親ロ派の荒唐無稽な主張のひとつにウクライナ東部ドンバスにおいて

 

「1万6千人の市民がウクライナ軍によって虐殺された」

 

というのがありますが、これもまったくウソですね。

 

人によっては1万6千人だったり、1万4千人だったりバラバラです。

これも親ロ派の情報のいい加減さを物語っています。

 

 

国連人権高等弁務官事務所(UNHCR)によると、2014年-2021年のドンバス紛争に巻き込まれた民間人の死者は3404人とされています。

 

この死者数には現地を取材した外国ジャーナリストや、親ロ派武装勢力によって撃墜されたマレーシア航空機の乗客298人も含まれています。

 

のこりの1万人以上の死者はウクライナ軍兵士、親ロ派武装勢力の兵士(実質ロシア軍)です。

 

双方の戦闘の巻き添えになった民間人は本当に気の毒で、言葉もありませんが、事実は事実です。

 

親ロ派が虐殺と主張していますが、国連はこのドンバス紛争について「虐殺」とも「民族浄化」とも定義づけていません。

 

親ウクライナ派住民も親ロ派も双方に犠牲が出て、親ウクライナ派住民は国内避難民としてサポリージャなどの都市に移住し、ロシアに移住したロシア系市民もいるようです。

 

これについては、国際政治学者の東野篤子先生が解説してくださっています。

 

 

 

 

東野篤子先生のツイートより引用

 

「国連人権高等弁務官事務所のわずか3ページの報告書の原典に当たればすぐに分かることですが、3404人はドンバスにおける2014-21年の民間人の死者です。同事務局はこれが民族浄化の結果などという結論は出していません。

 

ロシア側がよく使う死者数14200-14400人という数字は、3404人の民間人、4400人のウクライナ軍、6500人のいわゆる「武装勢力」を含みます。 ロシアはこの国連人権高等弁務官事務所の報告書が開戦直前の1月27日に出された際、ロシア側の主張に合わないものとして同報告書を非難するかと思いきや

 

この14000人前後という数字を「ロシア系の民間人が殺された数字」にすり替えて喧伝することにしたというわけです。 この14000人を巡るすり替えはロシアが頻繁に使う手口ですから、大使は番組中にこの数字の細かい部分を議論しなかったのです。 ロシア派を自認するくせにそこが読めないとは。

 

 

私をファシストだと中傷する前に、この短い国連文書を読んでみればよいと思いますし、なぜロシアがこの文書に抗議しなかったのか、考えてみたらよいと思いますよ。

 

 

それから、ロシアが「ウクライナによる民族浄化だ」と喧伝する約14000人の中には、MH17事件で亡くなった298名が含まれることもお忘れなくお願いします。 昨年オランダで、ロシアの元情報機関員ら4被告に対して終身刑が求刑され、今年末にも判決が言い渡される模様です。

 

ラブロフ外相はこれまで繰り返し14000人という数字を「ウクライナ人に殺されたロシア系住民」であるかのように語ることが多く、大使もそれに倣っていましたが、この国連人権高等弁務官事務局報告書が直接引用される場面では、14000人という数字の代わりに3404人を用い、「全てウクライナに殺されたロシア系住民」という扱いにしてきました。

 

 しかし実際には、上述の国連報告書では、これを「ウクライナ政府が殺した人数」としてではなく、「2014年以降2021年までに『戦闘に巻き込まれて死亡した』人数」と捉えています。端的に言えば、「ウクライナとロシアの戦闘の結果」としての死者3404人です。

 

このうち、MH17撃墜事件による死者など明らかな死因を除き、誰がどのような状況で亡くなったかは把握できず、当然ジェノサイド認定など出来ないというのが国連の立場であり、「いや証拠など必要ない、全員ウクライナによるジェノサイドだ問答無用」と断じているのがロシアの立場です。

 

ジェノサイドと決めてしまえばある意味(思考停止という意味で)楽なのでしょうし、私をナチス呼ばわりすることで仲間で盛り上がるのも楽しいでしょうが、地道な調査と真摯な判断こそ必要なのではないでしょうか。ジェノサイド判定とは極めて難しいものなのです。

 


全く通じない、届かない言葉だと思いますが、見ている方の中に一人でもわかっていただける方がいていただければと思いながら、記録として残しておきます。」
 

 

 

また、こんな世論調査も

 

「ウクライナの世論調査(2017年)
「ドンバスはウクライナの地域」だと回答したのはウクライナ全域の実に80%である。ドンバスの住人でさえ73%がウクライナ地域だと回答。
逆にロシアの地域だと回答したのは全域で6%、ドンバス地域で4%にすぎない」