以前、家には小さい水槽があった。
水の流れとか、あわ立つ空気みたいなものが大好きで
そこに揺らぐ水草とか、群れ成して泳ぐ小さい魚なんかがいた日には
一日中眺めていても飽きないくらい。

水槽の一員にヤマトヌマエビという半透明の小さなえびもいて
こいつが水槽の中をぴゅんぴゅん泳いだりするのがまたかわいい。

このヤマトヌマエビは脱皮をする。
朝起きて水槽に言ってみると、水草に抜け殻がひっかかってたりして
ヤマトヌマエビは晴れ晴れと涼しい顔して泳いでたりする。

そんなエビをみていると、人間も脱皮できるようになったらどうだろう?とふと思う。

固い殻を脱ぎ捨ててしまえば、柔らかい組織が再生される。
お肌だってつるつるになるんじゃなくって?

われながらいい考えだと悦に入っていたけれど、
よくよく考えると脱皮のタイミングが問題だ。
いつでも何時でも・・・ってわけにはいかない。脱皮できる空気を読まなくちゃ。

それから、皆がところかまわず脱皮するようになると、
抜け殻の処理問題だってでてくる。

ただでさえごみ問題で頭を悩ます自治体のの大きな負担になるに違いない
(燃えないごみかしら?)
 
きっと抜け殻フェチみたいな輩が現れて、
AKBが脱皮する瞬間を狙って抜け殻を持ち去り、
ヤフオクで高値で取引されるなんて社会現象も巻き起こしそうだ。

妙なところが気になるわたしは、きっと脱皮の際、
背から出るか、腹から出るか、迷って、結局
「えーい、しちめんどくせー」とべりべりにやぶって出てしまうに違いない。
 
でもきっと抜け殻シュレッダーみたいなものも登場して、
経済効果もあるかもしれんなー などと妄想は果てしなく続くのだった。

さらに、脱皮現象には抜け殻とは別に大きな問題がある。
脱皮するたびに、体が大きくなってしまうのだよ。
たとえば、久しぶりに友達に会ったら、身長が3mになっていた。

「ず、ずいぶん大きくなったねぇ」

「うん、ここんとこ3回連続脱皮しちゃってー」

みたいなことになりかねない。

脱皮するにも一苦労だなーと、思いにふける春の宵だった。
(これを書いたのは、深夜だけれど)





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