ブログネタ:どうしても取り戻したい落し物ある?
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ついに「雉達」シリーズが20回目を迎えました。「私の59秒の真実」や未完の「テキサス道中記」に比べると、ショートショート的なものなので、書きやすいってことと、現役時代のエピソード紹介なので記憶のあるうちに書いてる感じですね。最近はブログネタに無理やり合わせて私小説仕立てにしちゃってるところもあるんですが。まあ、シーズン始まるまでのつなぎ程度に考えて、軽くお読みくださいませ。今回のお題「どうしても取り戻したい」は、決して「愉快な」話しではありません。私とアメフトの付き合いをこれほどまでに長くしてくれた忌まわしい出来事です。




生来身体が硬くて、前屈なんかはまともにつま先に手が届かないくらいの硬さだったのですが、入学式で高校の先輩に出会ったのが運のつき、あっという間に雉達の仲間入りをさせられ、秋のシーズンの最終戦で迎えた新人戦での出来事でした。この年は関東学生連盟に準加盟という扱いで、1部に行った青波、宗教系の青獅子、日吉の一角獣とオープン戦を行い、11月に駒沢第二Grで目白の将軍と新人戦を行うことになりました。4年が抜けて1年が初スタメンとなる最初の試合です。私は左のCBでした。




将軍には中高の同窓生がおり、高校時代からプライベートで経験があった彼はすでにリーグ戦デビューも果たしていました。私は高校まで文化系のクラブ経験しかなく、それまではキックオフのチャージで何度かグランドに立った程度。緊張もしていたのですが、その瞬間はあっという間に訪れました。




第1Qの終盤、チビの私でしたが相手のパスにはきっちりマークができて、私サイドでのパスの成功はなく、オープンへの上がりもそこそこでロングゲインも許していなかったのですが、そのプレイの時には、プルアウトしてきたガードがノーマークで私に向かってきました。ボールキャリアが見えていたせいもあるのですが、思いっきりオープンサイドに上がった私を待っていたのは、そのプルアウトガードのひざへのブロックだったのです。




「ブチッ」




っといやな音が自分のひざからしたのを今でも覚えています。続いて感じたとてつもない痛み。私は転げまわってかろうじて自分のベンチ側のアウトオブバウンズに出ました。マネージャーがあわてて近寄ってきてひざを冷やしてくれるのですが、痛みは去りません。立ち上がろうとしたら、ひざが内側に曲がる感じで、立つことができませんでした。そう、アメフトでは一番ありがちなひざの靭帯の断裂でした。




土曜日だったこともあり、自宅までSの車で送ってもらい、日曜日は一日自宅で寝ていたのですが、月曜日の朝には、私の左ひざ付近は丸太棒のように腫れ上がっていました。診察を受けた病院では、浣腸をするような大きな注射に1本以上の血がひざから抜かれ、そのまま入院。そのとき以降、半分マネージャー、半分プレイヤーの学生生活を送ることになるのです。




それがきっかけで、私はルールを覚え、プレイヤーに復帰するまではオープン戦の審判などをして、3年の時には学連の執行部へ。場内放送や試合の設営をするうちに審判のみなさんとも知り合うことになり、卒業後の審判部入りが自動的に決定されてしまいました。




私がどうしても取り戻したい落し物。それは1年の秋に、駒沢第二グランドで断裂してしまった自分の靭帯なのです。