「運動を教えてはいけません。運動を可能にするのです。」
これは、ボバース概念の創始者、ベルタ・ボバースの言葉です。
私は、障害者を主に治療対象に考えている、作業療法士であり運動療法士です。
私の行うセラピーは、筋肉や関節、姿勢等に働きかけて運動を可能にする準備をすることが中心になっています。
それは、運動学習ということを意識的なこととは考えていないからです。
学習、と聞くとなにか先生がいて教えてもらう、という匂いがしますが、こと運動や行動は結構自然に身についていることがほとんどだと思っているからです。
病院勤務時代、患者さんを車で送迎することも行っていました。病院の自動車のシフトレバーはフロアー型で左の足元にありました。自分の自家用車は、コラムシフトでシフトレバーがハンドルの横についています。
時たま、病院の自動車に乗っているのに、左手が勝手にハンドルの横のシフトレバーを探していたり、自家用車に乗っているのに、シフトレバーを探して足の横を手が空を切ったり、ということが起こりました。
面白いもので、頭では分かっているのに、自然に身に着いたクセのような行動は、時たま、意識ではコントロールができなくなるようです。
ということで、人の運動や行動を意識レベルに引きおとすことが何か納得いかないのですが、ベルタ・ボバースは、それを言葉にして気づかせてくれているのですね。
ですから、カラダの準備に時間をかけながら、自然に動くことができるようになっていただくことが、まず大切。そして、そのレベルを維持するために自主的に行える運動を指導しています。この指導内容は、決して、「踵から足を地面に着く」、という指導ではありません。たとえば、“の”の字を書く、とか、すり足で歩く、といった、カラダに必要な状態を維持できることを目指して考えているのです。
いつも、考え続けています。
歩くって、いったいなんだろう。
座る時ってどんなことが起こっているのだろう。
横になるって、カラダがどうなったら一番効率いいんだろう…。
ああ、今日もまた、頭が爆発しそうなWillLaboでした。