拝啓 山猫 様
お葉書、拝読しました。
ご立腹もっとも。
まったく、貴殿を森の悪者に仕立てた件、弁解の余地もなく。
マタタビの古酒の一瓶でも手土産に、おわびに伺うのがよろしかったでしょう。
修羅より放たれ八十と六年。
今だ現世の人々が、わたくしの事を想起下さり、あちらに出向き、こちらに出向きと、生憎多忙をきわめている次第です。
お葉書の通り、山犬や蛇姫諸氏の方が人間にお灸をすえるのにふさわしい事、同感であります。
ところが、品格や知性となると貴殿に勝るものはなく、実際、どんぐりと山猫で貴殿に判事に扮していただいたのは、そのような思いです。
どうぞこれからも、私たち人間に恐れられる存在である事を希求します。
今度一緒に、イーハトーヴの森で、銀河の星の話や、石や植物の事でも語りましょう。
敬 具
宮沢賢治
【楽屋話】
ショートストーリーは
悪役という設定に対する
山猫からの
抗議の葉書に対し
著者宮沢賢治が
返信をしたという
設定です。
このような返信をもらい
山猫のニヤつく姿が
目に浮かびます。
そもそも
本土の山中には
山猫なるものは
おりません。
わたくしは
山猫は狐狸妖怪の類
ではなく
山の神や
自然に生きる
動物達の象徴であると
考えております。
従いまして
山猫様の模様も
実際には無いけど
一番有名な
あの模様に
致しました。
ガン見~!!
6回にわたりアップいたしました
宮沢賢治著
「注文の多い料理店」
山猫軒の小説レイアウトも
山猫様を配し
これでやっと終わりです。
いかがでしたでしょうか?
小説レイアウト。
楽しんで頂けたら
何よりです。
暫くは
ショートストーリーに
重きを置き
次の小説レイアウトは
風の又三郎を
予定していますが
桜の花びらを散らす
又三郎となりそうです。
芥川龍之介先生の
蜘蛛の糸なら
すぐに出来そうですが・・・
今回も最後までお付き合い頂き
ありがとうございました。