妄想日記 -3ページ目

妄想日記

この日記はノンフィクションであり、登場する団体・人物などの名称はすべて実在のものです。

妄想日記


区画整理された住宅街というものは
時に迷路のように入り組んでいるものだ。

春の訪れを告げる花の香り、子供達の遊ぶ声、
そんな心地よさに浮かれて足を進めていると、
いつもは決して気がつかないような路地を見つけてしまうことがある。

そんなときは決まって、誘いこまれるように足を踏み入れてしまうのだ。

決して抜けられない袋小路。日常の中の迷宮。そして終着点はいつも同じ。

またあの白い家の窓から

あの黒い女が

こちらに向かって微笑みかけているというのに


ああ嫌だ

ああ嫌だ

ああ嫌だああ嫌だああ嫌だああ嫌だああ嫌だああ嫌だ
ああ嫌だああ嫌だああ嫌だああ嫌だああ嫌だああ嫌だ
ああ嫌だああ嫌だああ嫌だああ嫌だああ嫌だああ嫌だ
ああ嫌だああ嫌だああ嫌だああ嫌だああ嫌だああ嫌だ
ああ嫌だああ嫌だああ嫌だああ嫌だああ嫌だああ嫌だ
ああ嫌だああ嫌だああ嫌だああ嫌だああ嫌だああ嫌だ
ああ嫌だああ嫌だああ嫌だああ嫌だああ嫌だああ嫌だ
ああ嫌だああ嫌だああ嫌だああ嫌だああ嫌だああ・・・
wildside1028のブログ


駅から線路沿いに細い坂道を登って行くと、以前住んでいたマンションがある。
片側は閑静な住宅地になっていて、以前は毎日ここを往復していたのだ。

その中に一軒変わった家があった。

その白い家は全面ガラス張りのテラスが出窓のようにこちらに突き出している。
ちょっとお洒落でとても目立つはずなのだけど、なんだか空気が淀んでいるのだ

そして、ある日。

その部屋から一体のアンティーク・ドールが見えた。

金髪の巻き毛を垂らした愛らしい仏蘭西人形がガラス越しに、
ポツンと道行く人々を眺めてる。

殺風景だから人形でも飾ったんだろうなくらいに思ってた。

その時は・・・

でも、ある日を境に人形は2体になり、

3体になり、

4体になり、

5体になり、

6体に7体に8体に9体に10体に11体に12体に13体に14体に15体に
16体に17体に18体に19体に20体に21体に22体に23体に24体に25体に
30体に31体に32体に33体に34体に35体に36体に37体に38体に39体に
40体に41体に42体に43体に44体に45体に46体に47体に48体に49体に
50体に51体に52体に53体に54体に55体に56体に57体に58体に59体に
60体に61体に62体に63体に64体に65体に66体に67体に68体に69体に
70体に71体に72体に73体に74体に75体に76体に77体に78体に79体に
80体に81体に82体に83体に84体に85体に86体に87体に88体に89体に
90体に91体に92体に93体に94体に95体に96体に97体に98体に99体に

ああああああああああ・・・


もう数え切れないくらい日に日に増殖し部屋を埋め尽くしていった。

おかっぱ頭の日本人形も混ざってたような気がする。
少なくても全てが古びたアンティーク・ドールだった。

それらの人形達が全て窓越しにこちらを向いているのだ。
流石に気味が悪い。それはもう尋常な風景じゃなかった。

それがある日を境にぷっつりと。

綺麗さっぱりと一体も残さず、全ての人形が姿を消した。
家の前の電信柱に一枚の張り紙を残して。




「人形 供養 シマス」
wildside1028のブログ



あれは夏の終わり頃だっただろうか?
確かもう秋の足音が聞こえてくるような、そんな時期だったと記憶している。

何とはなしに外の空気が吸いたくなってふらっと散歩に出かけると、
近所の神社で随分と賑やかな縁日が行われているようだ。

もう真夜中近くだというのに…

ちょっと覗いてみようかと足を踏み入れると、
それはもう絵に描いたような縁日そのもので、
焼きトウモロコシに水あめ、金魚すくいに射的といった
ありとあらゆる露天が見かけ以上に広い境内に軒を連ねている。

お面を被った子供達が玩具のピストルを手に走り回ってテキ屋の
おじさんに怒鳴られていたりもして、こんな縁日らしい縁日は
実は本や映像の中でしかお目にかかったことがなかったから
ついつい楽しい気分になってしまった。

中でも人だかりの出来ている一角に進んでいくと、どうやら舞いを
やっているようだ。若者が魚の面を被った邪神と戦っている。
釣針を失くしたとかいう話らしい。これは聞いた事がある。

物語もクライマックスに差し掛かって魚の面を被った邪神が若者を打ち負かし…


え?そんな話だったっけ…?


魚の面も古典にしては厭にリアルだ…
そういえばなんで見物客もみんな同じお面を被ってるんだ?


さっきから漂ってくる、この濁った潮のような匂いはなんなんだろう?


祭囃子に合わせてみんなが口々に呟いている言葉は
どうも日本語ではない気がする…




ふんぐるい むぐるうなふ くとぅるふ るるいえ うがふなぐる ふたぐん
ふんぐるい むぐるうなふ くとぅるふ るるいえ うがふなぐる ふたぐん
ふんぐるい むぐるうなふ くとぅるふ るるいえ うがふなぐる ふたぐん
ふんぐるい むぐるうなふ くとぅるふ るるいえ うがふなぐる ふたぐん

いあ!いあ!




最近、目の間が随分離れて口も広がり、細かい歯がびっしりと
生え変わった気がするのだけど、おそらく気の迷いだろう。

この街にも、すっかり馴染んできたようだ。