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本日は「野生動物管理」についてご紹介します。

 

野生動物管理または野生動物管理学とは、野生動物と人間の軋轢を解消し、共存を実現するための試みのこと。生物学の応用的な研究分野の一つでもある。

概要

資源として見た場合、野生動物は鉱物や石油などの天然資源と異なり、絶滅さえしなければ再生可能な資源とされる。よって、適切な管理により野生動物の保全と利用を両立することが理論上可能である。また、野生動物管理は生物の絶滅を防ぐという目的だけでなく、鳥獣被害や外来種問題などの野生動物と人間との軋轢を調整することも対象としている。そのためには、野生動物の分布や行動、個体数、生物間の相互作用を研究する自然科学のほか、政策や環境教育などの社会科学的取り組みが必要となる。

野生動物管理に関する知識と技術を有する専門家は野生動物管理者(ワイルドライフマネージャー)と呼ばれる。しかし、実際の現場では、野生動物や自然環境に関係する研究者、公務員、民間企業・団体、獣医師、狩猟者(ハンター)が部分的に携わることが多い。

日本

日本では欧米と同様の狩猟の大衆化が明治時代に起こり、野生動物が激減した。当時は鳥獣被害に対しても散発的な駆除で対応していたため、野生動物管理の仕組みは存在しなかった。1970年代から1980年代にかけて学会にて野生動物管理の必要性が提案され始めたが、研究者の間でも「保護」か「管理」かの基本的な方向性や視点をめぐって論争が行われていた。本格的に欧米の野生動物管理の概念が導入されたのは1990年代である。1990年代には、ニホンジカやイノシシなどの野生動物による農林業被害の深刻化にともない、科学的な保護管理へ方針が転換された。1999年には『鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律』を改正し、特定鳥獣保護管理計画が創設された。その後、2014年に同法がさらに改正されて「管理」の視点がより強くなり、法律名も『鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律』となった。また、従来から日本で野生動物管理を担ってきたのは狩猟者であったが、少子高齢化等により狩猟者が激減したため、新たな野生動物管理の専門家の育成が求められている。