寅 「悪かった。何しろ、あの時は俺も、若かったから・・・」

おいちゃん「何か若かっただ、バカ。あれは先月のことだ!」



そうそう、俺なんか定年ありゃしねえ。

あれはどうやったらいいんだ、区役所に申請すんのか?



秀才よ、法律の勉強をしてるの

「へえー、悪いことでもしようっていうのか?」




昔から早メシ早クソ、芸のうちといって、私など座ったと思ったらもうケツを拭いております。

この間などはクソする前にケツを拭いてしまって、親戚中で大笑いよ。





例えば、日暮れ時、農家のあぜ道を一人で歩いていると考えてごらん。

庭先にリンドウの花がこぼれるばかりに咲き乱れている農家の茶の間、灯りがあかあかとついて、父親と母親がいて、子供たちがいてに賑やかに夕食を食べている。これが・・・これが本当の人間の生活というものじゃないかね、君。




人はなぜ死ぬんでしょうね?と聞かれて

まあ、こう人間がいつまでも生きていると、陸の上がね、人間ばかりになっちゃう。

で、うじゃうじゃ、うじゃうじゃ。

面積が決まっているから。でみんなもって、こうやって満員になって押しくらまんじゅうしているうちに、ほら、足の置く場所がなくなっちゃって、で、隅っこにいるやつが、お前どけよと言われて、アッーなんで海の中へ、バシャンと落っこって、アップアップして、助けてくれー、なんてね死んじゃうんです。

結局、そういうことになるんじゃないんですか。






働くっていうのはな、博みたいに女房のため子供のために額に汗して、真っ黒な手をして働く人たちのことをいうんだよ。




満男「人間は何のために生きてるのかな」

寅  「何で言うかな、ほら、あー生まれてきて良かったなって思うことが何べんかあるだろう、そのために人間生きてんじゃねえのか」




満男に酒の飲み方を教える

まず片手にさかずきを持つ。酒の香りを嗅ぐ。

酒の臭いが鼻の芯にジーンとしみとおった頃、おもむろに一口飲む。

さあ、お酒が入ってきますよということを五臓六腑に知らせてやる。

そこで、ここに出でいるのがツキダシ、これを舌の上にちょこっと乗せる。

これで、酒の味がぐーんと良くなる。

それから、ちびりちびり、だんだん酒の酔いが体にしみとおってゆく。