先に予定としてお知らせしていた08年度のルール改定が正式に決定しました。

全体のお知らせを本稿で行い、以下個別の解説を数回に分けてお知らせします。


(1)サインの撮影の禁止

相手プレイヤー、コーチまたはチーム関係者が出すサインをオーディオ機器、あるいはビデオ機器により記録しようとする行為は禁止になりました。これは試合中の当事者が相手チームのベンチをビデオ撮りしてはいけないという規定です。スカウティングなどでの撮影はOKです。日本の場合には、試合毎にサインやオーディブルを変えるチームは少ないので、スカウティングでのベンチ撮影も不可なように感じますが、試合当日のみの規定です。


(2)チョップブロックの定義の変更

これまで「互いに隣接していないラインマンによって、ニュートラルゾーンで行われる」か「ブロックに関係する全員がニュートラルゾーンを越えている位置」でのハイ/ロー、ロー/ハイ、ロー/ローの組み合わせのブロック、と定義されていましたが、フィールドのどこであれ、ランナーを除く相手に対して2人のプレイヤーによるハイ/ロー、ロー/ハイの組み合わせのブロックと定義が変更になりました。また、ブロックする場所や時間による規定がなくなりましたが、ロー/ローのブロックは反則とはならなくなりました。


チョップブロック




(3)フィールドゴール時のキッキングティの使用禁止

ローカルグランドでは、非常に悩ましい改定です。いわゆる「かまぼこ」型のFGティが使えなくなりました。関東では1部および1-2部の入替戦では使用不可、それ以外のディビジョンのリーグ戦では使用可ということらしいです。東北学生では、リーグ戦では使用可、パイン、シトロン両ボウルゲームでは使用不可という運用のようです。東北社会人では今のところ正式決定されていませんが、学生と同様の対応となる可能性があります。


(4)キッキングティの規格の変更

ボールの最下端がグランドから1インチ(約2.5cm)までのティのみ使用可能ということになりました。ダブりキックが頻発しそうですね。


tee1

←この長さは不可になります。



tee2


                            この規格でOKです→



アメリカでは、いち早くこのティーの変更がなされたため、長いティーが大量に日本市場に出回り、特売で売られたそうです。もっとも、規格通り(約2.5cm)にティーの下をカットしてもOKという対応になります。


(5)不用意なホイッスル発生時の計時調整の廃止

プレイが行われている時に不用意なホイッスルが発生すると、これまでは時計をそのプレイの前の計時に戻していましたが、これが廃止されました。要するに審判のミスですので、そのまま時計を流すという発想でしょう。


(6)キックオフ時の25秒計の計時開始

審判のメカニックに関する規定の追加です。キッカーの位置にいる審判が、キックボールを確認してキッカーに手渡し、かつ全員の審判の準備ができたことをレフリーが確認したら、レディフォープレイのコールを出し、その瞬間に計時開始となります。レフリーのポジションに入る審判は、レシーブチームのハドルが解けることを確認してください。審判の準備ができたから試合を始めるのではなく、レシーブ側のハドルが遅いようなら「ハリーアップ」などの声かけをするように心がけましょう。


(7)ショルダー、ジャージの襟をつかむタックルの禁止

ショルダーパッド、ジャージの襟の後部の内側、または側部の内側を掴んで直ちに(激しく)ランナーを引き倒す行為が反則になりました。除外されるのは両タックルの内側にいるランナーやパスポケットの中にいるQBに対してのものだけです。

この項はすでに解説をアップしていますので、参考にしてください。


ホースカラータックル



(8)フェイスマスクの罰則変更

偶然に掴んだ、もしくは手がかかった場合の5ydsのフェイスマスクの反則がなくなりました。フェイスマスクは「掴んでひねる、掴んで回す、掴んで引く」行為のみが15ydsの反則となります。ただし、手がかかった場合にも「手の不正使用」(オフェンス、デジフェンスとも)には抵触する可能性がありますので注意が必要であることに変わりはありません。


(9)危険なタックルの禁止

ヘルメットを使用した相手への突き当たり、スピアリング、ヘルメット上部での突き当たりについて、「ヘルメットの頂点から相手に当たっていく」「ヘルメットの頂点で相手を狙い撃ちにする」行為を指すという具体的な定義が追加されました。同時に無防備な相手の首やその上の部分に対する狙い撃ちのタックルやブロックが禁止されました。


ここでいう「無防備な相手」とは

1.相手にボールを手渡すかピッチした後、スクリメージラインに沿って移動していて、それ以上プレイに参加しようとしていないQB

2.ボールをキックする行為中のキッカー、あるいはキック後自分のバランスを回復するための十分な時間が経過していないキッカー

3.ボールを投げる行為中のパサー、あるいはボールを投げた後プレイに参加するための十分な時間が経過していないパサー

4.ボールに注意が集中しているパス・レシーバー

5.パスがキャッチ可能でなくなった時にあきらかに力を抜いたパス・レシーバー

6.下降してくるボールに注意が向いているキック・レシーバー

7.ボールにタッチした直後のキックレシーバー

8.ボールがデッドになった後に力を抜いたプレイヤー

9.プレイから明らかに離れているプレイヤー

を指します。詳細を近日中にアップしますので、参考にしてください。


(10)サイドライン妨害への警告の禁止

チームエリアに引かれている2本のラインの1本目と2本目の間は「コーチングゾーン」です。ここにはヘッドコーチ、コーチ、コーディネーターなどしか入れません。プレイヤーとその他のチーム関係者は2本目のラインの後方に位置していなければなりません。どうしても試合がエキサイトしてくると、コーチやベンチのプレイヤーは前へ前へと出て来がちです。これまでは2回まで「警告」した後で3回目が「ゲームの遅延行為(ディレイ・オブ・ゲーム)」として5ydsの罰退、それ以降は「スポーツマンらしからぬ行為」もしくは「ノーコンタクトファウル」として15ydsの罰退でしたが、この1,2回目の警告がなくなりました。1,2回目が「ゲームの遅延」、3回目以降は従来と同じ15ydsの反則となります。ただし、チームタイムアウトを取る権利のあるコーチ(1チームで事前に申告のあった1名のみ)が時間を止めるために近くの審判にタイムアウトをコールするためにフィールドに入ることは除外されます。