関大アメフト部員が部室に入ったドロボーを“逮捕”していたことが12日、分かった。お手柄をあげたのはレギュラー選手で経済学部4年の桜間啓之さん(21)。事件当日は公式戦があったが、桜間さんは直前まで警察の捜査に協力。試合出場が危ぶまれたが、警察の計らいで最後はパトカーで試合会場入りした。

 事件があったのは11日午前9時半ごろ。大阪府吹田市の関西大学敷地内にあるアメフト部の部室に不審な男が入っていくのを、桜間が発見した。

 桜間さんが部室に入ると、男がカバンなどを物色していた。「おい、何してる!」と声を掛けると、男は部室の外へ逃走。桜間さんが約10メートル追いかけ、取り押さえた。しかし桜間さんが携帯電話で通報しようとしたスキに男は黒いリュックサックからスプレーとバールを取り出し、スプレーを顔面に噴射。「一瞬、あっと思ったが、甘い匂いがした」(桜間さん)。スプレーは汗止め用のスプレーだった。

 桜間さんがひるんだスキに男は再び逃走。男を見失い、途方に暮れているところに、1人の部員が部室に戻ってきた。桜間さんが事情を話すと、部員は不審な男を見たといい、桜間さんと部員は男が逃げた方向へ猛ダッシュ。部室から約400メートル先で、歩いている男を発見。桜間さんは「今度は逃がせへん」と背後から飛びつき、押さえ込んだ。もう1人の部員が大阪府警吹田署に通報。同署は強盗未遂の疑いで大阪市西成区、無職池田茂実容疑者(55)を逮捕した。

 関大アメフット部は事件当日の午後2時から吹田市の万博記念公園で関西学生リーグの立命大戦があった。桜間さんは午後1時半ごろまで実況見分など捜査に協力。吹田署は桜間さんをパトカーに乗せ、サイレンを鳴らしながら、試合会場へ“急行”。桜間さんは「試合にも間に合い、犯人もつかまえることができてよかった」と話している。

(日刊スポーツより)