足に止まった蚊をパシッとたたくと簡単に仕留めることができた。しかも、二匹続けて。畳みに転がった黒い死体を指でつぶすと赤い血がにじんだ。


今までだと逃げられることの方が多かったのに。なんかさびしい。今まで憎々しいほどに素早かったのに。涼しくなって動きが鈍くなったのだろう。好敵手がおいぼれて消えていく。たとえ虫といえどもさびしいもんだ。


いま窓の外から聞こえてくる鈴虫はにぎやかだ。

もうすぐ夏も終わりだな。