パキスタン 母 | 産まれてから30年 真実と偽り

産まれてから30年 真実と偽り

パキスタンで産まれ、現在は日本で日本人妻と暮らす。

在住歴約5年。

これまでの人生をありのままに綴る自伝記。



1 TO 30 TRUE OR LIE




今7人子供が居るけど、もし、もう一人神様から授かるなら男の子がほしい。

もう、名前も考えた。


メッカで働く一人の男性の名前をとても気に入っていた。



その名前を、次に授かる子供に与えたい。

その名前はアブドゥル・バシット。

でも、医者にもう一人子供を授かるのは無理だと言われてる。


そんなことを考えているとき、家のドアがノックされた。


出て行くと、年老いた一人の男が立っていた。




あー、物乞い。

パキスタンでは、物乞いや貧しい人たちは、1軒1軒家を周って、食べ物をもらうことがある。

その中には、ホームレスではなく、お金持ちの人も混ざっている。

彼らは成功した後、突然お金も何も要らなくなり、神を求め、すべてをなげうって旅に出ることもある。

そんな中で、精神的に卓越し、特別な力を持つものいる。

人の未来を見たりする。


ある人は、そんな力を持った彼らのことを、物乞いの格好をした天使だという。




元に戻ろう。




彼は、「食べ物を欲しい」と言った。


おなかすいてるのは分かるけど、うちはとても貧乏で、あなたにあげるものはありません。


彼は、「人生はね、いつも変化があり、いいときも悪いときもあるんだよ」と言い残し、去っていく。


そういえば、今日、昼食をまだ食べてなかった。

去ろうとしている、彼にあげよう。


声をかけると彼は戻ってきて、玄関前に座った。


そして、冷たいお水と自分のための昼食をすべて彼に差し出した。


彼は、一度、聞いた。

「あなたは本当に食べなくてもいいの?」


はい、差し上げます。


彼は、食べ始め、そして言った。


「あなたは、自分の食べ物を、私に与えた。

私のために、あなたはおなかをすかせている。

あなたのために祈ります。

食べ物の変わりに、何かがあなたのおなかの中に宿りますよ。。。

神は、食べ物を食べるよりも、もっと幸せな形であなたに返しますよ。。。」



私が欲しいものは、多分無理ですよ、と彼に言った。

そして、泣いた。


彼も食べるのをやめ、泣いた。


そして、「あなたが欲しいものを知ってます」、と彼は言った。

悲しまないでと。。。


「あなたはおなかをすかせている。

すぐにあなたの欲しいもの、食べ物を食べるより幸せなことが来ますと。。。」



そして、

「男の子が欲しいのですか?」

と、言った。



とても驚いた。

私は彼に何も言ってない。

どうして分かったのか。


彼は、特別な力をもつ物乞いの格好をした天使だ。と思った。



彼は、続けて、「男の子を授かった後はあなたの色々な問題はなくなりますよ」と言って、立ち去っていった。