手づくりの暮らしと音楽を通じて、

「自分にOK!」と言える仲間を増やす


風和土(ふわっと)~食と農と暮らしのがっこう~
高藤麗子(れいちゃん)です。


3月25~26日に開催する

【第2回ハンディキャップのある人のための 音楽キャンプ in星野村】

 

今回は、このキャンプの共同主催者でもあるお2人に、インタビューしました。

 

放課後等デイサービスかのん責任者で、音楽療法をされている、佐藤佳美さんと、

クラシックギタリストで、永吉ギターメソッドの発案者、障がいのある人にもギターを教えている、永吉公道さん。

 

音楽家のご夫妻です。


共同主催者であるとともに、佐藤さんは音楽療法のワークショップ、永吉さんはギターワークショップ(永吉ギターメソッド体験)を担当します。
 

この音楽キャンプが、どんなキャンプなのか、どんな人が関わっているのか、
お2人との対談から、少しでも伝わると嬉しいです!

(ちょっぴり音楽用語も出てきますが、そのまま書きますね~。
わからない言葉があっても、軽く読み飛ばしてください^^)

 

 

音楽の楽しさ・楽器を弾く楽しさを、難しさのある人も含めて、いろんな人に味わって欲しい

 

(私)
まずは、この音楽キャンプ、どんなキャンプにしたいですか?
どんな人に来て欲しいですか?

 

(佐藤さん)
私は、生き辛さを抱えてる方に、音楽を通して、楽しさや嬉しいことを感じて欲しい。
障がいのある人も、そうじゃなくても、音楽好きな人に何かできたらいいな、と思っています。

 

(永吉さん)
楽器を弾く楽しさを知って欲しい。
障がい者や、いろんな人で、楽器を弾きたくても弾けない人や、楽器をやっていても途中でやめた人もたくさんいるんよね。

やめた人は、どうしてやめたかというと、楽器を弾く難しさに直面して、
これは無理だな、となって、そこから立ちあがれずに、楽器を弾くのは無理だという現実を作ってしまってるんだよね。

そこに少しでも、弾くのは難しくないよ、弾くのは楽しいよ、というのを味わってもらえるといいな、と。
障害のある人もない人も、みんな一緒だと思うんだよね。

そこを少しでも感じてもらえれば、僕のギターメソッドも意味があると思うんですよね。

 

ピアノの先生から、音楽療法の世界へ

 

佐藤さんは、音楽療法をされていますよね。
いつからですか?始められたきっかけは?

 

(佐藤さん)
もう30年くらいになるんですよ。
日本に音楽療法が入ってきた頃ですね。

その頃、リトミックを勉強していたんですよ。
ピアノの先生をしていて、もっと楽しい教え方がないのかな、と思っているときに、たまたま知り合いがリトミックの研究会をやっていて、
一緒にやらない?と言われて、勉強になればと思って行ったんですよ。

そのときに、今度アメリカからノードフ・ロビンズ音楽療法のロビンズ先生が日本に来るから、あなたたぶん合ってるから受けに行ってみたら?と言われたんですよ。

えー、そうなんですか、ってなって。
東京にも遊びに行きたかったし、じゃあ行ってみようかな、ということで、行ってきたんですよね。

東京で、4日間のロビンズ先生の集中講座を受けてきました。
日本人の通訳がついて、いろんな事例をビデオで見せてもらって、
音楽がこんなことにも役立つとは!と、すごい衝撃を受けて帰って来たんですよ。
すごい面白そう、と思って。それからですよ。

普通のピアノの先生をやっていたけど、全然面白くなかったんですよね。
子どもが2人いて、下の子が少し手が離れて、勉強しようと思ったときにリトミックと出会って。
それから音楽療法に出会ったら、やっと私が研究できるものに出会ったと思って。それからずっとやっていますね。

 

それから、どんな形で音楽療法に関わって来られたんですか?

 

(佐藤さん)
最初は、勉強しただけだったんですよね。

その頃、うちの隣に、私が今教えに行っている大学の客員教授さんが住んでいたんですよ。
その方と仲良くなった頃に、東京に音楽療法の勉強に行く話もしたんですよ。
そしたら、「家にいらっしゃい」と呼ばれて、障がい児関連の本を下さって。

その先生に、「これからあなたは、社会貢献をするということを考えないといけないのよ」と言われて。
そのときはピンとこなかったけど、そうなのかなーと思って。
「とにかく私のところに勉強しに来なさい」と言われたので、
毎月1回、その先生のお宅に、勉強に通ったんですよ。
障がい児とは、障がい児教育とは、みたいな感じで。

あとで聞いたら、その先生は、北九州で初めて養護学校(今の特別支援学校)ができたときに、初めての教員だったらしいんですね。
当時は、養護学校は、落ちこぼれの先生が行くところ、だれもなりたがらない、みたいなイメージだったそうで。
その頃に、「あなたがやりなさい」と言われて、若かったので、引き受けたんですって。
そこから勉強して、本もいっぱい出して、大学に勉強に行ったりとか、いろいろされて、障がい児の幼稚園の園長を務めて、退職されたんですって。
それから、大学から障がい児教育の客員教授で呼ばれたそうなんですよ。

まさか私が、その後、同じ大学で教えることになるなんて、その頃は思いもしなかったですね。

それからも、ちょこちょこ勉強したり、
老人ホームから声がかかって教えに行って、今もやってるんですけど。

でも、どちらかというと、大人よりも子どもの方がやりたくて。

15年くらい前に、どうしても先生にピアノを習いたいというダウン症のお子さんが来られて。
そのお母さんが何人か呼んできて、障がい児のアンサンブルグループを作って、今もやってるんですよね。

そこから、2020年に、放課後等デイサービスもやることになったんですよ。

 

 

「いつかギターを弾いてみたい」が、本当に弾けるように

 

(永吉さん)
僕は、ふつうのギター教室をやっていて、そこに、ダウン症の子がギターを弾きたいと言って来たんだよね。
でも、どう見ても弾けそうになくて。
ダウン症の子は、力がないんだよね。
指で弦を押さえるのが、どうしても無理で。

私が永吉メソッドギターを考案して、それでも難しくて。
結局、私がそばにいて、左手の指を押さえるのを手伝って。
でも、右手のカッティングは、すごい上手だったんだよね。

その子は19歳で習いに来て、20歳の成人式でみんなの前で伴奏を弾いて、みんなが歌ったんよ。
あれは面白かったねー。

音楽療法の世界を知ったのは、彼女(佐藤さん)のおかげ。

僕がギターメソッドでやってる弾き方は、
ギターが弾ける人間は、誰も望んでいないというか、
どうでもいいことみたいで。

だけど、障がいがあったり、お年寄りだったり、そういった人たちには、
難しいところはあるけど、面白いですね、となる。

彼女(佐藤さん)のやってる、障がい児のアンサンブルグループは、
最初はピアノやっていたのに、
ギターをやり出したら、ギターばっかりやり出したよね。
そうやって続いている子たちのおかげで、今いろいろやってる礎ができたんだよ。

 

なるほど、永吉さんのメソッドで、力がない人でもギターが弾けるようになるんですね。
それ以外に、ハンディキャップのある人が弾けるようになると、どんないいことがありますか?

 

(永吉さん)
「弾きたかった」という人がいるんよ。
ギターが弾いてみたかった、と。
その思いが叶うことだね。

親も喜ぶんだよね。
お母さんが涙を流して喜ぶ姿を見るという経験をしました。
楽器を弾いて歌うということが、現実にできるという世界を目の前で見ると
すごいなーと思われるみたいで。

 

(佐藤さん)
障がいのある人って、楽器を演奏するなんて不可能、みたいな感じがあるでしょう。
ましてギターって難しいのに、それを自分の子どもが弾いて歌っているなんて。
なんでこんなに簡単にできるんですか、みたいな感じ。
指1本だけで、コードを全部弾くことができるなんて。

私のやってる障がい児のアンサンブルグループの子どもたちに
打楽器やピアノをやってきたんだけど、なかなか難しくて。
打楽器はできても、メロディ楽器ができないので、どうしたものかと。

ところが、彼のギターをやったら、弾けるし歌えるし、
これだ!と思って、来てもらって、子どもたちがやったら、一発でできたの。
フレットに書いてる番号を押せば、そのとおりにできて、歌が歌えて。
お母さんたちもびっくりして、本人たちも嬉しくてたまらなくて、できたー!という達成感があって。

これは、この子たちだけじゃなくて、もっと伝えた方がいいと思って、
本を作って出版したりとか、新聞とかテレビも来てくれたので、
広がったんですよね。

 

ギターには、オープンチューニングというのがあるんですよ。
指1本で押さえて、和音ができるようになる。
でも、長調と短調が一緒にできないんだよね。
チューニングし直さないといけないので。

僕がやってるのは、オープンチューニングとは違うんですよ。
メジャーにもマイナーにもなる。

フルートの「アルルの女」のメヌエット、
あれをメソッドギターで伴奏したことがあるよ。
コード弾きだけど、きれいに合うよ。

 

理屈抜きで一緒にできるのが、音楽のいいところ

 

それでは、ハンディキャップのある人たちに、音楽を通じて、これからやっていきたいことは、何ですか?

 

(佐藤さん)
音楽療法を広めたいですね。
「吃音がある子どものための音楽療法と言語トレーニング」を
今、月1回、定期的にやってるんですけど、これも広めたい。

音楽療法や音楽が、障がいのある人の役に立つということを、もっといろんな人に知って欲しい。
実際にそういうことをやって、生活のスキルが上がるとか、楽しみを見つけられる子が増えたらいいな、と思っています。

 

(永吉さん)
僕のやってることは、全ての楽器と一緒にできるんですよ。
ピアノ、バイオリン、フルート、チェロ、など、どんな楽器とも合わせられる。

ギターだけじゃなくて、どんな楽器とも合わせられるから。
そういうアンサンブルに入ってできるという楽しみを、覚えてもらったら嬉しいかな。

音楽はアンサンブルだから。1人でやるものじゃなくて。
みんなで合わせてできる世界を味わって欲しいな、というのが一番大きいね。

僕は、(プロのクラシックギタリストとして)別の世界も知ってるけど、
そこで味わっているものと同じものを味わえるよ。

そこが音楽のすごさだし、楽器をやってる楽しさだし、言葉じゃないコミュニケーションだし。

理屈抜きで。理論的なこととかは抜きにしてできるでしょ、というところ。
そこが音楽キャンプのいいところ。全部できるでしょ。垣根がないから。
そこを味わってもらえば、全然難しいことじゃないから。

 

やっぱりキャンプって楽しいよね!

 

(佐藤さん)
このキャンプは、音楽の人間だけでもできないし、キャンプの達人もいないとできないし。うまくできてますよね。

星野村の自然の中で、障がいのある子どもたちがどんなふうに変化するかを見たい、というのもありますね。
自然の中に入ったら、どんなふうに子どもたちが変わるんだろう、っていうのを。これまでも、身を持って体験したことだし。

 

(永吉さん)
みんなで食べたり飲んだりするのが一番楽しいよね。
そこに音楽がある、というのがいいよね!

 

という感じの対談でした!

このキャンプは、音楽家さんたちの協力で成り立っています。
お2人の他にも、いろんな方が混じってくださっています。

プロもアマチュアも、ハンディキャップがあるとかないとかも、
そういうのを越えて、一緒にできる世界があるというのが

音楽のいいところでもあり、キャンプのいいところでもあり、

そんな世界を、いろんな方に味わって欲しいな!と思います。

 

垣根を越えて、みんなで一緒に音を合わせるという世界を
一緒に体験しませんか?


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【第2回ハンディキャップのある人のための 音楽キャンプ in星野村】

2023年3月25日~26日に福岡県八女市星野村の池の山キャンプ場にて。

ただ今、参加者募集中です!

 

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