追憶の骨 (bones) -49ページ目

追憶の骨 (bones)

音楽や映像だけでは残せない、あの時の僕たち。

(ハーバービジネスオンライン 11月23日)

 

 

「8000人の従業員解雇だ~!」

「下請けいじめだ~!」

 

マスコミが「ゴーン悪人説」を垂れ流しています。

 

よく考えてください。当時の日産は2兆円の負債を抱えて倒産寸前の状態でした。

 

それは日産経営陣の責任ではありませんか?

 

確かにバブル崩壊とその後のデフレ経済で、自動車メーカーは苦境に陥りました。でも、トヨタもホンダも、スバルでさえもこんな状態になってません。

 

あの時、日本政府からも「日産を救済しよう」という声は上がりませんでした。

 

… 銀行は救済しても、メーカーは放置なんだな…。

 

そこに手を差し伸べたのは、同じ自動車メーカーであるルノーでした。

 

 

■「8000億円の資本提携」

 

僕らは、この意味を、よく理解してなかったのでは…?

 

「えっ、どういうこと…?」

 

危機に瀕した会社に、資本(カネ)と経営者(ヒト)を投入して、会社の業績を回復させる…。

 

これって、M&Aじゃありませんか。

 

すでに、日産はルノーにM&Aされていた、ということでなないのでしょうか?

 

「奇跡のV字回復だ~!」

「日本の技術だ~!」

 

そんな言葉に踊らされて、僕らは実態を理解していない、ということではないのでしょうか。

 

「日産なしでは、ルノーはやっていけない」

 

テレビのイカサマ解説者が、したり顔で話してますよね。

 

「8000億円の資本提携」が事実上のM&Aだったと考えれば、日産の利益がルノーに流れるのは、当然のことでしょう。

 

 

 

(ANN 11月22日)

 

 

■カルロス・ゴーンの功績

 

日産の社長に就任したカルロス・ゴーンは、全国にある工場をくまなく何回も訪問し、当時販売されていた、すべての自動車に試乗しました。

 

これ、結構な話題になったんです。

 

なぜかというと、それまでの日産経営陣は、東大出身の官僚みたいな人間ばかりで、生産現場が強い日産では「本社VS工場」の軋轢が大きかったからです。

 

そこに、クルマが好きなガイジン社長が現れた。

 

カルロス・ゴーンは自動車メーカーの実状をよく分かっていて、メーカーとしての日産の自主性を尊重しました。

 

当時は自動車メーカーの合併(経営統合)が相次いでいて、それらは、後に、ことごとく失敗しています。

 

「日産のV字回復」というカルロス・ゴーンの功績は、世界的に見ても、評価されるものなのです。

 

 

■リストラと系列解消

 

確かにカルロス・ゴーンは強引なリストラを断行しました。

 

多くの従業員が理不尽な解雇を言い渡され、工場に隣接する3次~4次下請けの中小企業は、倒産や閉鎖に追い込まれました。

 

でも、これは日産経営陣の責任なんですよ。

 

当時、他の自動車メーカーも、日産を助けることはできませんでした。2兆円という巨額な負債をどう整理するか…、日本人の経営者には、誰もできなかったんです。

 

そして、もうひとつ。

 

カルロス・ゴーンは「系列解消」に踏み切りました。

 

当時の自動車メーカーには、そのメーカーの部品だけを作る専門の1~2次部品メーカーがあって、その下に3~4次下請けの中小企業がある、という系列(ピラミッド)化してました。

 

「日産系列」の部品メーカーは、日産の仕事だけ、「トヨタ系列」は、トヨタの仕事だけを、やっていたワケです。

 

カルロス・ゴーンは、その系列を解消するため、日産が持っていた部品メーカーの株を売却しました。

 

そして部品の調達を、世界中のどこからでも可能にする「グローバル調達」に切り替えました。これによって、競争原理が働いて、部品の価格は下がりました。

 

「で、部品メーカーはどうなったの…?」

 

日産が売却した部品メーカーの株は、欧州の部品メーカーが買い占めました。「○○工業」みたいな部品メーカーが、カタカナ名前の外資系企業に変わったのです。

 

それらのメーカーは、今でも日産の仕事をしながら、ルノーだけでなく、他の欧州メーカーの部品を製造しています。海外戦略の道が開けたのです。

 

それまで部品メーカーは、日産からの天下りを受け入れるなど、「日産様様」の閉鎖的な状態でした。ですが、今では対等の関係になったと、言っていいでしょう。

 

 

■報酬は高いのか…?

 

「50億円が~!」

「80億円が~!」

 

マスコミは「ゴーン悪人説」を広めるために、しきりに金額を連呼します。国民の感情に訴えようとしているのです。

 

「フォードの社長は年収30億円ですからね~」

 

世界ではそういうレベルだ、と言う解説者もいます。

 

でも、ちょっと待ってください。

 

「8000億円の資本提携」が事実上のM&Aだとすると、カルロス・ゴーンの報酬は数千億円単位になると思われます。これがルノーではなく、M&A専門の会社だったら、そうなっていたでしょう。

 

僕らは、こういったグローバル・スタンダード的な話を、まったく知らないまま、感情的に動かされています。

 

 

ここ数日、テレビでも「ゴーンの逮捕って、どうなの?」という話が、少しづつ言われるようになってきました。

 

謎だらけの「ゴーン氏逮捕」。

 

まだまだ謎は続きます。

 

 

<④につづく>