今回のスーパーボウル、第1Qで起きたディフェンスのパス・インターフェアについて解説します。


第1Q、NYGゴール前17ydのレッドゾーンで、NEの第3ダウン、10yds。QBブレイディはドロップバックし、エンドゾーンにまっすぐに入ったWRワトソンへパスを投じます。パスカバーしていたNYGのLBピエースはレシーバーを見ながらエンドゾーンに入り、ボールを見ることなく、ボール(写真の黄色い円内がボール)がワトソンに届く前に彼をタックル、パスは失敗しました。


NYG-D


写真の左上につま先だけ見えているBJがフラッグを出し、ディフェンスのパス・インターフェア(DPI)と判定されました。



NFLのルールでは、DPIの場合距離に関係なく、発生した地点で攻撃側の第1ダウンが与えられますが、反則発生がエンドゾーン内の場合には、ゴール前1ydから第1ダウンの攻撃が与えられます。この後、RBマロウニーがこの1ydを突っ込み、逆転のタッチダウンとなります。

DPI


NCAA(および日本)のルールではDPIの場合①発生地点がプレビアススポットから15yds以内の場合には、発生地点で攻撃側の第1ダウン②発生地点が15ydsより遠い場合にはプレビアススポットから15yds罰退して攻撃側の第1ダウン③敵陣17ydからエンドゾーン内までの間で発生すれば、ゴール前2yd地点で攻撃側の第1ダウン―――ということになります。


NFLの醍醐味の一つであるパスプレイに対しては、ロングパスでも反則は厳しくというのがNFLルールのようですね。


NYG-D2

スーパーボウル、第4Q残り2分40秒余りから始まったニューヨーク・ジャイアンツの攻撃。2回ダウンを更新したものの、ハーフラインにも届かず、第1ダウン、第2ダウンともパス失敗、ファンもベンチも苛々、ハラハラしながら迎えた第3ダウン。このダウンの攻撃が失敗するとよりプレッシャーがかかる第4ダウンのギャンブルプレイへとつながる。NYGは迷わずパスプレイを選択しました。





NYG-O1



ドロップバックするQBマニング。しかし、ニューイングランド・ペイトリオッツの誇るディフェンスラインが、パスプロテクションをすり抜けてマニングに襲い掛かります。





NYG-O2



マニングの左手にDLの手がかかる。万事休す。


その瞬間、マニングはラッシュの切れ目をすり抜けて、右側に逃げます。





NYG-O3



右オープンをカバーしていたNEのDLとうまくすれ違い、マニングは右オープンに展開します。





NYG-O4



パスラッシュをカバーしていたレフリー(画面右側の白帽子)もあわててマニングの展開についていこうとします。マニングは展開しながら体勢を立て直し、ダウンフィールドのレシーバーを探します。





NYG-O5



先ほどすれ違ったDL90がチャージを試みますが、その前にマニングはターゲットを見つけて、すかさずパスを投じます。


NYG-O8



フィールド中央付近でDBと1対1になっていたWRタイリーは、その長身を生かしてジャンプ。両手を思い切り上げてこのパスをキャッチします。


NYG-o9



この時点では、まだボールは確保されておらず(ルール上ではパス成功ではない)、タイリーと一緒にジャンプしていたDBは、このボールをはじき出そうとしますが、タイリーは落下中に自分のヘルメットでボールを確保することに成功します。落下後なおもボールをかき出そうとするDBとボールの取り合いになりますが、近くで見ていた審判がパス成功を確認。NYGはNE陣16yd付近で第1ダウンを獲得しました。


この後、NYGは残り時間35秒で逆転のタッチダウンを上げ、17年ぶり3回目のスーパーボウルチャンピオンに輝きました。





SB42-4Q5

まさに投げも投げたり、取るも取ったりのプレイ。マニングが史上初の兄弟でのスーパーボウル制覇と兄弟で連続MVPをもぎ取った瞬間でした。





 【ニューヨーク4日時事】3日にジャイアンツがペイトリオッツを破った米ナショナル・フットボールリーグ(NFL)の王座決定戦、第42回スーパーボウルの全米テレビ視聴者数が、同ボウル史上最多の推定9750万人だったことが4日分かった。ニールセン・メディアリサーチが発表した。視聴率は43.3%だった。
 これまでの最多は1996年にカウボーイズがスティーラーズを破った第30回大会の推定9408万人。


SB42FINAL


第42回スーパーボウルが、フェニックス大グランドでキックオフされた。


第1Q、ペイトリオッツ(NE)のキッカー、ゴストコウスキーのキックで開始されたジャイアンツ(NYG)の攻撃は、自陣23ydからRBジェイコブスのラン、QBマニングのショートからミドルレンジへのパスなどで、NE陣14ydまで進み、キッカー、タインズが32ydsのFGを決めてNYGが先制した。このドライブは16プレイを9分59秒使ったもので、スーパーボウルの新記録となる長時間ドライブだった。








sb42-1Q






返しのシリーズ、NEはキックオフのボールを自陣44ydまで返し、RBマロウニーのランやQBブレイディから各レシーバーに投げ分けるパスなどで前進、最後はゴール前1ydからRBマロウニーがエンドゾーンに飛び込み、逆転。キックも成功して7-3と試合をひっくり返し、前半を終了した。







SB42-2Q




第3Qは一進一退で推移、試合が動いたのは第4Qに入ってからだった。NEのパントがタッチバックとなったNYGの自陣20ydからの攻撃でQBマニングはTEボスへ45ydsのこの日最長となるパスを通し、NE陣に進むと、ブラッドショーのラン、スミスへのパスでNEゴール前3ydへ。最後はWRタイリーへのタッチダウンパスを決め、10-7と再逆転に成功した。





SB42-4Q1





両チームが1回ずつパントを蹴りあって始まったNEの攻撃は、QBブレイディがロングパスを決められないものの、ウェルカー、モス、フォークらへ10yds前後のパスを効果的に決めながらNYGゴール前6ydへ。ここから2度のパス失敗の後エンドゾーン内のモスへパスが成功し、再びNEがリードした。





SB42-4Q2



残り時間2分42秒となったNYGの返しのシリーズ。自陣17ydから2度ダウンを更新するも、自陣から抜け出せない。しかし、次のプレイでQBマニングはWRタイリーへ32ydsパスをヒット、NE陣24ydまで進む。ここからマニングはスミス、バレスへ連続でパスをヒットさせて三度試合をひっくり返した。





SB42-4Q3


SB42-4Q5




残り35秒でNEは最後の攻撃。パス失敗、ブレイディの10ydsサック、パス失敗となり、第4ダウン、残り20yds。ここでもブレイディはパスを失敗し、攻撃権がNYGに移る。最後は残り10秒でNYGのQBマニングがニーダウンして時間を消費。NYGが17-14で17年ぶりにスーパーボウルを制した。


両チームの成績はパスではマニングが34回中19回成功、255yds、2TD、1intだったのに対し、ブレイディは48回中29回成功、266yds、1TDだった。最長がマニングの45ydsだったのに対しブレイディは19ydsにとどまり、ロングパスを生かさせなかったNYGのCB、Sの健闘が光る。また、ランではNYGの26回、101ydsに対してNEは16回、45ydsにとどまり、パスとランのバランスという面でもNYGが上回った。



maning

スーパーボウルを観戦するに当たって、日本の学生や社会人のゲームと比べて「?」と思われるルールが目につくことがあるでしょう。
観戦直前に、違いを説明しておきますので、初心者のみなさんは、以前より少し中身のわかる観戦ができるのではないか、と期待しています。
もちろん、私の説明以外にも、役に立つ違いや、ご指摘があれば、遠慮なくコメントしてくださいね。

1:背番号の規制
アメリカンフットボールでは、前パスを捕球できるプレイヤーは1~49までと80~99までの背番号をつけなくてはならない、とされています。NFLでは、ポジションとしてレシーバーと登録されていれば、背番号に規制はありません。ときどきゴール前から50番台や60番台のプレイヤーがタッチダウンパスをキャッチする光景が見られます。

2:プレイが止まる時
ボールを持ったプレイヤーがグランドに足と手以外の部分が付くと、そのダウンは終了します。NFLでは、相手のタックルの結果、足と手以外の部分がグランドに付かない限り、プレイは終了しません。つまり、自分が足を滑らせて転倒した場合には、起き上がって前進することができます。
QBがバスターゲットが見つからず、自分でボールを持って走り出すスクランブルプレイで、タックルされる前にグランドに滑り込む形で倒れる場合がりますが、この場合にディフェンスのプレイヤーは倒れたQBにタッチすることで、そのダウンを終わらせます。 QBはケガが一番心配なポジションですから、相手側も心得て「タックル」するわけです。

3:まぎらわしい判定
NFLでは、判定がわかりづらい時や、自分のチームに不利な判定とベンチが判断した時には、赤いフラッグをグランドに投げVTRによる判定の確認を要求することができます。これを「チャレンジ」といいますが、何度も使える権利ではありません。審判はチャレンジがあると試合を中断し、サイドラインにあるTVのモニターをレフリー(白帽子)が何度も確認します。バスが成功か不成功か、タッチダウンプレイがゴールラインを越えたか越えてないか、サイドラインをプレイが割ったか割らなかったか、など試合の流れを左右するプレイで行われることが多いでしょう。チャレンジの結果タッチダウンが取り消されたり、パスが失敗になったりすることがあります。
逆に判定通りであると結論が出た場合には、チャレンジをしたチームのタイムアウトが1回削られます。試合の終盤には時間との戦いにもなりますから、ベンチがチャレンジをするかしないかは重要な判断力が必要になります。

まあ、TVの解説でも説明されることでしょうが、事前にわかっていれば、それだけゲームを集中して見られますよね