ここ10年くらいでしょうか、
近年の少女漫画に出てくる主人公の相手役の男の子って
報われない不憫なキャラが多いなぁと思います。
例えば『ぴんとこな』の恭之助(河村猛)とか、
『ちはやふる』の真島太一とか。
不憫さというのが読者の女性や少女たちにとってどんな魅力があるのか??
僕はこれまで、それが今一つ理解できませんでした。
可哀想だったら情が湧くから?なんか違う気がする。
考えていくうちに、一つの答えに至りました。
そのnyaokなりの答えというのを説明するために、
まずは少女漫画の相手役男子の歴史を振り返ってみましょう。
王子様系、俺様系、幼馴染系、ナンパ系、へたれ系、
時代を経るにつれて、主人公の相手役の男の子は
設定のパターンが増してきているように思えます。
しかも一度登場すると、消えることはなくて、
過去のものを部分的に組み合わせることによって
どんどん増えて、どんどん複雑になっている。
この進化にはおそらく、相手役が何人もいるという、
漫画では実現しにくい逆ハーレム環境を提供する
いわゆる乙女ゲーの影響があると思いますが、
残念ながらまったくやったことがないので、
その件については省略します。
さて、少女漫画の相手役の男の子、
昭和の頃は単純に、
家は資産家、容姿端麗で成績優秀、
運動神経抜群で誰にでも優しい、という
できる男ばかりが相手役だった時期があったと思います。
比較的女の方が弱かったので、
憧れの男の子と結ばれるのがゴールだった。
しかし時代の変遷による男女のパワーバランスの変化も手伝って、
昭和の終わり頃には
幼馴染の平凡な男女が結ばれるパターンが新出してきて、
平成に入ってしばらくすると、遂には反動で
女子よりも弱く、情けない感じの
へたれ系男子が出てくるようになりました。
バブル期には、『俺様系』や、
『ナンパでチャラ男だけどイケメンで、
女ならだれでもよさそうに見えるけど
お前だけは特別なんだ系』 も出てきました(長いな)
『乙男(オトメン)』の正宗飛鳥のように、スイーツ作りに裁縫に
女子より女子力の高いイケメン男子という例外も現れた。
それらの陰で、長い歳月をかけて
やおいとかBLとか言われるものも発達しました。
(※これに関する女子の嗜好は、またいつかブログに書きます)
さて今回のテーマである不憫さの魅力、
これは特にへたれ系と密接な関係にあります。
読むに人によって感じ方は違うでしょうが、へたれさというのは
・助けてあげたい、ダメだからこそ選んであげたいという母性本能
・女性が男性より優位に立てる(劣等感を持っている場合、その克服)
どちらにしても、
この2つのどちらかを惹起するためのスパイスだと思います。
しかしへたれにはやはりどうしても「かっこよくない」という
シンプルな大問題があります(笑)
主人公の相手役である限り、
何はどうあれ格好良くなければなりません。
これは精神性を重視する女子の読み物である以上、
少年漫画のヒロインと違って
容姿が良いだけで解決できる問題ではありません。
(少年漫画の目的は夢を叶えるとか、
誰よりも強大な力を手にするとかなので
ゴールが意中の人と結ばれることなわけではなく、
極端な話、 別にヒロインの頭が悪くても、
性格がぶっ飛んでいても構わないからです)
また、少女漫画では、いくら現代の女子が強くなろうと、
あくまで男子には自分を引っ張ってくれる力強さがないといけません。
現代女子が抱えるその矛盾。
ダメなんだけどダメじゃない男子なんているのか?
僕は、これらを解決したものこそが不憫さだと思うのです。
ダメなんだけど、ダメじゃなくするにはどうするか。
それには外的要因しかありません。
つまり、不憫なのは本人の責任じゃない、ということ。
元々はいい男なんだけど、
環境のせいでダメになっている…というわけです。
そしてストーリーの進行で、環境を克服して真のイケメンになる。
少女漫画は第一印象の悪さから徐々に魅力を見せる、という
王道からもわかるように、ギャップを大切にしますから
今昔を比較するなら、相手役の男の子は下記のように進化しているのです。
昭和) 才能:ある 環境:普通 性格:良い
↓
現代) 才能:初期は不明 環境:悪い 性格:良い
へたれ系とギャップありのハイブリッド。
すなわち、これこそが不憫さの魅力なのです!
実は凄いんだけど、普段はヘラヘラしながら
いざというときに隠していた実力を発揮するのは一昔前の設定。
俺様系が主人公にだけ弱さを見せるギャップというのなら
二昔前から確立されていますが、不憫はその逆です。
そして少女漫画を読んでいて、この不憫さがゆえに
イケメンぶりを発揮できないやきもきパターン展開に慣れてくると、
ただキャラが不憫というだけで
反射的に魅力を感じるようになってくると思います。
なぜなら、不憫=真のイケメンという方程式が
心の片隅に成立するからです。
あたかも古典要素メガネ=クールのように。
少女漫画って奥が深いですね。
最近は『日々蝶々』のように、好きな人にだけは
素直になれないのではなくて
そもそも気持ちの伝え方自体が分からない
『コミュニケーション下手の恋愛』とか
『脳内ポイズンベリー』のように
アラサー女子向けに『年下男子が自分を好きになってくれる』
とかいったテーマが多いと多いと思います。
少女漫画がこれからいかなる進化を見せてくれるのか楽しみです。