Interview with Gilles | 小川充オフィシャルブログ

Interview with Gilles

先日、remix誌の取材で

Gilles Petersonのインタヴューをやりました。

と言っても、実際に会ってのインタヴューではなく

僕が質問を考えて

編集部に電話でインタヴューしてもらうという形式。

Gillesへのインタヴューは

過去にも幾つかやってきたのですが

今回は彼がレーベルのBrownswoodを興し、

今度Ben Westbeechの日本盤も発売されるということに因んでのもの。


インタヴューの時に一番頭を悩ますのは

相手の答えのどこを使って、

どこを切るかというところ。

文字数の制限があるので

全て載せることは出来ないからです。

もちろん、話の流れで重要なポイントは残し

そうでないポイントを削るのですが

うまくやらないと

意味するところが違ってしまうこともあるので

そこは細心の注意が必要です。


今回も幾つか削ることになったのですが

構成上削ったからと言って

意味の無いメッセージだったということではありません。

例えば日本のファンへのメッセージで

「僕らのムーヴメントに参加してくれよ。

リミックスを作りたい

音楽をやりたいんだったら

とにかくやってくれよ!!

新しい世代の君たちが必要なんだ。

年寄りたちだけに囲まれていたくはないからね。

僕と同じくらいの古い世代だけのためにDJをやるのは嫌だよ。

若いオーディエンスが必要だし

若いプロデューサーと仕事がしたいんだ」

というのがありました。


これは、今回の構成上

どうしても必要な部分ではなかったので削ったのですが

でも、とても意味のある言葉だとは思います。

彼はいつも若い世代の味方なのです。

ただ、ここだけ読むとちょっと誤解を招く恐れもあります。

彼は新しい世代の奮起を促しているのであって、

決して古い世代を否定しているのではないと思います。

インタヴューの他の箇所では

そうした先人たちの偉大さについても触れています。

こうした言葉の断片によって

読む人の解釈が違ってくる

そこがインタヴューの怖いところだと思います。


インタヴュアーとしては

そうならないように配慮する必要があり、

その為にはまず相手の言葉の真意を探り

また言葉の裏に隠された意味も汲み取らないといけません。

その上で場合によっては補足したり

(いい意味での)編集も必要になるかも知れません。


今回のインタヴューで一番印象に残った言葉、

それは

「僕はさ、今でもそうだけど

伝統的な意味でのいいビジネスマンだったことは

一度たりともなかった。

僕にとって一番大事なのは音楽だからね」

という箇所です。

これは、どうして今

あまりいい状況ではない音楽業界にあって

レーベルを興すというビジネスに打って出たのか

という問いに対する答えです。


Gillesは極めてインスピレーションで動く人だと思います。

DJにしてもそうだし

レーベル運営に関してもそうだと思います。

レーベルをビジネスとして成り立たせるには

もちろんインスピレーションだけではだめでしょうが

まあそうした細かいことをサポートしてくれるスタッフも彼の周りにはいるので

Gillesの場合は

自分がいいと思った音楽

いいと思った企画を

どんどんやっていけばいいのでしょう。

彼はそうした役回りの人だからです。


「あれこれ考え過ぎるのはよくない」

とも言っています。

「考え過ぎると

モチべーションが下がるから」

ということだそうです。

この言葉も

是とも取れるし

非とも取れるのですが、

彼のやり方からすると

閃いたことを即座に行動に移す

アイデアの鮮度が落ちない内に実行する

ということは重要なポイントなのでしょう。


実際、Gillesの紹介する音楽やアーティストは

僕にとっていつも非常に新鮮です。

そこにはビジネスを度外視した

何ものにも妥協しない

どこにも依存しない

独自の審美眼があるからだと思います。


ある意味でレーベル運営者としての

ビジネス的な取り組み方を訊こうと思ったインタヴューでしたが

見事にその目論みは外れました。

ただただ

無邪気とも言える

Gillesの音楽愛

それを改めて知ることになったのです。

彼は見た目も若いのですが

頭の中は本当に永遠の少年ですね。