最近のオススメ 3枚 | 小川充オフィシャルブログ

最近のオススメ 3枚

昨日、CLUB CULTURE JAPAN/PLUG INの

月間チャートについて触れたのですが

そこに挙げたものの中から

幾つかオススメを紹介したいと思います。


まずKevin Reynolds。

この人の詳細はあまりよくわからないのですが

デトロイトの人で

Transmatの運営に関わり

Derrick Mayの片腕を務めていたらしい。

現在はTodhchaiというスタジオ / レーベルの主宰者です。

2005年に『Built For Athletic Response』というアルバムを

CDRで発表しているらしいのですが

残念ながら未聴。

ここから12インチ・カットされたのが

「Afrik c/w Anonymous Room At The Corridor Of Last Night」。




この「Afrik」にはヤラれました。

中近東風ムードのメロディーに始まり

エスニックなブレイクビーツ

コーラン風のコーラスと

何だろうコレ

という雰囲気が高まります。

そして、わざと音を途切れさせたりするのですが

それがクリックっぽい効果を生んで

だんだんと盛り上ります。


そして、そうして盛り上ったら

ビートはハウスへとチェンジ。

それからどんどんとテックな色合いを強め

最終的にはTheo Parrishのような世界へ。

どこへいくのか予測不能な

スリリングなナンバーです。


デトロイトってやっぱり

凄い才能を持った人が

どんどん出てきますね。

Karizmaと同じ匂いを感じました。


次にブラジルのArthur Verocai。

以前にも当ブログでちょろっと紹介したのですが

早速出ました。

7インチで「Bis」です。




何と1stからは35年振りの新作です。

サイケ、フォーク、ロックと

ブラジリアンが融合した独特の世界観を持つ人で

僕はPink Floydの初代メンバーの

Syd Barrettなどに近い部分を感じるのですが

72年にソロ・アルバムを1枚残したきりで

以降は他のアーティストのプロデュースやアレンジをしたり

楽曲提供を行っていたくらい。

それも、いつの間にか途絶え

音楽界からも消息を絶ちます。


遂にSyd Barrettと同じ

伝説の人になり

もう2度とその音を聴くことも無いだろう

と思っていたのですが

02年に突如

復帰作『Saudade Demais』を発表します。

ただ、これはボサノヴァ中心の

しっとりしたアルバムで

若気の至り的な

毒気や瑞々しさも消え

何だか普通のつまんない人になったな~

という感じでした。


そうした部分を

Far OutのJoe Davisも嗅ぎ取ったのでしょうか

70年代のあの雰囲気を

今に再現すべく

今回はプロデュースが行われています。

夏にアルバム『Encore』を出すそうですが

そこからの先行カットです。


Verocai自身が歌っているのですが

バックには女性コーラス、ストリングス隊

リズム・セクションにホーン・アンサンブル

そしてAzymuthのJose Roberto Bertramiのキーボード

という大編成の豪華ラインナップ。

Eddy Meets Yannahのリミックスも収録してます。


72年の頃に比べて

音はクリアに、ゴージャスになり

その分アシッドでサイケな香りは薄まったのですが

でも楽曲は実に素晴らしい。

美しく屈折しつつも

伸びやかなポップ感が増してます。

ブラジリアン・ソウル

ソフト・ロック

フォーキー・サンバ

オーケストラル・ジャズ・ファンク

などが渾然一体となった

やはりVerocaiでしか表現出来ない世界。

Marcos Valleと並ぶソング・ライターだと思います。


そしてUKのNostalgia 77。

通算3枚目のアルバム『Everything Under The Sun』です。

Nostalgia 77
Everything Under the Sun

ここのところはNostalgia 77 Octetで

よりバンド志向が高まっていた

Ben Lamdinの大元のユニットですが

今回のアルバムは

Octetでの経験を大きく踏まえたもので

また今までになかったヴォーカル・ジャズの

領域に踏み込んでいます。


ヴォーカリストは女性2人が起用されており

この内のLizzy Parksは

以前「The Hope Suite」で歌った他、

Chris BowdenやRhodesmodeでも歌ってた人。

ソロも出してるようです。


アルバム通して聴き応え充分なのですが

特に1曲目の「Wildflower」が素晴らしい。

アフロ・キューバン・タッチのリズムが映える中

朗々と歌い始めるLizzy Parks。

そしてサックスとトロンボーンが

バックをしっかり固めます。


僕は真っ先にLorez Alexandriaの

「Send In The Clowns」を思い起こしました。

Two Banks Of FourやThe Cinematic Orchestraにも通じる音だし

Koopに対するUKジャズの回答

とも言えるのではないでしょうか。


4 Heroの『Play With The Changes』を含め

今年は年頭からいい作品が続々と登場してます。