心の奥のどこかを揺さぶる緑色の光 | wildsheep

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レースに詳しくないので
記載内容の一部が正確でないかも
しれません。
長文ですが以下は
鈴鹿サーキットで行われた
10時間耐久レースの観戦メモです。


第一部 痛車と浴衣

車全体にマンガやアニメ・ゲーム
などのキャラクター
のイラストをあしらい、装飾した車を
"痛車(いたしゃ)"と呼びます。

初音ミクさんの痛車が
レースに参戦したのは
今から10年くらい前のこと。

単に車体に初音ミクさんが
描かれているだけでなく、
個人スポンサー制度を
通じたチームとファンとの
一体感やレースクイーン
(=ミクサポーター)
が初音ミクのコスプレをする
というように

通常のレーシングチームとは
活動の内容が異なり、独特です。

ファンのヲタク度も高く、
参戦している
「SUPER GT」という
日本のレースでは
好き嫌いが分かれるチーム
だと思います。

硬派なレースファンからすると
「ちゃらちゃらしてないで
もっと真面目にレースに取り組めよ」
という声も聞こえてきそうです。

実際に参戦した当初は
レース成績もあまり良くなく
「人気先行の初音ミクのヲタチーム」
という感じだったのだと思います。

アニメ好き
秋葉原
年齢と彼女いない歴が同じ
レースクイーン
カメラ小僧

このようなキーワードが似合う
人達が集う異空間です。

自分も今では
そのようなレーシングチームの
個人スポンサーなので、
異空間の肯定派です。

昨年度、
初音ミクのレーシングチームは、
GT300クラス
でチャンピオンを獲得しており、
実力も伴ってきました。

そして今回、
世界の強豪を相手に
鈴鹿サーキットでの
10時間耐久レースにも
参戦することになりました。


今回の耐久レースでは、
初音ミクさんのイラストが
浴衣姿だったので、

ミクサポーターの4人はもちろん
自分たちも、初音ミクさんと
同じ浴衣を着て
レースに参戦したという次第です。


第二部 不運と決意

レースは金曜日フリー走行、
土曜日予選、日曜日決勝。
ベントレーをはじめとする
海外の有力チームが名を連ねる中で
日本からもいくつかのチームが
参戦しました。

土曜日の予選では
日本の他のチームのドライバーが
コースオフした関係で
初音ミクさんのチームは
タイムアタック中であったにも
かかわらず予選が

強制終了

となってしまいました。
タイム的には3位以内くらいが
狙えたような良い状態だったので
不運の結果となり、
決勝は21番目という
後方からの出走となりました。


コースオフしたドライバーを
非難する声も多く聞かれました。

海外のドライバーのように
鈴鹿に慣れていないケースなら
まだ許せるが、
何度も走っている日本人なのに
そんなミスをするなんて・・・・

でも元凶は
レース運営側にあったようです。
その時点で赤旗を出して
予選を中断する「意味」が
なかったからです。

そのミスした自動車の後続には
誰もいなかったので
放置して予選を続けても
誰も危ない目にあったりは
しなかったのです。

そんな事実が明らかになるに連れて
チーム関係者の怒りは頂点に達し、
やがては
「過ぎたことは仕方ない。
明日の決勝で頑張るしかない!」
という雰囲気に変わっていきました。

他のチームのファンの方の中には
自分たちのチームの不運に対して
同情してくれる方もいました。

普段はヲタクのチームのことを
ライバル視したり、
毛嫌いしたりしている人でも。



第3部 スタンドが緑色に染まった

日曜日の朝10時に
決勝がスタートし、
夜の20時まで
10時間のレースが行われました。

ドライバーは3人が1時間ずつで
交代する形で
真夏の炎天下のサーキットを
疾走しました。

自分達は10時間
ずっと観戦すると体力と気力が
持たないので、
食事したり、休憩したり、
涼しいところに避難したり、
ミクサポーターのイベントに
参加したりしつつ
レースを観戦しました。

予選での悔しい想いを胸に抱きつつ。

ドライバーの悔しい想いも
こちらに伝わってきました。

マシンの調子を確認する
試験走行のときに
他のチームよりも
真っ先にコースイン
したりしていました。

炎天下の下では、
少し遅れてスタートのグリッドに
並ぶ方がマシンの室内の気温などが
上昇しないと思うものの
今回は36チーム中で一番最初に
グリッドについていました。

不運の境遇ゆえの一体感

そんな感情を抱いてレースが
スタートしました。

スタートの21位から
徐々に順位が上がっていきます。

チームスタッフも
ドライバーも誰1人として
ミスはしませんでした。

気づくと順位は5位。

日本の他のチームの中には
トラブルが出て思うように走れない
チームもありました。

結果 ミク号は
アジア勢で1位。総合で5位まで
浮上しました。

見事に不運の逆境をはねのけました。

レースの終盤は
そのような状態が安定して
続きしました。

4位とは1分以上も
離されていたので
追い上げは不可能。

このまま行くと表彰台は無理。

消化試合のように
レースの周回が重ねられていきます。

そんな中で
後方からあるマシンが
追い上げてきます。
世界的に有名な
「ベントレー」のチームです。

耐久レースとかも得意で、
ミク号に襲い掛かります。

4秒くらいあった差が
2秒・1秒と縮まっていきます。

日没から少し時間が経過した
19時頃です。
レース終了まで残りは
1時間くらいあります。

海外から来た覇者に
日本のヲタクが打ちのめされて
しまうのか??

30分くらいの時間をかけて
覇者のアタックが続きます。

そんな中で自分たちは
「光」に気づきます。

グランドスタンドが
緑色の光で覆われているのです!



初音ミクさんは
緑色の服を着ていることが多いので
レーシングチームのグッズなども
緑色が多いのですが
今回、鈴鹿のほとんどの観客が
緑色のペンライトを
点灯して、

ミク号が覇者のアタックを
かわしながら走行する都度、
ペンライトを振って応援して
くれています。

普段、初音ミクさんのチームを
ライバル視したり、
毛嫌いしたりしている人も。

鈴鹿サーキットの配慮によって、
夕方にグランドスタンドに
入場した人には無料で
ペンライトが配られていたのです。

ライトの色は10色以上の中から
自分な好きな色に
手元のボタンで
切り替えることができます。

日没直後は、
それぞれ自分が好きな色のライトを
点灯していたのですが、

それがいつの間にか
初音ミク色の

「緑」

になって揺れています!

まるで日本代表のチームを
応援するかのように。

うまく言えませんが、
しばらく忘れていた

一体感

のようなものを感じました。

みんなの心が
1つになって、
大きくなって
そして心の奥のどこかを
揺さぶっていきました。

たぶん泣いている人も
いたのではないかと思います。

鈴鹿に行く前は、
前日のブログ記事でも書いたように
空虚な気持ちで
覆われていたのですが

この奇跡のような
緑色の光で
救われたような気持ちに
なりました。

オリンピックとか
ワールドカップなどの
日本代表を応援すると
同じような気持ちになるのかも
しれませんが、
自分はそのようなことをしたことが
なかったので、
今回の緑色の光による感情は
初めての体験でした。

うまく言えませんが、
そんな不思議な体験をして
月曜日の始発の新幹線で
東京に帰ってきました。

今日から週末まで、
普通に会社で仕事します。

wildsheepは
先週と同じかもしれませんし
何かが変わったのかもしれません。

そして今週末、
再び緑色の光に包まれる体験を
してきます。