「暫くの間、自宅待機してくれ。」
上司は微笑みながらそう告げた。
世界的な伝染病の流行。
それが理由と言えば聞こえは良いが、要は仕事が無いのだ。
もともと、窓もない仕事場で、日がな一日モニターに向かっているという、つまらない仕事。
さして優秀でもない私が、今まで働いていられたのも、誰よりも従順であるという理由位しか見つからない。
1週間ほど自宅でぶらぶらしていたが、流石に暇をもて余し、上司に連絡をした。
「すまんな、君の仕事は今は無いんだ・・・。なに、いいじゃないか、すこし休めば」
彼の明るい声が私を暗くする。
ああ、かび臭いあの仕事場が懐かしい。
瞬く間に1年が過ぎようとしていたある日、上司から連絡があった。
「仕事だ・・・」
妙に冷めた口調でそう告げられた。
伝染病のせいか、全く車の走っていないハイウェイを飛ばし、懐かしいかび臭い部屋に着いた。
モニターは相も変らず同じ建物しか映していない。
上司は「最後の仕事だ・・・」と告げると、そそくさと部屋を出て行った。
薄々は感づいてはいたが、致し方ない。
なに、どうにかなるさ。
私は、懐かしい椅子に座り、、手元のボタンを押した。
モニターには閃光を放ちながら昇っていくミサイルが映っていた。
完
ご無沙汰しております。
CATです。
ぼちぼち
ショート・ストーリーから
アップ致しますので
引き続き
ご愛顧お願い
申し上げます。
助手達も息災でございます。
今回も最後までご覧頂き
ありがとうございました。