ピアノって残酷な楽器だなと、思うことがある。
幼いころから膨大な時間を練習に費やして、それでもピアニストになれるのは、ほんの一握りの人たちだけ。
僕に子供はいないけれど、もし娘がいて「ピアニストになりた~い!」なんて言いだしたら、間違いなく反対してただろう。
ショパンやリスト、弾くだけでも大変なのに、そこに聴衆が要求する正確さと、個人の表現という、本来まったく矛盾した概念を共存させなければ、ピアニストとして成功しない。
… これが本当に音楽の才能なの…?
でも僕たちには、ショパンやリストの楽曲を、僕たちのイメージを遥かに超える、素晴らしい表現で再生してくれるプレイヤーが必要なのだ。この欲望が尽きることはない。
原曲のオリジナリティとプレイヤーの個性のせめぎあい…。
これが楽曲カヴァーの最大の焦点だ。
§§§
というワケで、今日のカヴァー曲は、「ボヘミアン・ラプソディ」のピアノ・バージョンでいってみましょう。
もちろん「ピアノ+歌」ではなく、ピアノ一本の演奏で。
… これも素晴らしいなぁ・・。
ウクライナのピアニストViktoriya Yermolyevaさん、クラシックの人なんだけど、ロックやヘヴィメタルの曲を、ピアノにアレンジしてる演奏が多数あります。
ピアノで、ピアノ曲以外の曲を演奏するのって、大変です。
ピアノは打楽器なので、人間の声みたいに「アーーー」って伸ばすことができません。なので、ビブラートをかけたり、後から音を大きくすることもできません。ギターのチョーキングみたいに、一音で音程を変えることもできません。
テクニック的には、強く弾くか、弱く弾くか、あとはペダルで残響音を長くするか、短くするか、そのぐらいしかありません。かなり限られてるんですね。
そんなピアノで演奏するカヴァー曲。最大のポイントは、低音から高音まで、豊富な音数を上手く使ったアレンジなんです。
で、この演奏、後半のロック部分の低音のアレンジがスゴイんですよ、なんか、よくわからないぐらいスゴイ。もちろん原曲にこんな音は入ってません。
ピアノで、ロックっぽい盛り上がりを出すのに、相当考えたんでしょうね~、そこが素晴らしい!
もちろんピアノらしい美しいパートも雰囲気出てるんだけど、やっぱりロック部分のアレンジが抜群、この人の個性がうまく表現されています。
昨日の弦楽器バージョンの時もそうでしたが、中盤のオペラ部分って、クラシック魂に火がついちゃうんでしょうね~、この演奏も、オペラ部分からギアが入った感じがします。
… あっ~、また文が長くなっちゃったよ・・。
で、次回につづく。
<④につづく>

