「………おい、陽炎。」
キッドは意を決したようにイヴァンに話かけた。
「麦わらに何を隠してんだ。…そんな泣きそうな顔するぐらいなら…話しちまえよ。」
キッドの言葉にルフィをみていたイヴァンは、ポーカーフェイスを、(よく見ないとわからないぐらい)微かに崩してキッドに顔を向けた。
「…それができないから、おれは泣きそうな顔してるんだよ。」
イヴァンはキッドに近づいた。
と、ほぼ同時にローが技を発動させた。
「ROOM」
「…はぁ。せっかちだな、君は。」
イヴァンはクスッと笑い、消える。
「…ッチ…!」
ローは、フッと息を吐き、
「参りましたよ、陽炎さんよぉ」
両手を上げた。
「…。」
無言で、キッドも同じ行動をとる。
「 …ねぇ。死の外科医クンとキッドくんにお願いがあるんだけど。」
言葉こそ軽いが、表情は無表情で言うイヴァンに二人は怪訝そうな声を発する。
「…おれに命令するな。」
「命令じゃないよ。お願い。」
「…内容による。」
「…おい、トラファルガー。簡単に受けたらえらい目に遭うぞ。…なんせこいつは、残忍で有名だからな。」
「うるせぇ、黙ってろユースタス屋。」
ピリピリした雰囲気を出し始めた二人の『海のクズ』をイヴァンはたしなめる。
「…話すからな。よくきいてろよ。」
そういうとイヴァンはまわりに空気の空間を作る。
「AIRHOUSE(エアーハウス)」
「「!!??」」
二人はギッとイヴァンを睨む。
「…誰かに聞かれるとヤバイからな。いま、この島にはおじきがいるし。」
「おじき……?」
「…あぁ、ボルサリーノ、黄猿だ。」
「…!」
「大丈夫だ。お前らルーキーはおれが責任持って全員逃がすから。じゃぁ、本題な。」
イヴァンは微かに笑った。
「まずは、死の外科医クンにお願い。…今、海軍には火拳のエースが捕まっている。」
「……戦争が起こるな、確実に。」
「その通りだよ、キッドくん。海軍はエースを使って、白髭海賊団をおびきだし、潰そうとしている。」
話しながらイヴァンは眉間にシワを寄せる。
「…陽炎「イヴァンでいい。」…イヴァン。お前、海軍が嫌いなのか?」
「…いや、嫌いではないかな。でも、海軍の考えに全てにおいて賛同はできない。…今回の作戦も賛成できない。」
「「………。」」
「話が逸れたね。で、エースの弟の…ルフィは多分…いや絶対に命をかけてでもエースを助けにくる。…そして、共倒れて二人は死ぬ。」
「…だから、君に助けて欲しいんだ。ルフィを。」
「戦争に乱入か…フフ…おもしれぇ。乗ってやる。」
「ありがとう。これで外科医くんとのお願いは成立。」
イヴァンはキッドに向き合う。
「おれは、この戦争が終わったら海軍を辞めようと思っている。…キッドくん。その時は君の船に乗っていいかい?」
「……………は?」
たっぷり三十秒、キッドは惚けた。
こいつは大将だろ?なんでその地位を捨ててからおれの船に乗るんだ。
「…その心は。」
「ん?君はルフィと会う確率が高そうだし。それに、個人的に気に入ってるからかな。」
「…拒否権は。」
「有るけど…ないよ。」
つまりイヴァンはここでキッドが断わっても戦争が終わったらキッド海賊団にいくと言っているのだ。
「……。」
ぽん。
キッドはローに肩を叩かれる。
「…くそっ。」
「交渉成立ー。」
そういうとイヴァンは技を解く。
と、同時に気絶していたルフィを蹴り上げる。
「…いつまで寝てんだ、愚弟。
」
「「……(なにも実の弟に)」」
蹴り上げて悶絶しているルフィを尻目にイヴァンはローとキッドにニコリと笑い、
「…じゃぁ、ね。」
ときえた。
交錯する想い
(お願いだ、なんておれに似合わないと思い、己を嗤った。)