ドヴォルザーク:交響曲第5番
ハイコ・マティアス・フェルスター指揮 プラハ放送交響楽団
あくまで個人的な感覚だが、ドヴォルザークやスメタナといった東欧の音楽は、夏の中盤から秋にかけての季節が最も似合うと思う。そういえば筆者が通っている大阪フィルの定期でも、過去にはビエロフラーヴェクによるこの作曲家の第6番(この秋にも最後の来日となるエリシュカの指揮で演奏される)や、そのエリシュカの指揮でのヤナーチェクの「グラゴル・ミサ」など、秋に聴いた印象がとても強く残っている。
さてこのドヴォルザークの「第5」。ご存知かとは思うが、かつてはドヴォールザークの「交響曲第5番」は現在は第9番である「新世界から」だった。これは、生前に出版された交響曲が5曲あるということを示しており、そこから逆算すると現行の第5番は「第1番」となるはずなのだが、実際には「第3番」だった。これは、第6番と第7番が先に出版されたため、続くこの曲が「第3番」となったというわけだ。
実際に動画を再生してみる。外国というと今話題の(!!)グアムしか行ったことがなく、あくまで想像で書くしかないが、いかにも夏のボヘミアの草原を爽やかな風が駆け抜けていく光景を思い浮かばせる音楽だ。何年か前の同じ時期にここで紹介させていただいた同国のフィビヒの交響曲とも似ている。全曲を通してドヴォルザーク節全開。この曲を書いたのは1875年だが、すでにこの時点で彼の作風は確立していたということを示している。そして、1875年といえば、過年の大阪フィル定期でエリシュカの指揮により深い感銘を受けた「スターバト・マーテル」に作曲に着手した時期でもある。こうして同時多発的に多彩なインスピレーションが沸いてくる彼の頭脳はいったいどうなっているんだろうと感嘆せざるを得ない。
演奏のフェルスター指揮のプラハ放送o.は何より弦の国チェコの強みを生かした滴り落ちるような弦楽器の響きがまず聴き手の耳を捕らえて離さない。映像で見る限り14型の編成のようだが充実した響きで、また自国の偉大なる先人達が切り開いた流れを受けて演奏しているのだという矜持すらも感じさせる。このような質の高い演奏がこのように公開され、気軽に聴けるようになっているということにはただただ感謝するのみである。