ヒンデミット:交響曲「画家マティス」,ブロムシュテット | youtubeで楽しむクラシックと吹奏楽

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ヒンデミット:交響曲「画家マティス」,ブロムシュテット

 

20世紀前半のドイツの作曲家パウル・ヒンデミットの作品と言えば、筆者が知っているのは「ウェーバーの主題による交響的変容」と吹奏楽のための交響曲と木管五重奏曲、そしてこの「画家マティス」くらいだ。なので彼の代表的な作品しか知らない分際でさも全てを知っているかのように語ることは忌み憚られるが、その数少ない体験を通して感じるのは彼の音楽はどうにもこうにも理屈ぽく退屈だということ。煮え切らず盛り上がらず、聴いた後の後味も決してスカッとしない。

 

彼はこの作品を契機に表だってナチスに嫌われるようになり、最終的にアメリカに亡命することになった(それがドイツでは全く盛んではなかった吹奏楽のための作品を書くきっかけにもなった)が、それは彼の普段の素行(ユダヤ人音楽家と組んでレコーディングを行うなど表立って反抗した)だけでなく、この作品にも見て取れるように、一聴してわかる明快さとは対極にあることも一因としてあることだろう。そういう意味では、イデオロギーの違いこそあれ、これより少し後の時期のソヴィエトの「社会主義リアリズム」とナチスのそれは、ほぼ同質のものがあったと言えるかもしれない。