木曜日の米株は指標が予想を下回ったにもかかわらずプラス圏で終了していましたが、金曜日の日経225先物は緊急事態宣言が東京都以外にも適用されることが報道されると27,680円でスタートした直後から一貫して売られ14:15に27,250円の安値を付け、27,360円で引けました。ナイトセッションはヨーロッパ株がアジアの流れを受けてマイナスでスタートしたので27,370円でスタートした後買われ気味で22:45に27,600円の高値を付けた後反落して27,490円で引けました。
金曜日日中のアジア・太平洋株は前日の欧米がプラスで引けるもナイトセッションの日経が大きく売られていたことで弱含んでスタート後各国とも大きくマイナスで取引を終えています。日経平均は1.8%マイナス(月単位では5.2%マイナス)で引けました。Topixは1.4%マイナス(同2.8%マイナス)で引けました、マザーズは2.6%マイナス(同9.6%マイナス)となりました。中国上海/深センCSI300は0.8%マイナス(同5.3%マイナス)、香港ハンセン指数は1.4%マイナス(同8.3%マイナス)と反落しています。オーストラリアはASX200は0.3%マイナス(同1.2%プラス)でした。二ュージーランドNZX50種グロス指数は1.1%マイナス(同0.9%マイナス)でした。インドはコロナの一日当たり新規感染者数が4.4万人と膠着状態が続いていますが、センセックス指数は0.1%マイナス(同0.4%マイナス)でした。
ヨーロッパ株は中国の大型IT株の取り締まり強化、デルタ株の蔓延、ドイツのインフレ率が1993年以来の高みに達していることなどを悪材料に売られました。ドイツDAXは0.6%マイナス(月単位では0.1%プラス)、フランスCACは0.3%マイナス(同1.6%プラス)、英国のFTSEは0.7%マイナス(同0.1%マイナス)でした。スペインIBEXは1.3%マイナス(同1.6%マイナス)、スイスSMI指数は0.1%プラス(同1.5%プラス)でした。一方米国は個人消費支出が予想を越えて上昇していたもののデルタ株の蔓延(新規感染者数6万人強と世界一)やアマゾンの決算が7%ダウンという悪い数字だったことを嫌気して米株価は皆マイナスで引けています。ダウは0.4%マイナス(月単位では1.3%プラス)、S&P50も0.5%マイナス(同2.3%プラス)、ナスダックは0.7%マイナス(同1.2%プラス)プラスで引けました。ラッセル2000指数は0.6%マイナス(同3.7%マイナス)でした。カナダのS&Pトロントは0.1%マイナス(同0.6%プラス)でした。ブラジルのボベスパ指数は大きく売られ3.1%マイナス(同3.9%マイナス)でした。VIX指数(恐怖指数)は0.52ポイント上昇しで引けは18.23でした。
金曜日の米ドルは前日とは打って変わって終日買われ最強通貨の一つとなりました。ドルインデックスは91.878から92.090へと4日連続の下落から急反騰しました。勝ち組の中ではスイスフランが米ドルと並んで最強通貨に、それに続いたのがユーロ、カナダドル、円です。一方、負け組では豪ドルが最弱通貨となっています。一週間を通しても最弱通貨でした。それに続いたのがキウィドルでポンドが次に続いています。ドル円は金曜日の09:00に109.361円の安値をつけ、終日上昇して土曜日02:00に109.826円の高値をつけています。クロス円ではスイス円、カナダ円、ユーロ円が上昇、キウィ円、豪ドル円、ポンド円が下落しました。新興国通貨ではトルコリラが史上最安値近辺で取引されていましたがじわじわ切り上げてきています。トルコリラ円は13円を一瞬超えています。南ア・ランドは今年3月以来の安値を更新中でしたが一服中です。マレーシアリンギットが7/21に昨年8月以来の安値を9日連続で更新していましたが以降反騰気味です。
ドルインデックスは7/24-8/2の底値圏に向かって4日連続で下落中していましたが金曜日に急反騰、サイクル的には7/26-8/5の天井圏に向かっていますので今週初は上昇となりそうです。ドル円は金曜日の値幅は46.5ピップスと小幅な値動きでした。ドル円の動きは日米金利差の要因も大きいと思われますが、金曜日の米10年金利と日本10年金利差は前日の1.2520%から1.2160%へと下落しています。一方、ドル円は終日買われており日米長期金利差とは逆の動きでした。ただ最近ドル円と日米金利差の相関が再び強くなってきています。ドル円は上昇しましたが、7/22-29の底値圏はすでに終了していますので、今週は7/28-8/6の天井圏に向かうことになりそうです。ただし、中長期的にはドル円は8月中旬まで下がる波に入っています。
米国10年金利は前日の1.2710%から1.2260%へと下落しました。タイムサイクル的には8/3-10の底値圏に向かった値動きと思われます。ただ今週初に上昇する可能性はまだ残っています。その場合でも今週後半には下落することになるでしょう。長期金利の下げは国債への資金流入、逆に長期金利の上げは国債からの資金流出を意味していますが、金曜日の動きもその動きの一環だったかもしれません。その他先進国の10年金利はオーストラリア、ニュージーランド、イタリアは上昇しましたが、その他は下落しています。日本の金曜日の10年金利は0.019%から0.010%へと下落しました。米国2年金利は0.2070%から0.1880%へと下落しました。米国の10年金利と2年金利差は前日の1.0640%から1.0380%へ下落しました。また金曜日の短期金利(3か月物)は高値0.055%、安値0.045%、引け値は0.045%でした。3か月物は最近切り上げ気味でした。長期金利は下がっていますのでイールドカーブはフラット化しています。
金曜日のメタル市場では、米ドルが急騰したため前日の1835.8ドルから1817.2ドルへと急反落しました。タイムサイクル的には7/25-30の底値圏は終了済で8/2-10の天井圏に向かっていますので金曜日の急反落の動きは調整の下げだと思われます。プラチナは1067.6ドルから1048.4ドルへと反落しました。従って金プラチナのスプレッドは768.2から768.8ドルへとわずかに上昇しています。このスプレッドは昨年11月から縮小後5月頭から反転拡大し続けています、銀は直近の高値(5/18の28.9ドル)から大きく反落しています。引け値は25.780ドルから25.545ドルへと反落しました。
工業メタルである銅は5/10に史上最高値4.888ドルを記録後反落していましたが最近では急反騰していました。金曜日は1ポンドあたり4.4825ドルと下落しています。銅の強さは銅の使用が大幅増となるEV市場の拡大と太陽光建設の拡大で銅需要が急拡大していたためと考えられていますが、中国当局のコモディティ規制が強化されて陰りが出てきています。
昨年後半からインフレヘッジとしての金の立ち位置が仮想通貨に移ったと思われましたが、今年4月以降暴落してその役割は再び金に戻りつつあると思われていました。最近ではドル高で金も大きく反落気味でしたが金は1800ドル台に乗せて取引されています。
仮想通貨のうちビットコインは中国当局がビットコインマイニングの規制強化をするとの発表を受けて3万ドルを切り、28,600ドルまで下がりました。6月第4週には再び30,000ドルでサポートされましたが直近ではアマゾンが支払い手段として使用すると伝えられ42,000ドル台まで急上昇しています。現在は41,000台ミドルで取引されています。一方、イーサリアムもビットコインに連れて急落後戻していました。5/12の4384.43ドルがこれまでの高値ですが、6/22に1700ドル丁度を付け、現在260ドル台後半で取引されています。(イーサリアム÷ビットコイン)=0.05の比率が0.1くらいまで拡大するのではないかと市場では話題になっているようで、ビットコイン売りイーサリアム買いが続いていて一時0.082まで拡大してきましたが、直近では0.065へと再び拡大傾向です。リップルも他仮想通貨同様4/14に高値1.9637ドルから55%の大暴落となった時の安値を6/22に再び更新して0.51252ドルの安値を付けました。現在は0.70ドル台ミドルで取引されています。
WTI原油価格はサウジアラビアとUAE(アラブ首長国)が合意に達して8月から毎月日量40万バレルの生産増で合意したことが伝わりましたがコロナデルタ変異株の急増が嫌気され7/19には8%にも及ぶ急落、その後7/21には急騰と乱高下が続いていましたが、金曜日はEIAの在庫減に反応し前日の73.62ドルから73.95ドルへと3日連続で上昇して引けています。先週水曜日に発表されたEIA(米国エネルギー情報局)の原油と石油製品在庫については、原油は予想292.8万バレル減よりも大きく408.9万バレル減となり大幅在庫減となりました。先週の210.8万バレル増よりも大幅に在庫が減っていました。ガソリンは予想91.6万バレル減に対し225.3万バレル減と予想より在庫減となりました。また前週の12.1万バレル減よりも大幅に減少した形です。暖房油などのその他石油製品については43.5万バレル減の予想に対し308.8万バレル減と大幅在庫減となりました。前週の134.9万バレル減よりも大幅在庫減となったことになります。一方、先週水曜日早朝に発表されたAPI(American Petroleum Institute、アメリカ石油協会)の7/23ベースの原油在庫は、市場の予測は343.3万バレルの減少でしたが実際は472.8万バレル減と少し在庫減となりました。また前週(80.6万バレル増)からも大幅減となっています。金曜日の原油価格は0.2%の上昇となりましたが、石油製品ではガソリンは0.2%プラス、暖房油価格も0.3%プラスとなりました。一方、天然ガスは3.6%の大幅な下落でした。2018年12月以来の高さまで上昇しています。
その他コモディティではCRBインデックスは7/19の暴落から連日で急反騰していましたが、金曜日は1.4%の急反落でした。2015年7月以来の高さに到達しています。昨年の4月から2.4倍にも値上がりしているトウモロコシは今年5月の高値から29%下落していますが、金曜日は2.0%マイナスでした。小麦の価格は2016年から2倍になっていますが、金曜日は0.3%マイナス、大豆価格は昨年4月から2倍になっていますが、今年5月から22%マイナスしています。金曜日は2.2%マイナスでした。木材は昨年4月から6.5倍もの値上がりが今年の5月まで続いていましたが、その時の高値から70%の下落もの下落をしています。金曜日は0.1%マイナスでした。コーヒー豆は2019年5月から2.5倍もの上昇をしていましたが、先週は17%反落しました。金曜日は8.6%マイナスとなっています。最近急騰していたココアは金曜日には2.8%マイナス、昨年4月から2倍以上になていた砂糖は金曜日は2.1%マイナスとなりました。一方鉄鉱石は3.1%ダウン、また石炭は0.2%プラスで、月単位では16.1%プラスで史上最高値を更新し続けています。TIN(錫)が最近急騰していて2011年3月の史上最高値を更新しています。金曜日は0.1%マイナスでした。原材料価格の上昇はコストプッシュインフレの悪いインフレ材料につながる可能性がありますが、需要はどこからくるのか?中国での自然災害による農産物の不作と大雨によるダム決壊を防ぐための大放流で農地被害が急拡大している現況で今後も中国による食料輸入の急増は避けられないかもしれません。