ブログネタ:私、○○恐怖症です
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今回は雉達ではなく、旧制私立高校で、今でも交流のある将軍のK君のお話です。前にも書きましたが、私達の頃は将軍や欅にはなかなか勝つことができず、かろうじて橙光線と五分に近い戦績でした。付属高校から進学者が多い他の3大学に比べ、我が雉達の付属高校は「御三家」として一時は進学校の代名詞になっていましたので、付属から大学に進学するのは、浪人を認められていない課程の子供や、親の意向でそのまま上の大学に進めといわれているような数人しかいませんでした。実際私の代では浪人を認められなかった一人だけでした。つまり新入生の勧誘でも他の3大学は付属からのつながりである程度の人数は確保できるわけです。




そんな中、ある年に将軍大学に有望な新人が入部しました。身長が180cm超、体重も入学時で90kg近くある逸材です。体型でポジションを決めたわけではないのでしょうが、そんな彼はタックルのポジションを与えられ、1年生からスタメンで試合に出ていました。並列のさつきリーグは、当時綱島の雷が全盛時代。リーグ戦の勝率で関東選手権に出場できるのですが、2位以下はいつも混戦で、戸塚の聖人、目白の将軍、町田の三爪冠が争っていました。




リーグ戦の運営やポストシーズンの試合日程などをきめるため、私達学連は月に1度程度の会議をもっていました。その会議で将軍の学連から、K君の意外な一面を聞いたのはシーズンも押し詰まった11月の会議のときでした。




「Kってさ、身体もでかいし、顔もいかついだろ?だから部内でもでかい面してるとおもうじゃない。ところが違うんだよ。あいつ、あんな図体して『閉所恐怖症』なんだよ」というのです。「なんでわかったの?」と聞くと、「練習で攻撃のハドル(アメフトは攻撃の度に『ハドル』と呼ばれる作戦会議を円陣を組んで行います)のときに、円陣を小さくしてやってたら、急にKが『勘弁してください』って言い出したんだ。『どうした?』って聞いたら『自分、閉所恐怖症なんです』だってさ」というのです。




人の性癖ですから、とやかく言うことではないのですが、そのことを聞いた将軍の先輩たちは面白がって練習でKが攻撃に入るとわざと彼を中心にしゃがませて、ハドルの円陣を小さくして彼をからかっているのだそうです。




いやいや、あんなコワモテの彼にそんな性癖があったとは・・・・卒業後も関西のM下電工でスタメンのOTをつとめた彼でしたが、その話を聞いて以降は、彼を見る目がなんとなくほほえましくなったことを覚えています。