頃は普通に幼なじみとして接していたはずなんですけど、いつの間にかあゆみの事を1人の女性として意識し始めていたんです。」
「あらあら…ベタな展開ね。」
「あの…鈴音さん、真面目に聞いてます?」
「もちろん。」
(本当かなぁ…?)
「でも…あゆみには今付き合ってる奴がいるんです。」
「それならそいつから、あゆみちゃんを奪っちゃえばいいのに。」
「それが…その付き合ってる相手は俺の友達なんです。」
「ありゃりゃ、これまた典型的な三角関係ってワケ?」
「…そういう事です。」
「それで、あゆみちゃんには『好き』って気持ちを伝えた事はあるの?」
「まだ…ですね。」
痛い所を突かれ、俺はついついうつむき加減になっていた。
「直也君はそれでいいの?」
「そんな訳無いじゃないですか?!」
無意識に大きな声になっていた。
「そうよ。その意気よ。」
「なんか鈴音さんに話したら、少し楽になった気がします。」
「そう?でもね直也君、さっき『他人の関係をどうこう言うつもりなんてない』って言ったばっかりで悪いんだけど、後悔だけはしないようにね。」
「は、はい…。」
すっかり鈴音さんの勢いに圧倒されていた。
(なんか鈴音さんって恋愛に詳しそうだな…。)
「そういう鈴音さんは彼氏はいるんですか?」
「…。」
(あ、あれ?)
「私ね…最近彼と別れたの。」
「そ、そうだったんですか…すみません。」
(まずい事を聞いてしまったな。)
「別にいいよ。…直也君の事色々と聞いちゃったしね。」
「鈴音さん…。」
「でもね、私も後悔はしてないの。…直也君はちゃんと話してくれたんだから、私も話さないと失礼よね。」
「…。」
「彼ったらいつまで経っても、私の事だけを見ていてくれなかったの。」
「…。」
俺は何も言えず鈴音さんの話を聞いていた。
今度は鈴音さんが常にうつむいて話を続けていた。
(やっぱり無理してるよな…。)
「も、もういいですよ。鈴音さん…。」
たまらず俺は話を止めようとした。
「…直也君って、優しいね?」
「い、いや…そんな事は無いですよ。」
「あゆみちゃんにもそれくらい優しくしてあげていたら、きっと振り向いてくれるんじゃないかな?」
「そうですか…頑張ってみます。」
「あ~あ、私も早く新しい恋がしたいな。」
ようやく普通に話が出来るような雰囲気になった。
「鈴音さんなら回り道はしても、きっといい人が現れますよ。」
「私、直也君だったらいいんだけどなぁ。」
「えっ…?」
(ドキッ。)
鈴音さんの今まで見せた事の無かった表情に、俺は思わず見とれてしまっていた。
「あははは…、直也君ったら顔真っ赤にしちゃって、やだぁ冗談だって。」
(はぁはぁぜぇぜぇ、あ~心臓止まるかと思ったぜ…。)
冗談に驚きはしたが、いつもの鈴音さんに戻ってくれた安心感の方が強かった。
「直也君、楽しかったわ。またゆっくりお話しましょうね?今日も頑張ろうね。」
「はい。」
鈴音さんは先に店へ入って行った。
(確かに俺はしっかりしないといけないよな…。)
その後もちろんあゆみも来て、問題もなく今日1日の仕事を終えた。
閉店するとあゆみが周りを気にしながら俺に話し掛けてきた。
「ねぇ直也、今日鈴音さんと何か話した?」
「あぁ、少しだけな。」
「その時私の事何か言ってなかった?」
「どうして?」
「私もこの前鈴音さんと約束してた日、直也の事をちょっと聞かれたの。」
「そうだったのか。どんな話だったんだ?」
「ガールズトークだもん。それは言えないよ。」
「ふん。まぁいいさ。」
「それじゃ、今日は雅恵とご飯食べる約束してるから。」
「おぅ、また明日な。」
あゆみは帰っていった。
(鈴音さん『他人の関係をどうこう言うつもりない』って本当かなぁ。…それにあゆみは俺の事どう思ってるんだろ?まぁ、考えても仕方ないか。)
その後、いつも通り掃除を終わらせ家へと帰った。
そして翌日、あゆみの休憩時間に雅恵が店へとやって来た。
[続く]
「おはよう、直也君。」
「どうしたんですか?こんな所で。」
「ちょっと直也君に聞きたい事があって。」
「はっ?何か…?」
「あのね、あゆみちゃんの事が聞きたいなって。」
「た、ただの同級生ですよ。この前あゆみと約束して話をしたんじゃ…?」
なんとか話をそらそうとする俺に、
「そうだけど、直也君から見たあゆみちゃんの話。」
(ギクッ…。)
「ど、どうしてそんな事を聞きたがるんですか?」
「だってこの前の直也君、ずっとあゆみちゃんの事ばかり気にしてるみたいだったから。」
「そ、それはあゆみが初日って事で心配だったからですよ。」
「本当にそれだけ?」
「…。」
「ねぇ、何かあるなら教えて欲しいな。絶対誰にも言わないし、他人の関係をどうこう言うつもりなんてないから。」
自分の中にある、もやもやとした気持ちが晴れるならと思い、俺は鈴音さんにあゆみに対する想いを話す事にした。
「仕方ないですね…絶対に内緒ですよ?」
「うんうん。」
「実は俺、あゆみに片想いしてるんです。」
「うっそー?!」
「ち、ちょっと鈴音さん…大きな声出さないで下さいよ。」
「ごめ~ん、それで?」
テンポ良く話す鈴音さんに乗せられて、どんどん打ち明けていった。
「子供の頃は普通に幼なじみとして接していたはずなんですけど、いつの間にかあゆみの事を1人の女性として意識し始めていたんです。」
「あらあら…ベタな展開ね。」
「あの…鈴音さん、真面目に聞いてます?」
「もちろん。」
(本当かなぁ…?)
「でも…あゆみには今付き合ってる奴がいるんです。」
「それならそいつから、あゆみちゃんを奪っちゃえばいいのに。」
「それが…その付き合ってる相手は俺の友達なんです。」
「ありゃりゃ、これまた典型的な三角関係ってワケ?」
「…そういう事です。」
「それで、あゆみちゃんには『好き』って気持ちを伝えた事はあるの?」
「まだ…ですね。」
痛い所を突かれ、俺はついついうつむき加減になっていた。
「直也君はそれでいいの?」
「そんな訳無いじゃないですか?!」
無意識に大きな声になっていた。
「そうよ。その意気よ。」
「なんか鈴音さんに話したら、少し楽になった気がします。」
「そう?でもね直也君、さっき『他人の関係をどうこう言うつもりなんてない』って言ったばっかりで悪いんだけど、後悔だけはしないようにね。」
「は、はい…。」
すっかり鈴音さんの勢いに圧倒されていた。
(なんか鈴音さんって恋愛に詳しそうだな…。)
「そういう鈴音さんは彼氏はいるんですか?」
「…。」
(あ、あれ?)
「私ね…最近彼と別れたの。」
「そ、そうだったんですか…すみません。」
(まずい事を聞いてしまったな。)
「別にいいよ。…直也君の事色々と聞いちゃったしね。」
「鈴音さん…。」
「でもね、私も後悔はしてないの。…直也君はちゃんと話してくれたんだから、私も話さないと失礼よね。」
「…。」
「彼ったらいつまで経っても、私の事だけを見ていてくれなかったの。」
「…。」
俺は何も言えず鈴音さんの話を聞いていた。
今度は鈴音さんが常にうつむいて話を続けていた。
(やっぱり無理してるよな…。)
「も、もういいですよ。鈴音さん…。」
たまらず俺は話を止めようとした。
「…直也君って、優しいね?」
「い、いや…そんな事は無いですよ。」
「あゆみちゃんにもそれくらい優しくしてあげていたら、きっと振り向いてくれるんじゃないかな?」
「そうですか…頑張ってみます。」
「あ~あ、私も早く新しい恋がしたいな。」
ようやく普通に話が出来るような雰囲気になった。
「鈴音さんなら回り道はしても、きっといい人が現れますよ。」
「私、直也君だったらいいんだけどなぁ。」
「えっ…?」
(ドキッ。)
鈴音さんの今まで見せた事の無かった表情に、俺は思わず見とれてしまっていた。
「あははは…、直也君ったら顔真っ赤にしちゃって、やだぁ冗談だって。」
(はぁはぁぜぇぜぇ、あ~心臓止まるかと思ったぜ…。)
冗談に驚きはしたが、いつもの鈴音さんに戻ってくれた安心感の方が強かった。
「直也君、楽しかったわ。またゆっくりお話しましょうね?今日も頑張ろうね。」
「はい。」
鈴音さんは先に店へ入って行った。
(確かに俺はしっかりしないといけないよな…。)
その後もちろんあゆみも来て、問題もなく今日1日の仕事を終えた。
閉店するとあゆみが周りを気にしながら俺に話し掛けてきた。
「ねぇ直也、今日鈴音さんと何か話した?」
「あぁ、少しだけな。」
「その時私の事何か言ってなかった?」
「どうして?」
「私もこの前鈴音さんと約束してた日、直也の事をちょっと聞かれたの。」
「そうだったのか。どんな話だったんだ?」
「ガールズトークだもん。それは言えないよ。」
「ふん。まぁいいさ。」
「それじゃ、今日は雅恵とご飯食べる約束してるから。」
「おぅ、また明日な。」
あゆみは帰っていった。
(鈴音さん『他人の関係をどうこう言うつもりない』って本当かなぁ。…それにあゆみは俺の事どう思ってるんだろ?まぁ、考えても仕方ないか。)
その後、いつも通り掃除を終わらせ家へと帰った。
そして翌日、あゆみの休憩時間に雅恵が店へとやって来た。
[続く]