身近な自然は、自然遺産(ユネスコ世界遺産)の諮問機関である国際自然保護連合(IUCN)が、森林情報学(森林科学)や環境学における自然に近い森林(英語版)と、生活文化における里山のような入会地(コモンズ)の意義に鑑み、持続可能な開発に則した森林資源の活用と自然保護の両立、人間の精神衛生に必要なものとして今後保護の対象とすべき場所としている。
日本語では慣用句として「身近な自然」という表現が多用されるが、地球上にはそうした環境すらない地域も多い。そのため英語では「familiar nature」以外にも「beside nature(傍にある自然)」「present nature(そこにある自然)」などIUCNの中でも様々な言い回しがある。
IUCNが「身近な自然」に着目したのは、文化遺産において文化的景観という概念が採用され、生活圏に近い自然が重視されるようになったことによる。「身近な自然」は必ずしも大規模なものでなくても構わず、生物多様性なども求めない。隔絶された自然より里山や都市との景観接続があり、自然と人間の共生や森林計画など社会的環境に比重が置かれる。
実践例としては、イギリスの湖水地方が過去に世界遺産に推薦した際には登録が見送られたが、改めて文化的景観と「身近な自然」として文化的環境に視点を切り替えたことで2017年に登録されるに至った経緯がある。
日本では神社の鎮守の森のように宗教が自然崇拝と近い関係(神道の緑性)にあることから居住地内などでも身近なところに自然があるほか、伝統的な自然農法に必要な雑木林を保護したり、都市公園法により都会のオアシスとして緑地が整備されるなど、他国に比べ「身近な自然」が多く恰好のモニタリング地となっている。トトロの森がある狭山丘陵とその恩恵をうける三富新田(武蔵野の落ち葉堆肥農法として日本農業遺産に登録)の関係と、その所在地周辺が宅地造成されている地理的条件は好例とされる。
また、「nature」には「本性」の意味もあり、パーマカルチャーにおいて「familiar nature」は「身近な人間性」という解釈も採り、人間が自然回帰できる場という意味も加えている。