先日、日本の友人が「エジソンのお箸がエエで」と話していたので、イギリスでも買えるのかどうかをネットで調べていた。
すると、「エジソンのお箸の良い点&悪い点」という記事が出てきたので、ちょっと読んでみようと思い、そこをクリックしてみた。

そこは、子を持つ母親が抱えている問題や悩みを投稿し、それに対し経験者であり、やはり子を持つ母親達が「こうしたらどうですか?」とか「私はこうでしたよ」などと回答し合うサイトである。

何気に目に留まった記事があった。
それは「2歳の娘を持つ母親です。もう娘にウンザリです」という題であった。
題からして、もうウンザリ感が滲み出ていて、ちょっと重い気がしたが読んでみた。

そこには、「何を言っても嫌と言う」「気に入らなければ、私の顔に物を投げつける」「四六時中、一緒にいなければ泣き叫ぶ」「暴力的」「私の時間が何もない」「娘がいたら、家事ができない」などなど・・・長々と書かれてあった。
魔の2歳やな・・・と、私は思ったわけである。

実際、回答されているお母さん達数人も「魔の2歳と言う本まであるくらいですよ」と書かれていた。
世界共通、英語にも「魔の2歳」という言葉があるくらいである。
この時期は、第一反抗期とも言われている時期である。

しかしながら、この母親は本当に息が詰まっている感じで、読んでいてこちらが同情してしまうくらいである。
恐らく、自分の時間が持てないまま育児に追われ、自分を見失いはじめているような感じがした。

優しい回答者の方々は「もうちょっとですよ」とか「そう長くは続きませんから!」と励ましていて、他人の投稿ながら微笑ましく思えたのである。

私がイギリスの保育園で働いていた時の事。
私が担当していたのは、12~18ヶ月のクラスであった。

ある時、病的に痩せた母親と娘が見学に来た。
確か、女の子は14ヶ月だったはずである。
30分だけ体験保育をし、翌週から週3日だけ保育園に来る事になった。

どんな子供でもそうであるが、預けられた最初の1週間は母親と離れ、見知らぬ場所に預けられ、子供も不安になるから、泣く子供は多い。
しかしながら、この子は違った。

3ヶ月経っても馴染まず、ただただドアを叩きながら泣き叫ぶ1日であった。
反抗して昼ごはんも食べず、泣き疲れても寝ず、また泣き続けた。
そうこうして半年が経過したが、やはり同じで、私達スタッフもお手上げであった。

母親は働いていたわけではない。
ただ、家の中でもこの子がこんな状態であるために、ノイローゼ気味になってしまい、家族の勧めで週3日だけでも自分の時間を持ったらどうか?という事で、保育園に預けにきたのである。

しかし、私達スタッフ含め、ベテラン先生も困っていた。
何をしても泣き止んでくれず、馴染んでくれないから、何にどう答えてあげれば良いのか完全に分からなくなってしまっていたのである。

1日中、泣き叫ぶ声が他のクラスに響き渡り、昼寝の時間を妨害するから、何とかしてくれと言われる。
昼寝の時間は、会議室に連れて行き、そこでも全身を叩きつけて泣き叫ぶ。
本・おもちゃ・抱っこ・散歩・・・何もかも駄目であった。

私達が嫌いなのでは?という事で、他のクラスのスタッフ全員とも遊ばせてみた。
しかしながら結果は同じ。

結局、この子は1年泣き続けた。
私はそこを退職し、今の場所に越して来たため、その後どうなったのかは分からない。
ただ、今回のこの記事を読んだとき、あの時の母親のやつれた顔がよぎったのである。

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