NHKの番組で、被害が増え続けている《オレオレ詐欺》系列の犯罪についての特集をやっていた。その中で、従来からの「悪徳商法」の一例として、《マルチ商法》が例示されていた。

ところが、番組が始まってしばらくして、
「マルチ商法全体についての誤解を与えるので、《悪徳マルチ》と区別するべきだ」という趣旨の、FAXだかメールだか、それとも電話だか、とにかく苦情が入ったらしく、キャスターが放送内で謝罪していた。

「盗人猛々しい」とは、まさにこのこと。
《マルチ商法》に「善良なマルチ」「真っ当なマルチ」なんて、存在しないのだ。

加盟者が新規加盟者を誘い、その加盟者がさらに別の加盟者を誘引するという連鎖により、階層組織を拡大する仕組みになっているのが、マルチ商法の特徴。
《無限連鎖》が物理的に不可能である以上、原理的に必ずどこかで行き詰まる。「1人の会員が2人ずつ新規会員を加入させた」と仮定した場合、28世代目で日本の総人口を上回る134,217,728人が必要となる。
直接の金品配当か、商品販売利益の形をとるかの違いだけで、いわゆる「ネズミ講」と、本質的に変わらないのだ。

独立行政法人・「国民生活センター」による《悪徳商法・問題商法の一覧》では、そのトップに「マルチと類似商法」が挙げられている。



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善良で、真っ当な大多数の事業者の中に、《悪徳業者》が混じっていることのある、例えば「不動産業」とは、決定的に違うのだ。