今日は息子が来年から通う中学の見学の日である。
娘も同じ中学なので、必ずそこに通うのは決まっているが、一応説明会である。

昨日は別の中学の見学会であったが、そこに通わせるつもりは無いので、娘の時も見学会には行かなかった。
うちの娘以外は色々見に行っていたが、結局みんな「あそこで良いわ、部活も凄い充実してるし…あそこからオックスフォード大学行った生徒もいてるし、本人次第やわ」と言い、今の学校に決めた。

娘の小学校は1クラスしかない小さな学校で、卒業する時のクラスメイトは11人だった。
うち2人はグラマースクールと言われる学校に進学した。
親が医師であるから、グラマースクールに入って医学部に入らせる為に小3から家庭教師を付けて頑張っていた。
グラマースクールとは、公立の進学校である。
入学試験があり、レベル別に別れて勉強するが、そこは普通のハイスクールも同じで、数学に抜きん出た学力のある児童はトップセットと呼ばれるクラスに入り、毎週上位4人がクラスで発表される。

娘が小学3の時、クラスメイトの2人が「グラマースクールに行かないと、中流の生活しかできないから、私は医者になれとお父さんから言われているからグラマースクールに行く」と言ったのを聞き、娘から「グラマースクールに行った方が良いの?」かと聞かれた。
私は「グラマースクールに行っても、医学部に入れるかどうかは別やで。医学部まで行けますなんて保証された学校ちゃうから」と娘に説明。

その頃、ちょうど娘が中耳炎になり、それがなかなか治らず、何度も診療所に通わねばならなかった。
アイルランド人の若い優しい医者が、本当に親切に診察して下さった。
ある時、娘が先生に「先生、グラマースクール行った?」と聞いた。
先生はびっくりした顔をされ、笑いながら「普通の家の近くの学校に行ったよ」と言った。
娘は驚いた顔で先生を見て「え?それやのに医者になれたん?」と聞いた。
先生は「グラマースクールに行かなくても、めちゃくちゃ勉強したら医者にはなれるよ。ただ、もう2度とあんなに勉強なんかしたくないと思い出すのも嫌なくらい勉強しないと医者にはなれないよ。ハイスクールなんかどこだって良い、どれだけ勉強するかは学校ではなくて自分だから」と言った。
先生は娘に「医者になりたいの?」と聞いた。
娘は「なりたくない」と言い、どないやねん!と皆で笑った。

娘はそれを覚えていて、今は学校でよく頑張っている。
あの時の先生の言葉が、「どこの学校行っても自分次第」と娘がいつも私に言うブレない強さのきっかけになったのではないかと思っている。

「医学部に行けなかったら、医者である親に恥じを欠かせる事になる。私は何が何でも医学部に入らなければいけない」とグラマースクールに行った友達は卒業式で言った。
小学校では真ん中の成績だったが必死に受験勉強してグラマースクールには入った。
その言葉が私には重かった。
そんな事を思い出す見学会である。
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