家山桜トンネル201204 | willfreemanのブログ

willfreemanのブログ

no man is an island

 

今日は静岡県の島田市の家山に桜を見に来た。ここは桜トンネルと大井川鐵道のSL機関車が有名な場所として知られている。早朝に家を出たので、家山には8:30に到着した。画像の中央に見えるのが家山川沿いに咲く桜で、桜祭り会場と駐車場がある。ただ、まだ8:30だったからか、あまり人は居なくて、出店も準備されてなかった。

 

こちらが桜トンネル。実際に立ってみるとそれほど距離がある道ではないのだが、こうやって写真にすると、ずっと長い桜トンネルが続いているように見える。

桜トンネルをあまりにもあっさりと見終わってしまったので、家山駅まで散歩することにした。桜トンネルからは徒歩で15分くらいだと思う。とてもレトロな感じの駅で、僕が高校生の時の最寄り駅に何処か似ていて、眺めていると懐かしい気分になった。

 

暫くすると電車がやってきた。多分、1時間に1本程度だと思う。何処かで見た覚えのある電車だと思ったら、なんと昔の近鉄特急ではないか!恐らく現役任務を終えて、この地に払い下げられてきたのだろう。満開の桜に包まれながら家山駅を静かに動き始めた。電車にも人間と同様にセカンドキャリアがあるようだ。この近鉄特急は、第二の人生を多分うまく見つけることができたのだろう。

家山駅の近くに高台があったので、そこまでまた歩いた。家山の街が一望できる小高い丘だった。歩いている時からとても不思議だったのだが、人の気配がほとんど感じられない。何となく村上春樹の1Q84に出てくる猫の街に来たみたいな感じがする。「猫の街」とは次のような挿話だった。ニューヨークタイムズがそのファンタスティックな描写に敬意を表して、掲載したらしい。

きままな汽車の旅を楽しんでいる青年が、とある駅でぶらりと降りる。そこには小さな町が広がっていたが、不思議なことに人間は一人もいない。店にはシャッターが下ろされ、役所にも人影はなく、ただひとつあるホテルの受付にも人がいない。そこは人間の町ではなく猫の町だったのだ。

日が暮れると猫たちは石橋を渡って町の中に入ってきて、シャッターをあげて店を開け、役所の机に向かって仕事を始めた。またレストランで食事をする猫もおり、陽気な猫の歌を歌うものもある。猫は夜目がきくので、暗くても良く目が見える。ましてその夜は明るい月夜だった。みなそれぞれ猫流に一夜を過ごした。そして夜が明けると彼らは、すべてを片づけて町から去っていった。

男は、猫がいなくなったあと、ホテルのベッドに入って勝手に眠り、ホテルの台所に残されていたパンを食った。列車は一日に二度この町の駅に停まる。午前の列車は先の駅に進み、午後の駅は前の駅に戻る。だが好奇心が旺盛な青年は、そのままこの町にとどまることにした。

三日目になると、猫たちは人間の匂いがするといって騒ぎ出した。彼らは警護団を形成して、町中を捜索した。そのうち青年が隠れている鐘つき台の上に上ってきて、青年の目の前まで近づいてきた。だが不思議なことに、猫たちには人間の匂いは感じられても、その姿は見えないのだった。

猫たちが去ってしまうと、青年は自分が危険な状況に置かれている事に思いあたり、一刻も早く列車に乗ってこの町を脱出しようと考えた。しかし翌日の午前にやってきた列車はこの町の駅には停まらなかった。午後の列車もまた停まらなかった。

「彼は自分が失われてしまっていることを知った。ここは猫の町なんかじゃないんだ、と彼はようやく悟った。ここは彼が失われるべき場所だった。それは彼自身のために用意された、この世ではない場所だった。そして列車が、彼をもとの世界に連れ戻すために、その駅に停車することはもう永遠にないのだ」

 家山の桜は想像していたよりも規模が小さかったが、街の散歩を含めて考えると結構楽しい花見になったと思う。来年もまた来たいかと聞かれると微妙だが、静かな街と花見を楽しみたいならここがお勧めではないかと思う。