この本の33の物語の1つ
10ページとの出会いが
私の目指したい場所の
理想を形作っています。


沢木耕太郎『彼らの流儀』新潮文庫
P.19~29の本文から、文章の順番をバラバラにして、部分引用して自分なりにアレンジしています。


【風の学校】

中田正一さんが主宰する不思議な教育機関


本校がなく、生徒が存在するところ、そこがすべて「風の学校」の分校。
生徒の資格は、海外での農業協力や奉仕活動を志望する者なら誰にでもある。


生徒は、中田が各地に用意した住居と田畑で自活しながら農業の経験を積んでいく。
それを「自活実習」と呼び、根幹をなす教育と考える。


もうひとつの重要な柱は「適正技術」の習得ということにある。
バングラデシュでの長い経験によって、【技術協力というものは相手の国の実情に見合ったものでなければ、決して根づくことがない】ということを骨身にしみて感じるようになったからだ。
たとえば、援助によって立派な機械が贈られる。しかし、一、二年もすると、打ち捨てられ、雨ざらしにされたままになってしまう。それも当然なのだ。故障しても修理する部品がないのだから。
そして、その部品を買う金すらないのだから。間違っているのは、その程度のことすら考えないで「援助」をする方なのだ。


そういった土地に必要なのは、金ではなく人であり、物であるより技術である。
しかも、その技術というものも、その土地にある物を利用し、その土地の人が習得できるものでなくてはならない。


「風の学校」が目的とするのは「自活実習」によって経験を積んだ若者たちが、そうした「適正技術」を習得して海外に飛び立っていくことなのだ。