AKB48の峯岸みなみという女の子が、好きになった男の子の家に泊まっただけで、
丸刈りにして動画を世界に晒す羽目に陥りました。そのことについて書きます。
一番大切なことだけ先に書きますが、僕が思うのは『20才なんてまだまだ子供なんだから社会がみんなで守ってやれよ!いじめを許容するな!』ということです。しかしそんな当たり前のことをここで叫んでも仕方ないので、そもそもAKBとはなんなのか、何がそれを生んだのか、メンバーの女の子たちの未来、恋愛禁止でも合理的にやっていける具体的な解決策を考えていきたいと思います。
まず僕はAKBのことをよく分かっていないので、Web上で様々な人たちの意見を読んでみました。
まとめてみると、下記のような感じです。
最初から恋愛禁止でそういう仕事だと覚悟をもって臨んでいるんだから他人がとやかく言うことではない。いやいや、そんな人権を侵害するような組織のルール自体がおかしい。本人が認めていればなんでもありなのか?プライベートを切り売りすることを許し、そんなルールを作る風潮がある日本は危険だ。しかしそういったプライベートがマスコミによって暴露される方が問題なのではないか?など。
やはり結論から言って、AKB48という組織の構造とそのルールが異常だと思います。誰だか忘れましたが女性ジャーナリストが舌鋒鋭く指摘していたことには以下の通りです。
ヤングマガジンという青年誌にAKBメンバーのある一枚のグラビア写真が載る予定でしたが、これが女性の乳房を後ろから白人の少年が手で覆っている!(いわゆる手ブラ)という倫理的に問題のあるもので、児童買春・ポルノ禁止法違反容疑で編集部が事情聴取まで受け、発刊が延期になるという騒ぎになりました。これに対してAKB運営陣はなんとなくうやむやにしてしまったわけですが、今回の峰岸みなみの事件では明らかに撮影のプロが、丸坊主になった惨めな彼女の謝罪会見の動画を収録しています。
矛盾している。結局は女の子の性を売り物にした商売なんじゃないかと。
イタリアに長い間在住していた知識人の友人がこんなことを言っていました。イタリアの男性といえばとにかくナンパ、というイメージがありますが、彼らは同時にフェミニストでもあるようです。なので、「イタリア、いや日本以外の先進諸国では、AKBのように未成年の女性を性的に売り物にすることは許されない」と。僕はAKBのことには詳しくありませんが、その言葉を初めて聞いたとき違和感がありました。性的?別に風俗じゃないし…でも、その言葉が脳裏に張り付いてからAKBを見ていると、頷けるようになってきました。女の子たちが下着姿でキスし合っているPVもさることながら、半裸の写真に小さな子供まで利用するなんて正気じゃないです。
しかし本当に問題があるのは、それを求める方ではないでしょうか。
はっきり言ってAKBメンバーが恋愛禁止になっている理由は、彼女たちに大金をつぎ込むディープな顧客層たち自身に恋愛ができない(彼女がいない)からだと思います。つまり、AKB商法というのは女の子たちがその顧客層と対等な関係に立った上で初めて成立する商売であり、それはメンバーと事務所の契約である以前に、メンバーと顧客の間にある暗黙の固い固い契約なのです。風俗を始めとするガールズバーとかキャバクラとかいったものは女の子たちが密閉空間で自分の時間を売っているのだと思いますが、AKBメンバーはある意味で空間を超えて24時間営業をしているのでしょう。
一世代前のアイドルグループ、『モーニング娘。』にはそういったニーズは薄かったように思えます。熱狂的なファンの多くが使う多大な時間と金銭は純粋に応援からなるもので、プライベートで男と付き合っているかどうかはそこまでアイドルとしての生死に関わらなかったのではなかったか。『モーニング娘。』も『AKB48』も同じアイドルなのに、顧客の求めるものがシフトしてきているということは、顧客自体の性格や環境が変化してきているということに他なりません。
そこで気になるのが、AKBメンバー自身が、そんなに束縛されてまでAKBに何を求めているのかということです。
顧客である男性たちの求めるもの(純粋に頑張っているアイドルを応援したい、ゴシップが面白い、疑似恋愛対象とする、他のことを忘れて夢中になれるものが欲しい、など)が分かりやすい一方で、AKBメンバーは?お金ではないような気がしますね。動機として、先輩のアイドルたちに対する憧れや、より女の子らしくいたいという気持ち、全力で表現できる場所を求めて、または大勢の人に認められて喝采されたいという願望があるんでしょう。
真偽はともかく、峯岸みなみは自分で丸刈りにすることを決めたそうです。AKBをどうしても辞めたくなかったから、とか。バッシングを受けて人気が急降下するのが容易に想像される中でのその決断。それを鑑みると、ファンの声援を受けたいとかアイドルとしての責任から逃げたくないということではなくて、自分の居場所を失いたくない、苦楽を分かち合った信頼できる仲間と別れたくないという気持ちの方が勝っていたのではないでしょうか。AKB48は女の子が輝ける場所であると同時に、一つの巨大なホームなんですね。
アイドルグループの問題点というのは、売り出す方が個々のメンバーの未来をあまり考えていないことです。言葉は悪いですが、使い捨てに近いと思います。事務所としては若くてキラキラしている内に少女たちを売り出して、その中から芸能界に生き残れそうなのがいたらそのまま確保する、という業態でしょう。
AKBの前述のような素晴らしさを活かしながら問題点を解消するために、一つアイデアがあります。経済的に損だから実行しないだけで、プロデューサーの秋元康もそんなことはとっくに思いついているでしょうが、それはメンバーの活動を期間限定にしてはどうかという案です。
例えば研究生から正規メンバーに昇格してからの在籍期間を3年間限定とすれば、ずっと恋愛禁止になるわけではないから我慢もできるし、AKB48としての自分だけではなく、“卒業後の自分”というものを意識して活動できると思われます。卒業した先輩がどうなったかというモデルケースの数がはっきり出てくることで、それはより顕著になるでしょう。今はまだ前田敦子や板野友美といったトップクラスのメンバーしか、晴れの卒業(もしくは卒業宣言)をしていませんし。
今は芸能界から去った島田紳介が、M1を企画した理由の一つとして、諦めきれずに売れない芸人をずっと続けて人生を持ち崩している人に諦めるきっかけをあげたい、というような趣旨のことを述べていました。
そもそも、アイドル自体が若い年齢のうちだけに許される、期間限定のような存在です。売れたメンバーは女優になるなり、知名度を生かして起業するなり、単純に芸能人になればいい。でもさほど売れなかったメンバーは今後、なんとなく卒業して(あるいは数年のうちにAKB自体が解散して)、大半は大学卒業の資格もなく、よく分からない宙に浮いた存在になると思います。ほとんどのメンバーにはAKBでなければ芸能界に居場所もないでしょう。AKBのブランドを活かして、地方でコンパニオンをやったり夜の店で働いたり、もしくは風俗店に流れていくのは目に見えています。
でも、3年間きっちり在籍して本当の意味で卒業したなら、それは学歴や職歴のように分かりやすく、誇れるものになるのではないでしょうか。
それが若い彼女たちに等しく未来を見せる方法の一つだと思います。