私がオーストラリアに住んでいた時の話です。オーストラリア
当時、地元の小学校で日本語を教えていた私ですが、低学年の日本語クラスを担当するおばあちゃん先生(勿論、オーストラリア人)から、相談を受けました。

その先生の娘さんも、近くの高校で日本語教師をしていたのですが、その学校では毎年、日本の高校から交換留学生を20人ほど受け入れ、ホームステイをさせていました。

聞くと、その日本から来た女子生徒の1人が、強いホームシックにかかり、ホームステイ先の家族がとても心配しているとの事でした。
しかしながら、ホストファミリーや学校の先生とも英語でコミュニケーションが取れず、学校にも行きたがらないとの事で、日本人と話す事で気持ちがラクになるのでは?と考えた娘さんが、私に生徒と話して欲しいとのお願いでした。

土曜に、その先生の家でバーベキューをする名目で、私、先生と旦那さん、先生の娘さん、女子生徒の5人で集まりました。
女子生徒には目的を告げていなかったので、何気なく話をし、「こっちの生活はどう?」などと切り出して行きました。

高校生とは思えない英会話力を持っているのは分かりましたが、何せ・・静か。
これもホームシックのせいなのかと思いながら、もうアラサーだった私は、女子高生に近づいたワケです。

彼女は、「学校は思ったほど面白くない」と言いました。
「裏切られた」とも言っていました。

何に裏切られたのか?と聞くと、「友達に」と答えた彼女。

彼女は日本の高校では、成績優秀な生徒のようでした。
クラスも、高校内に2クラスしかない、大学進学クラスにいると言っていたので、お勉強の出来る生徒のようで、将来はイルカの生態を外国で研究したいとも言っていました。

(私が高校の時、イルカの生態など・・・頭によぎった事なかったけどな・・・。)イルカ

オーストラリアでの彼女のクラスには、日本人女子生徒が彼女を含めて2名。
もう1人の女子は、普通クラスから補欠で来たそう。

本来、交換留学生は、希望者から成績優秀者のみが行ける事になっているが、今回は18名しか希望者が出なかった為に、普通クラスから希望者を募ったらしい。
まあ、要するに、彼女は頭が良いから来れた。もう1人の生徒はアホなのに来れたと言うワケ。

ところが、いざ来てみたら、思うように友達も出来ない。
クラスにも溶け込めない。
しかしながら、アホだと思っている生徒は、どんどん友達も出来て、学校のクラブにも入った。

しかし「私の方が絶対に話せる」という彼女。
だから、余計に状況が飲み込めない→面白くない・・

かと言って、その子に「私も仲間に入れて」とは決して言わない。
言いたくないのもあったでしょうけど・・

彼女は小学校から、英会話を続けてきたそうで、きっと英語にも自信があったと思うんです。
ところが、話す機会が巡って来ない。

私は高校生の彼女に、結局は何も言ってあげられませんでした。
ただ話を聞くしか出来なかったんです。
彼女もきっと、何も言って欲しくなかったと思います。
ただ、そのアホだと思っている女子生徒に怒りの矛先が向かい、自分では何もかもが納得できない事を、ただ聞いて欲しいだけのようでした。

英語の点数が良く、幼い頃から英会話を習っているという自信が、彼女を受身にしてしまった。
ところが、最初から英語に自信などない、もう1人の女子生徒は、何も考えずに積極的に留学生活を楽しんだ。
ここで大きく、留学生活が楽しいものか、そうでないかが別れてしまった。

私がオーストラリアに行った時、英語などまるで理解不能。
大体、オーストラリアが何処にあり、英語圏とも知らず、冬があることも知りもせずに行くほど無謀な留学でした。
しかし、私には「度胸」だけはあったと思います。

まあ、何とかなるやろ・・と思える度胸。
アカンかったら、日本に帰ったらエエわ・・と割り切る度胸。

結果的に、私は楽しすぎた生活を送れましたが、「面白くない」と言って半年で帰る子もいましたし、外語大学を出て、英語もベラベラなのに、日本人としか関わらない子もいました。
まあ、結局は自分の強さとの勝負なんですけどね、海外生活は。

高校生の彼女の話を聞きながら、私・・アホやったから、こんなに楽しい留学生活なのかー!!と思えた瞬間でした。
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