ダムの貯水・放流によって河川の流況が大きく変動する。水量・水流の変化や水質の変化が主な課題である。これらに対する管理者の対策も図られている。
ダム湖の水質変化
ダム湖に流入する土砂や有機物により、ダム湖内で固有の水質の変化が起きる。ダム湖に流入する河川の水質とダムから放出される水質の変化はダムの形式や規模にも大きく左右される。ダムに蓄積された泥水は、その水質を悪化させることもある。一般的には、ダムが造られると、そこにたまる水は濁るようになる。
特に洪水時の濁水が、洪水終了後もダム湖内に留まり沈殿しにくいサイズの小さい含有物が長期間ダム湖水中に漂うことで長期間ダム湖が濁る状態を濁水長期化現象と呼ぶ。湖水循環の作用や、生物の生産作用も加わり、年間を通じて透明度の戻らないダム湖もある。またダム湖内の水位変動が激しい場合、湖岸の植生が不安定になるために湖岸での土砂生産もダム湖の水質に影響する。こうした複合的な要因でダム湖内の濁度が長期化する。特に懸濁する泥やデトリタスが多く含まれるようになるので、下流にかけてもこれらは流れ、河岸の岩やれきはすべて泥をかぶった状態になる場合もある。
ダム湖の流入水と放流水の水質の差異で顕著な違いが見られることが多いため、特に大規模なダム湖を持つダムの場合では長期化し易い。このため、下流の利水(上水道など)に影響を及ぼさないような対策として、濁水を放流しない様に上澄み部分の湖水を選択的に取水し下流に放流する、いわゆる「選択取水設備」を備えるダムが多くなっている。
ダム湖の水温変化
流水を大量に貯める機能を持つ事や、放流口の場所により流入前と後の水温に大きな変化が見られる。ダム湖内の水の循環作用によりコントロールすることは極めて難しいが、施設増強や管理手法の改善などにより影響を緩和することも可能となっている。
特に問題となるのが低温水の放流で、放流を行う際ダム湖内の深部より取水する場合に多く見られる。太陽光によって温められにくい水温の低い水が下流部に流れるため、季節変動とは異なる水温の変化が引き起こされる。そのまま放流すると特にイネへの生育が阻害される等農業への影響(低水温被害)が及ぶ。このため対策として現在ダム湖の表面部分、太陽光によって自然の水温になっている表層部の湖水を取水することによって下流への低水温被害を防止する「表面取水施設」を設置するダムが多くなっている。