(ハーバービジネスオンライン 11月23日)
「8000人の従業員解雇だ~!」
「下請けいじめだ~!」
マスコミが「ゴーン悪人説」を垂れ流しています。
よく考えてください。当時の日産は2兆円の負債を抱えて倒産寸前の状態でした。
それは日産経営陣の責任ではありませんか?
確かにバブル崩壊とその後のデフレ経済で、自動車メーカーは苦境に陥りました。でも、トヨタもホンダも、スバルでさえもこんな状態になってません。
あの時、日本政府からも「日産を救済しよう」という声は上がりませんでした。
… 銀行は救済しても、メーカーは放置なんだな…。
そこに手を差し伸べたのは、同じ自動車メーカーであるルノーでした。
■「8000億円の資本提携」
僕らは、この意味を、よく理解してなかったのでは…?
「えっ、どういうこと…?」
危機に瀕した会社に、資本(カネ)と経営者(ヒト)を投入して、会社の業績を回復させる…。
これって、M&Aじゃありませんか。
すでに、日産はルノーにM&Aされていた、ということでなないのでしょうか?
「奇跡のV字回復だ~!」
「日本の技術だ~!」
そんな言葉に踊らされて、僕らは実態を理解していない、ということではないのでしょうか。
「日産なしでは、ルノーはやっていけない」
テレビのイカサマ解説者が、したり顔で話してますよね。
「8000億円の資本提携」が事実上のM&Aだったと考えれば、日産の利益がルノーに流れるのは、当然のことでしょう。
(ANN 11月22日)
■カルロス・ゴーンの功績
日産の社長に就任したカルロス・ゴーンは、全国にある工場をくまなく何回も訪問し、当時販売されていた、すべての自動車に試乗しました。
これ、結構な話題になったんです。
なぜかというと、それまでの日産経営陣は、東大出身の官僚みたいな人間ばかりで、生産現場が強い日産では「本社VS工場」の軋轢が大きかったからです。
そこに、クルマが好きなガイジン社長が現れた。
カルロス・ゴーンは自動車メーカーの実状をよく分かっていて、メーカーとしての日産の自主性を尊重しました。
当時は自動車メーカーの合併(経営統合)が相次いでいて、それらは、後に、ことごとく失敗しています。
「日産のV字回復」というカルロス・ゴーンの功績は、世界的に見ても、評価されるものなのです。
■リストラと系列解消
確かにカルロス・ゴーンは強引なリストラを断行しました。
多くの従業員が理不尽な解雇を言い渡され、工場に隣接する3次~4次下請けの中小企業は、倒産や閉鎖に追い込まれました。
でも、これは日産経営陣の責任なんですよ。
当時、他の自動車メーカーも、日産を助けることはできませんでした。2兆円という巨額な負債をどう整理するか…、日本人の経営者には、誰もできなかったんです。
そして、もうひとつ。
カルロス・ゴーンは「系列解消」に踏み切りました。
当時の自動車メーカーには、そのメーカーの部品だけを作る専門の1~2次部品メーカーがあって、その下に3~4次下請けの中小企業がある、という系列(ピラミッド)化してました。
「日産系列」の部品メーカーは、日産の仕事だけ、「トヨタ系列」は、トヨタの仕事だけを、やっていたワケです。
カルロス・ゴーンは、その系列を解消するため、日産が持っていた部品メーカーの株を売却しました。
そして部品の調達を、世界中のどこからでも可能にする「グローバル調達」に切り替えました。これによって、競争原理が働いて、部品の価格は下がりました。
「で、部品メーカーはどうなったの…?」
日産が売却した部品メーカーの株は、欧州の部品メーカーが買い占めました。「○○工業」みたいな部品メーカーが、カタカナ名前の外資系企業に変わったのです。
それらのメーカーは、今でも日産の仕事をしながら、ルノーだけでなく、他の欧州メーカーの部品を製造しています。海外戦略の道が開けたのです。
それまで部品メーカーは、日産からの天下りを受け入れるなど、「日産様様」の閉鎖的な状態でした。ですが、今では対等の関係になったと、言っていいでしょう。
■報酬は高いのか…?
「50億円が~!」
「80億円が~!」
マスコミは「ゴーン悪人説」を広めるために、しきりに金額を連呼します。国民の感情に訴えようとしているのです。
「フォードの社長は年収30億円ですからね~」
世界ではそういうレベルだ、と言う解説者もいます。
でも、ちょっと待ってください。
「8000億円の資本提携」が事実上のM&Aだとすると、カルロス・ゴーンの報酬は数千億円単位になると思われます。これがルノーではなく、M&A専門の会社だったら、そうなっていたでしょう。
僕らは、こういったグローバル・スタンダード的な話を、まったく知らないまま、感情的に動かされています。
ここ数日、テレビでも「ゴーンの逮捕って、どうなの?」という話が、少しづつ言われるようになってきました。
謎だらけの「ゴーン氏逮捕」。
まだまだ謎は続きます。
<④につづく>


