Sleep Walker Live@渋谷QUATRO | 小川充オフィシャルブログ

Sleep Walker Live@渋谷QUATRO

今日は蒸し暑い日でしたね。
日差しはそれほど強くはなかったけど、なんだかどよ~んと空気が停滞している感じで、ちょっと歩くだけでじんわり汗ばんできました。

でも、今日の渋谷QUATROはそれ以上に熱気を帯びていたかも。
そうです。我らがSleep Walkerの『The Voyage』リリース記念公演が行われたのです。
SLEEP WALKER
THE VOYAGE
普段は真夜中にクラブでライヴを行うことが多い彼等にとって、QUATRO、そして19時過ぎからの公演というのは、ある意味アウェーで試合をするようなもの。
お客さんの層も、いつもとはやや違う感じがしました。あのThe Roomのフレンドリーな雰囲気とは明らかに違う。
メンバーや関係者も、こうしたシチュエーションにはかなり不安を抱えての開場だったことでしょう。



そんな中でフロント・アクトとしてDJ KAWASAKIが登場。
こちらも8/30にアルバム『Beautiful』発表を控え、そのプレお披露目的な意味合いを兼ねてのパフォーマンスでした。
DJ KAWASAKI
Beautiful

今回はDJ Kawasaki Bandとして、イケッチaka池田憲一(ベース)、Jazztronik等でもお馴染みの中里たかし(パーカッション)、それとキーボード(スミマセン、名前が分からなかったので)に、川崎君はターンテーブル&MPC2000でドラムとオケ担当でした。

最初の2曲はインストでしたが、CDやレコードで聴くのと違って、やっぱり生演奏は迫力が違う。
中里さんが入ってるせいで、えらくパーカッシヴでグルーヴィー。
より熱い感じ。
でも、リリース前の作品ということもあってか、お客さんはまだ乗り切れず、様子を見ている感じで、会場はもう一つ一体感が感じられません。

と、そんな中へKarin嬢が登場。彼女もアルバムで2曲歌っており、タイトル曲の「Beautiful」、そして大ヒットした「Blazin'」を披露。
アフロヘアがとっても似合うKarin嬢がお客さんを乗せようと、トークを交えてパフォーマンス。
そんな空気が徐々に伝染し、次第にお客さんも乗ってくる。

川崎君に途中話しをふったりしてたけど、川崎君はかなり緊張してたみたいで、あんまりきちんとトークになってなかった。
でも、そんな朴訥さが川崎君の魅力でもあるのです。ナイスガイ!
それにしても新曲「Beautiful」は彼の人柄が出たいい曲です。
完全に川崎ワールドを作ってる。



すみません、相変わらず画像がよくわかりませんが、DJ Kawasaki & Karinです。


そんなこんなで30分のミニ・ライヴはあっという間に終了。
いよいよ今日の真打、Sleep Walkerの登場です。
まず沖野修也さんが登場し、バンドの呼び込みMC。
「みんな、声出していこう !」と体育会的というか応援団的な喝が場内に暖かな笑いを生んだところで、中村雅人(サックス)を筆頭とした4人の漢がステージへ。


まずはマサやんが引っ張る形で『The Voyage』のキー・トラックである「Ai-No-Tabi」を演奏。
するとどうだ、テナーの熱い咆哮でお客さんはもう最初っから上がりっ放しで大興奮。
最初、ここはSleep Walkerにとってはアウェーって書いたけど、全然そんなことなかったです。
彼等にとっては最早、日本中がホームなのだ。



続いて「Lost In Blue」。
アルバム中で最もシャープでカッコいい曲。
吉澤はじめ(ピアノ)と池田潔(ベース)によるアブストラクトなムードのイントロから、いきなりテーマへと突入。
まずここがカッコいい。
そして、アフロ調の変拍子から4ビートへの鮮やかな転換は、いや~盛り上がる、盛り上がる。

そのままの流れから、イントロでもう体中が総毛立つような「Into The Sun」。
ベンベ(弁辺)・セグェがわざわざロンドンから飛んで来てくれた。
今日のベンベは一段と飛ばしてます。
彼女のスキャットはいつ聴いてもゾクゾクさせられるのですが、今夜は何か取り憑かれたような凄さを感じさせました。
でも、そんな魔女的なところと、とても可愛らしいところと、1曲の中でも色々な表情を見せるところが、彼女の魅力。
笑顔がますます輝いてチャーミングでした。




Bembeが引っ込んだ後は、「Reminiscence」。
個人的にアルバムで一番好きなスロー・バラードです。
ここでの見せ場は吉澤さんでしょうね。
今回はフェンダー・ローズじゃなくグランド・ピアノなので、吉澤さんの本来のピアニストとしての演奏が充分に出来たのではないでしょうか。
ローズにはローズの良さがあるんだけど、こういった繊細さを必要とするナンバーは、やっぱりグランド・ピアノで聴きたいと思います。




それから曲は「The Southern Cross」、「Kaze」と進むのですが、この辺りでは藤井伸昭(ドラムス)と池田潔(ベース)が光ってました。
日頃、あまりスポットを浴びることのないこれら楽器ですが、でもSleep Walkerにおいてはそんなことは一切無し。
ドラム・ソロやベース・ソロがこれだけ盛り上がるバンドは、世界中を探してもそうは無いのでは。
池田さんはベース・ソロでは弦を弾くんじゃなく、ボディをパーカッションのように叩いて叫ぶ一幕も。
無茶苦茶盛り上がってました。

今までのSleep Walkerはマサやん、吉澤さんのパフォーマンスに何だかんだ言って比重が置かれていたかも知れません。
でも、新生Sleep Walkerは、4人が対等の立場で、お互いとバトルしている。
今日に限っては、池田さんがそうした意味ではキーマンとなってたんじゃないでしょうか。
池田さんを起点として吉澤さんとバトったり、マサやんとバトったりという具合。
サッカーのポジションで例えれば、FWがマサやん、MFが吉澤さん、GKが藤井さんで、池田さんはDF、いや今日に限って言えばボランチかな?
今まではチームの中で、中田英寿のような存在として吉澤さんが引っ張ってたと思うのですが、今日はどこからでもボールが回せる、パスが出せる状況で、より攻撃のヴァリエーションが広がっていた気がします。
僕は今日のマン・オブ・ザ・マッチは池田さんにあげたいと思います。


そんな事を考えている内に、バンドはラスト・ナンバー「The Voyage」を奏で始める。
ファラオ・サンダースは今日はいないけど、それは8/26のメタモルフォーゼでのお楽しみかな。
ユキミ・ナガノが歌う「Afloat」も、その時に聴けるのでしょう。


最後にメンバー紹介し、4人の漢がカーテン・コールして退場。
でも、もちろん、これじゃ終わりません。
ベンベは1曲しか歌ってないし。
となれば、当然アンコールは「River Of Love」。
今までマサやん仕切りだった掛け声が、今や完全にベンベ仕切り。
ベンベ「サン、シ」
観客「セーノ」
そしてSleep Walkerの音が一気に迸る。




そんなこんなで約2時間のライヴは無事に終了。
ほんと、2時間という時間を感じさせないあっという間のものでした。
それだけ濃い~演奏だったのでしょう。


外は蒸し蒸ししていて、ホールは更に熱気に満ち溢れていた。
でも、ライヴの間、不思議と僕は暑さを感じることなく、とても心地良かった。
空調のせい? それもあるかも知れない。
いや、それよりも風を見たからからだろう。
Sleep Walkerが生み出す爽快な東風を。