月面着陸は難しい | 釣り師風来坊のつれづれ日記

月面着陸は難しい

2023年4月26日 民間企業で初となる月面着陸にispace社が挑んだが、残念、着陸を失敗しました。

 

報道では、高度の計算に誤差があり、着陸前に燃料を使い切ったと書いておりましたが、iapaceのWEBでは、失敗の直接原因についてはまだ言及されていませんね。

 

ただ、燃料を使い切った後に着陸船が加速しているので、誤差かどうかは別にして着陸前に燃料を使い切ったんでしょうね。

 

月面着陸ってのは、1968年にアポロ11号が人類を初めて月面に送り届けたわけですが、その前にソ連が無人の月面着陸を行っております。しかし・・・このときのソ連の着陸は着陸というよりも落としたといった方が正しくて、足が付いた状態での着陸は、アポロ11号が最初でその1年度の1970年にソ連のルナ16号が、無人で着陸して月の土壌サンプルを持ち帰っています。

 

それからときは過ぎて、2013年12月中国の嫦娥3号が世界で3カ国目となる月面着陸を成功させました。

 

その後インドやイスラエルが月面着陸に挑戦しましたがいずれも失敗に終わっています。

 

関数電卓もなかった時代にソ連と米国が月面着陸をしてサンプルを持ち帰ったり人を送ったり、今考えたらすごいことですが、

逆に考えれば、今の技術を持ってすればそれほど難しくない技術とも言えるわけです。

 

じゃぁ何故何十年もブランクが空いてやっと中国が成功させたけど、ロシアも米国もその後月面探査をぴったり止めたのか?
また、日本やEU等そこそこ宇宙探査技術を持っているのに何故何もしないのか?

 

それは、莫大な金がかかるから

 

話をちょっと変えて月面着陸を行う場合大きく2つの方法があると思います。

1つ目:米国、ソ連、中国、インドが試みた。司令船+着陸船(再出発用+着陸用)方式

これは、大型のロケットがないと叶いません。アポロ計画で人類を月に送れたのは、巨大なサターンV型ロケットがあったからです。中国の長征3号やロシアのヴォストークは、それなりに大きなロケットですが、サターンV型から見れば赤子同然です。
だから、米国以外月に人を送れないんです。

最近SpaceXが失敗はしましたけど、サターンV型以上のハイパワー大型ロケット(スターシップ)が開発中です。
これだけのものがあれば月面着陸だけではなく、SFさながらの大型ローバーも届けられるでしょうね。

この方式は、ロケットの能力と費用が恐ろしくかかりますが、飛行時間が短く(1W程度)燃料もかなり詰めるし、周回軌道を重ねて着陸地点の正確な計測もできるから成功の確率があがります。(インドは失敗したけど、懲りずにやればいずれ近いうちに成功すると思います)
2つ目:イスラエルやispaceが行った方式で、地球周回軌道でロケットから切り離された着陸船単体で月まで行きそのまま着陸する方法です。この方法の利点はずばり、安く上がることシステム全体の重量が少ないので比較的標準的なロケットでも行けることです。ただし、小さな着陸船に月までの飛行を行うための燃料とシステム、それを付けたまま着陸するのですからシステムが複雑になる上に飛行時間が1ヶ月~数ヶ月と長く機体の故障リスクが上がるのと月への着陸シーケンスの余裕が無いことです。

身近なことに例えるなら、車で海まで船をトレーラーで引いて、海に付いたら船を下ろして魚釣りをしてまた船を回収して帰るのが1の方法で、水陸両用車で海まで行ってそのまま海に入って魚釣りをして帰るのが2の方法です

一見2のほうが無駄がなく良いように見えますが、両方の昨日を満たすために中途半端な仕様になってしまいます。

だからispaceの方法は、コストは抑えられるけど技術的にはかなりハードルが高いんです。

何でもそうですけど、無駄のない開発ってのは言葉を帰ると余裕のない開発なので全てがギリギリ担っちゃうんですよね。

 

成功しても失敗しても2機目は作り始めているようですからまた挑戦するとは思いますが、そもそもコストを抑えようとしているのは資金を集めるのも容易じゃないってことですから、国がJAXAの代わりに国家事業としてispaceに投資しない限り、なかなか厳しい挑戦は続くだろうなと思います。

個人的には成功してほしいですけどね。