「汚れっちまった悲しみに」

19歳の時に勤めていた会社のコピーライターさんにもらった「詩」
すごく唐突に差し出された紙に書いてあった「詩」
その頃それが有名な人の「詩」だとも知らずで、ただすごく自然に入ってきた。
そのコピーライターさんとは、一度も会話したこともなかったから、その時どうして私にその「詩」を渡したのか、しかもボロボロの紙に手書きで書かれていたものだったし。
その後あまり時間をおかずに、そのコピーライターさんは、この世から姿を消してしまった。
今でも、時々思い出す「詩」

そのコピーライターさんの奥さんが、少しの間私の隣のデスクで一緒に仕事をする事になって、その「詩」の事を話した。
その奥さんは、にっこり笑って「大事にしてください。貴方に渡したのが、何となくわかります。」と言われた。

今の自分もまた、変わりない。




汚れっちまった悲しみに
今日も小雪の降りかかる
汚れっちまった悲しみに
今日も風さえ吹きすぎる

汚れっちまった悲しみは
たとえば狐の革裘(かわごろも)
汚れっちまった悲しみは
小雪のかかってちぢこまる

汚れっちまった悲しみは
なにのぞむなくねがうなく
汚れっちまった悲しみは
懈怠(けだい)のうちに死を夢(ゆめ)む

汚れっちまった悲しみに
いたいたしくも怖気(おじけ)づき
汚れっちまった悲しみに
なすところもなく日は暮れる……