NHK-FM | 小川充オフィシャルブログ

NHK-FM

皆さんは『ヤングジョッキー』というFM番組をご存知でしょうか?

恐らく、40才より下の方は分からないと思います。

76年から78年にかけてNHK-FMで放送されていた伝説の音楽番組で

その後は『サウンドストリート』と名前を変え

現在も『サウンドストリート21』として放送が続いているようです。

DJは日替わりで色々な方が務めていましたが

僕が欠かさず聴いていたのは

ロッキング・オン編集長(現代表取締役社長)の渋谷陽一さんの日でした。


ブリティッシュ・ロックがメインだったのですが

アメリカン・ロックももちろんあり

ニューウェイヴが台頭してきてからはそれも積極的に紹介し

またEarth, Wind & FireやFela Kutiもありと

ロック番組でありながらとても色々な音楽がかかったのです。


渋谷氏は曲もきちんと全部オンエアすると同時に

その独特の語り口で1曲1曲に対してコメントし

アーティストの紹介をしてくれました。

批評性に富んだ解説で

時にロックとは何ぞや的な熱い話もあり

論評の仕方も論理的かつ的確で

当時ロックのロの字も知らなかった僕にとって

それは何より勝る教科書でした。


特に1時間の放送時間を丸々使って

Led Zeppelin、The Doors、T Rex、Pink Floyd、David Bowieなどを取り上げて

アーティストの世界を深く掘り下げていく特集が好きでした。

Doorsの時はJim Morrisonが書く歌詞について

詳しい分析をされていたことを覚えています。


また、村上龍さん、横尾忠則さん、鎌田正義さん

黒井千次さん、青池保子さん、高田純さん

といった作家やクリエイターの方をゲストに招き

「自分とロック」をテーマに対談をやった特番もありましたが

これなどは今考えてもとても面白い企画でしたね。

特に村上龍さんの回は今も鮮明に内容を覚えていて

ここで初めて聴いた「Moon in June」が

僕とSoft Machineの出会いでした。

20分もある長い曲ですが

それを丸々かけることが出来たのも

この番組だからではないでしょうか。

まあ言ってみれば

僕にとって音楽評論を学ぶ原体験が

この『ヤングジョッキー』だったわけです。

(たまたまネットで検索していたら

当時の『ヤングジョッキー』の放送リスト を見つけて

これには驚いたというか、感動しました)

それから時は流れ

今はこうした硬派な音楽番組はありません。

(そもそも、今は僕もラジオをあまり聴かなくなってしまったのですが)

あの時代だからこそ存在していたような番組かも知れません。

この当時はAMの『若いこだま』

FMの『クロスオーバーイレブン』と

NHKには本当にいい番組が存在していました。

スポンサーの入らないNHKだから出来る

ある意味趣味の世界のような番組。

でも、基本的に今もそうした伝統は

NHK-FMには受け継がれていると思います。


で、このNHK-FMが

ゴールデン・ウィークの5/5に

丸一日ジャズの特番をやります。

他の日には一日アニメ・ソングをやったり

浪曲をやったり

映画音楽をやったりと

やはりNHKでないと出来ない特番ばかり。

プログラム名は

『今日は一日○○三昧』


僕は21:35~22:25という枠で

スピリチュアル・ジャズについてやります。

他にもGilles Petrsonと松浦俊夫さんが

クラブ・シーンを代表して登場します。

NHKでこうしたクラブ・ジャズのDJが

パーソナリティーを務めるのは

今まで無かったそうです。

ということで

これは非常に画期的なことでもあるのです。


僕としては『ヤングジョッキー』風に出来ればいいなと思っています。