こんにちはwildmonkeyです。
完全書き下ろし
wildmonkeyの短編小説
「ルールを守る殺し屋」 ご覧ください。
俺は"殺し屋"だ。
大きな声では言えないが依頼を
受けて暗殺を請け負っている。
今日も依頼されたターゲットを殺しに行く。
危険を伴う仕事だが、
今まで生き残れたのには理由がある。
意外だと思うかもしれないが、
"ルール"をきちんと守る…
これが大切だ。
"ルール"を守ると言っても
国が決めた法律なんかじゃないぜ…
そんなものはクソだ!!
俺の言う"ルール"とは自分で決めた
"ルーティン"だ。
例えば、
今飲んでいる、この水がそうだ…
"朝起きたら、必ず水を一杯飲む。"
このルールを守っている。
水は毎朝、メアリーが
用意してくれている。
メアリーは、
頼んでもいないのに
俺の身の回りの世話を焼く、
変わった女性だ。
彼女が危険な目に合う可能性は
ゼロではない…
俺は彼女を冷たくあしらうが
彼女は俺から離れない…
俺が殺し屋と知ったら、驚いて
俺から離れて行くだろう。
まあ、それでも構わないが、
俺が殺し屋である事がバレないように
生活するのも"ルール"の一つだ。
さあ、そろそろ殺しの時間だ…出かけよう。
"靴は左足から履く"
それも"ルール"の一つだ。
"ルール"をあげればキリがないが
細かい"ルール"も守っているからこそ
俺は今まで生き残れたと考えている。
自宅から出てターゲットの勤務先へ向かう途中、
塀の上から"黒猫"が飛び出してきた…
縁起が悪い…
こんな日に仕事をすると
だいたい、良くない事が起きる。
それも"ルール"だ…今日は自宅に戻ろう。
しかし、この"黒猫"が横切るのは
今日で3日目だ…
明日から出かける時間の"ルール"を
変更しなければ…
そんな事を考えながら、俺は自宅に戻った。
出かけて、すぐに戻ってきたので
メアリーは驚いていたが
"ほっといてくれ"と目で合図し、
部屋に籠もって今回の殺しの計画を
見直す事にした。
今回の殺しのターゲットは「教師」だ。
このターゲットの教師は
ひとりの生徒を馬鹿にする言動を繰り返し
教師自ら、イジメを先導するような巨悪だ!
馬鹿にされた生徒は今、
不登校になっている。
明日こそ、この教師を暗殺する。
"黒猫"が毎朝、横切るので
なかなか、仕事が進まないが、
"ルール"を守るのは大切だ。
明日は黒猫に出会わぬように
自宅を出る時間を変更しよう。
そして、ターゲットの教師が車で出勤してくるのを先回りをして、教師がその車から降り………
俺は不穏な気配に気付き、振り返ると
メアリーが立っていた!
「勝手に部屋に入っては
いけない"ルール"だろ…メアリー…」
メアリーは不機嫌な顔をしている。
「いいか、メアリー…
長生きする秘訣を教えてやろう
"ルール"を守る事だ!」
「誰がメアリーよ!!」
メアリーは鬼の形相で言った…
「あんた!
何日も学校休んで何をしてんの?
先生から電話があったわよ!!」
「………………」
「先生が注意したら、"殺してやる!"って
言ったそうね…何でそんな事を言うの!」
「……………」
「 "殺す"なんて言ってはいけないのは
わかるでしょ!」
「………………」
「聞いているの!!!」
「………………」
「"人の話を聞いたら返事をする"
当たり前の"ルール"でしょうが!!」
「⁉……………」
「"学生は学校に行く!"
これも当たり前の"ルール"!!」
「……………」
「返事をしなさい!!!」
メアリーは俺の胸ぐら掴んだ
「………………」(ビクッ)
「"ルール"守れないの?!」
「⁉………………」
「"ルール"守りなさいよ!!」
「…………"ルール"は守る…」
「…そう…いい心がけね
長生きできるわよ」
俺は新しい"ルール"を3つ追加した…
"人の話を聞いたら返事をする"
"学生は学校に行く!"
"メアリーは怖いから気をつける"
これで上手くいく…
俺は"ルール"を守る殺し屋
殺したい奴がいるなら
声をかけてくれ…
ただし、
"ルール"は守ってもらうがな…
完
