ミャスコフスキー:交響曲第27番,スヴェトラーノフ | youtubeで楽しむクラシックと吹奏楽

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ミャスコフスキー:交響曲第27番,スヴェトラーノフ

かつて話題となったヴォルコフ著の「ショスタコーヴィチの証言」。当時古楽にしか興味がなかった筆者も、「レコード芸術」誌中の(比重としては少ない)その(古楽)分野に関する部分に読み飽きて他の記事をついで読みしている中でこの書物のことを知った。そこに書かれていたのは、「鉄のカーテン」の向こう側の作曲家が置かれていた状況がここまで酷いものだったのかと思わせる衝撃的なもので、この作曲家に対するイメージが激変したという人も多かったようだ。周知のとおり、それは今では「偽書」とされている。だが、あの本が世に出た当時の社会の状況を鑑みると、そこに書かれている内容を受け入れるだけの「土壌」があったことを忘れてはならないだろう。

 

80年代半ば、大学に合格し、いよいよ実家を離れることになった当時の筆者は、入学に当たり、親や周囲の大人たちから「学生運動だけは絶対に関わるな」と厳しく戒められたものだった。基本的に学生運動は社会主義や共産主義を思想の根幹としており、それは当時「仮想敵」国とされていたソヴィエトや中国などの、いわゆる「東側」諸国の国是でもある。そしてそれだけではなく、それ以前のそれこそ物心ついた頃から、学校教育の中でも共産主義や社会主義について触れる際は「悪」という暗黙の了解があった。そのような土壌があったところにあの「証言」が出てきて、多くの方が衝撃を受けつつも「やっぱりそうだったのか」と追認する形になったというわけだ。そのソヴィエトも崩壊し、「証言」も偽書とされるに至った21世紀の現在、我々はより客観的にショスタコーヴィチの音楽を観ることができるようになった。そこで、この動画を観ながら筆者なりに彼の音楽について考察したことを書いてみたい。