【犬の慢性腸症の診断・治療の現状】
獣医師セミナーに参加して聞いたお話の続きです



『ヒトのIBDと犬や猫のIBDは違う病態・違う病気であろう』


2016年に提唱されてから、犬の原因不明の慢性腸炎を

慢性腸症  Chronic Enteropathy(CE)

と言うようになりました



◉犬の慢性腸症は

⚫︎原因不明の慢性消化器症状(嘔吐・下痢・体重減少

⚫︎有効な治療はさまざまである(薬剤・食事・薬剤➕食事

⚫︎生存期間もさまざまである(斃死することもある)
※斃死‥‥動物が突然死すること




では、慢性腸症と診断されるのは?

⚫︎基本は除外診断

⚫︎感染・寄生虫・代謝性疾患・内分泌疾患・腫瘍などをできるだけ除外した後
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◉慢性腸症の臨床診断
IBDと言われていた頃から変わっていない


1.慢性消化器徴候(3週間以上)
3週間以上といういうのが非常に重要
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2.対症療法で完全に良化しない
何らかの細菌感染・ウィルス感染であれば
対症療法をやっていれば、おそらく3週間である程度は良くなってくるであろう

対症療法をやっていても良くならないなら
慢性疾患が隠れているだろう…
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3.病理検査で腸炎(多くはリンパ球プラズマ細胞性腸炎)が明らか
明らかに腸炎があると確認
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4.腸炎を起こす原因が認められない
臨床的に明らかなものが見つからない上に、他の胃腸の病気も無さそうだ
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5.腸炎以外に慢性消化器徴候をおこす原因が認められない
原因不明の慢性胃腸炎=慢性腸症だろうと診断



病理検査では、ほとんどがリンパ球プラズマ細胞性腸炎

(小型のリンパ球とケース細胞が粘膜固有層に深く散浸潤している
これがずっと続いてしまう症候群)


⬆︎※ここがヒトのIBDとはかなり違う⬆︎
(ヒトは潰瘍性大腸炎やクローン病が多い)



ウィンの場合は腫瘍が見つかった為
3.病理検査をして悪性リンパ腫と診断されました


ウィンは内視鏡検査は受けていません
細胞診検査で悪性リンパ腫と診断されました


こうなってしまう…この最悪な結果になるまでがとてつもなく長かった…

先生のお話でも治療の問題点としてあげられていましたが

⚫︎時間がかかり過ぎる



ウィンの場合は
2.対症療法で完全に良化しない


良化しないどころか、何度も命の危機がありました

抗菌薬を何回も変更し、ステロイドは大型犬並の処方量になり


重度の貧血で寝たきりになり、毎日息をしているのがやっとの日々でした

長期大量ステロイドの副作用で、重度の貧血と脱毛、クッシングに…



この時点でセカンドオピニオンなり、二次診療へ転院するのが望ましかったのだろう…


例え、後々悪性リンパ腫になったとしても

2.対症療法で完全に良化しない

この時が転機であり分岐だったと思います



経験から個人的な思い、としてですが…

ウィンの様に対症療法で良化しない場合は


一次診療の先生からの提案がなくても
何かしら次のステップを探すべきだと思いました

悪性リンパ腫でなくても、原因不明のこの病気はどこでどうなるかはわからない…

個体差で全く違うのだと知りました


この時間、少しでも苦しくなく、辛くなく、楽にさせてあげる事が出来なかった…

本当にダメな飼い主でした



慢性腸症の診断アプローチと治療トライアル
細かくなるので次回に続きます











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