ホテルにチェックインした当日のこと。
ホテルの部屋に案内されたのは、夜の11時前であった。

とりあえず娘を寝かせ、旦那はホテル前にあるスーパーにて、飲料水と食料を確保しに。
私は洗った洗濯物を干そうと、ベランダに出た。

私達の部屋は1階にあり、プールサイドの前。
義父母の部屋も、私達のとなりにある。

ベランダに出ると、9~10歳くらいの少女が1人、プールサイドのベンチに座っていた。
こんな時間に・・と思ったが、誰かを待っているのかと思い、そのままにしておいた。

買い物から戻ってきた旦那が「プールサイドに少女が・・」と言ったので、私も同じ事を話した。
私はそれから寝たが、旦那が夜の12時半ごろにベランダに出ると、少女はプールサイドに迷い込んだネコと、遊んでいたという。

翌朝、義母が「昨日、夜中の2時ごろに、少女が1人で遊んでた」と話し始めた。
義母は「いくらホテル内とは言え、女の子を狙う変なヤツはいるから、早く部屋に戻りなさい。私が部屋まで一緒に行ってあげようか?」と声をかけたそう。

少女はとても丁寧なイギリス英語で「結構です」と答えたそう。

翌日の夜も、はやり少女はいた。
私が夜中の1時半ごろに洗濯物を干していたら、ネコと遊んでいたのである。

明けて翌朝の7時、娘を抱いてベランダに行くと、少女はまだ暗い中、1人でネコと遊んでいた。
「あの子・・・部屋に戻ったんだろうか・・・」と思ったが、聞けない。
結局それから毎夜、少女は夜中まで1人でプールサイドに座り、早朝も同じ場所に座っている日が続いた。

ある日の昼間、私達がプールサイドで寝そべっていたら、少女が歩いていた。
少女を目で追っていくと、夫婦らしき2人の前で止まった。
「あれが、両親か・・」と義母と話していたが、父親は50代くらい。
しかし、母親はどうみても20歳代である。

「歳の離れた姉妹かな・・」と義母が言ったが、父親らしき男性は、20代らしき女性とイチャイチャしている。
嫁だろうか・・・

少女は男性に何かを話しかけていたが、男性は新聞を読んだまま、一切少女には答えない。
また、少女は決して20代らしき女性には話しかけず、女性も少女の方を見向きもしない。

結局、少女は1人でプールで遊び、1人でカフェに来てランチを食べ、お金を支払って行くのであった。
父親が若い女と再婚したのだろうか・・・
などと勝手に想像する私達であった。

その日の夜も、また少女は1人で遊んでいた。
気になった義母は、プールサイドにチーズを持って行き、少女に「これ、古くなったチーズだから、ネコにあげて」と渡した。

そのまま少し話したかった義母。
「こんな時間まで遊んで、お父さんは何も言わないの?」と聞いたそう。

少女は「大丈夫です。ここで遊んでいるのは知っていますから」と答えた。
義母は「でもね、女の子は1人で夜に外にいては駄目」と言ったそう。
義母は「お母さんも、心配するでしょう?」と続けた。
少女は「母はイギリスにいます。今回は、父親と旅行に来ました」とだけ答えた。

同伴している女性が母親ではないのは確かである。
が、少女はこの女性には触れなかった。

結局、私達が滞在して6日目、少女を見かけなくなったから、帰ったのだろうと推測された。
楽しいはずのホリデーなのに、少女は1度も笑う事なく、いつも1人だった。

英語を話す少女とは言え、ここはスペイン。
そんな場所で1人、カフェでハンバーガーを食べる少女が気になったのである。

テネリフ島は少女にとって、楽しい場所だっただろうか・・・

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