水曜日はハロウィンである。
夫が保護者懇談会で最終の保護者が夜7時半になるため、帰宅は8時半ごろになるという。
私は夫が不在の日のハロウィンを過去1度だけ経験した。
それはカーライルに来た最初の年である。
夕方6時半、仕事から帰宅するや否や待ちかまえていた中学生くらいの少年グループに「お菓子をくれ」と声をかけられた。

私は、今まさに玄関のドアを開けようと鍵を差し込んだところだったのでドアを開け、万が一この少年らが家に押し寄せてきたら怖いと感じ、「10分したら戻って来て」と言った。
少年らは素直に隣の家のドアをノックし始めたが、隣人は帰宅していたようであったが(中から電気の明かりが漏れていた為)返事は無かった。
隣人は独身男性であったため、子供用のお菓子を買い置きしておくなどしなかったのかも知れないが、すると少年らは玄関を蹴り始めた。
暴言を吐き、諦め隣の家へと移って行った。

私はこれでハロウィンに対し、嫌悪感と恐怖心を抱いたのであった。
初めて経験するハロウィンがこれだったので、今後絶対に体験したくないと思った。
そんな経験もあったから、今回のハロウィンの日は義母宅に逃げるようにしようと思った。
義母に「水曜、娘のピアノレッスンが終わったらそのままここに来るわ。だから一緒にご飯を食べよう」と言った。
義母も「そうしてくれると私も安心やわ」と言った。

私は知らなかったのであるが、去年のハロウィンの日、耳の遠い義母は玄関のチャイムが鳴った事に気が付かず、犬が吠えたので出て行った時には子供らがもう向こうの方に歩いて行っていたことがあったらしい。
一応、お菓子は用意しておいたが、TVを爆音(音量42)で見ている義母、しかもリビングとサンルーム(コンサーバトリーとこちらでは言うが・・)、キッチンのTVを全て付けているため、誰が来ても義母は気付いた事は無いのであるが、この日もいつものように気が付かなかったという。
その後、子供らの笑い声が聞こえたと義母は言っていたが、翌朝、義母の表玄関には生卵が投げつけられており、義母は恐怖心を抱いた。
こんな事をする子供らが含まれているなら、1人で夜に玄関を開けるのは怖い、だから今年はお菓子を用意しないと決めているという。

私は義母がトラウマになっていると思った。
何故なら、私の友人の祖母が95歳で一人暮らしをしているのであるが、数年前、やはり少年らがこの祖母の家にお菓子をもらいに来た際、老人である事を良い事に、何度来ても気付かれないと思った少年らが祖母宅に3度来たという。
祖母は「あなた達3回目でしょ?もうあげないわ」と言うと、玄関を殴る蹴るし、暴言を吐き、あげく生卵を3個投げて行ったと言う。
以後、家族は祖母にハロウィンの日はドアを開けない事、または友人夫婦の家に避難するなどして対策を取っている。

明らかに留守なら卵は投げつけない文化があるらしいが、明らかに中に人がいるのに玄関を開けない事に怒る子供達。
これが文化とイギリス人は言うが、1人暮らしの老人に恐怖を与える文化、ドアを殴る蹴るも文化で許されるのかと呆れてしまう。

日曜、いつものように仕事をしていた私。
職場で仲良しの女の子(エホバの証人を信仰している)とランチが一緒になり、「水曜嫌やから、義母んとこに避難すんねん」と話した。
実際、うちの村の3世帯ほどの家はハロウィンの日に玄関に張り紙がしてある。
「ハロウィンはしないので玄関を叩かない、ドアベルを鳴らさないでください」と。
信仰が理由か何が理由かは知らないが、とにかくそう張り紙がしてある。
私はこの張り紙の事を女の子に話した。

女の子は「ええ!そんなん大丈夫なん?卵投げつけられへんの?」と聞いた。
私は「知らんけど・・村の中の子供(と言っても子供は村全部で6人しか住んでいない)達しか基本来ないから、大丈夫やと思うけどな・・」と答えた。
女の子は「うちはハロウィンは関係ないから勿論、玄関のドアを開けないけど、毎年卵は必須やで」と笑って言った。

私は笑って言えるこの子は凄いと思った。
同時に怒りも覚える。
お菓子をもらいに回る子供達にとっては嬉しい日であるのは100%分かる。
うちの子供達も夫といつもは村内を一緒に回るから、どんな仮装をしてお菓子をいくつもらえるかで大興奮するからである。
ただ、玄関を開けなかったお家に対し、暴言を吐いて玄関を殴る蹴るするのではなく、「ああ、ここのお家はハロウィンをしないのだな」と理解受け入れするのがルールではないかとハロウィン文化の無い私が言うのもオカシイが、そうであると思っている。
そもそも、投げつける用の生卵を持ち歩いている事を親は知っているのだろうか、もしそれをわざわざ買いに行く子供達に対しても、私は別の意味で怖いと思ってしまう。
これもきっちり子供達に教えねばならないと実感する。

今日は泣きそうなほどの青空。
いつも行く変なオカキを売っている店で、美味しくもないオカキ(名はヤッコミックス)を購入、ついでに剥き甘栗も購入。
緑茶をすすりながら、休日を楽しむ。

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